早朝の連行

「個人的にはそろそろ決着がついても良いと思っているんだがなぁ、今の兵器は小型化がトレンドだからな、次は照明あたりが小さくなってくれるとうれしいもんだね」


「というかレティさんは他人事みたいに言いますね」


「……そうしないとやっていけないさ、私だってエルフ族の血が流れているせいで他のみんなよりは戦争を知っているのさ、だから悲しい事よりも楽しい事を考えていた方が余裕が持てるだろ……、それに、こんなことはお前たちにしか言えないからな」


「うん、まぁ確かに」


 レティは一度深呼吸し気合いを入れ直す、先ほどまでの腑抜けた表情は無く、真剣な顔をしていた。


「さて、私の方は何とか騙し騙しやってみるよ、分体とは言え死なす訳にはいかないからな」


「本当にたのんます」


 それから数日は特に問題が起きることもなく平和に過ごしていた。




「おはよう、早速ですまないが仕事だ」


 分体でいる予定の最後の1日の朝にレティのモーニングコールで目が覚める。


「なに?」


「さすがに限界だそうだ、一刻も早く君達の増援が必要になった」


「何で?」


 マキナも分体も寝ぼけており、曖昧な返事しかできない。


「夜明けに奇襲を受けた、死亡者はなしこっちの兵団が敵1人に軽くあしらわれた挙げ句、そいつによって城に返還された」


「……え、強くね?」


「そんな訳だから、増援よろしく」


 レティに強引に2人が起こされる、そのまま外へ連れ出されそうになる。


「まってまって、せめて本体に書置きさせて」


「早くしてくれよ」


「ういっす」


 本体への手紙なので適当に済ます、書き終わってすぐに首根っこを掴まれて戦地に連れて行かれる。




 どうやら本気らしく、高速移動用の車を用意しており、2人を投げ入れると、レティは操舵席に飛び乗り、発進させる、中には着替えが積んであり移動中に着替えろということだろう。


「おふぇ…」


 もし食後だったら確実に吐いていたであろう荒い運転で目的地まで飛ばす、途中で罠を張っていた盗賊たちがいたが今回の車は特別製のためか一切減速することなく盗賊達を跳ね飛ばし疾走していった、後日レティに報奨金が入ったが、他にも物を壊して進んで行ったため、もろもろ差し引きで相殺された。


「さぁついたぞ」


「まさかレティさんが、ハンドル握ると性格が変わるタイプだとは……」


「あんなハイになっているレティさん初めてみたよ……」


 狭い車の中でぐちゃぐちにかき回されて、へとへとになりながら着替えてから車から脱出する。

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