周辺の国事情
下がったテンションで何とか動き、レティの後ろをついていき、私室に入るなり、すぐさま鍵をしっかり掛ける。
「さて、今日は本当にマジメな話なんだが、最近西側の国境付近と言ったら解るかな?」
その言葉を聞いて2人は「あー…うん」と言って面倒くさそうな表情をしていた。
「そんな顔をするのは解るが、いよいよウチが対岸の火事ではなくなってしまったんだ」
「えぇ……」
「まだこの辺でこの事を知っているのは上層部位だ、お前たちに話すのは、身内だからというのとSランクだからだ」
「とても厄介ごとの気がします」
「残念ながら正解だ」
「で何をするんですか?、一応龍なんで焼野原とかなら作れますけど?」
「最悪そうなるかもしれん、一応そうならないようにしているが……、どうも向こうが余裕感じでな、もしもの時はかましてもらって構わないし、その行為自体はこの国がある限り犯罪にはならないからな」
「やっぱりいい親に出会えて良かった」
感謝の気持ちを全面に押し出した笑顔を向けるとレティは照れ臭そうに視線を逸らす。
「不意打ちは辞めてくれ……、だがしばらくは大丈夫だと思う…、」
「レティさん、そんなに根拠のない大丈夫は流石に気を使いますよ」
「すまん、とりあえずしばらく……、いつまでかは解らんがとにかく遠出とか遠征とかに行くのを控えて欲しい」
いつものような真剣な表情ではなく、どこか落ち込んでいるように見えてしまう。
「貯蓄はあるので半年程度なら日帰りの依頼だけでも何とかなるかもだけど……」
ユウキ達は高ランクな事もあり、基本的に簡単な依頼ではなく、あまり人が受け無いような長期間の依頼や大型のモンスターの討伐を主に受けており、日帰りで行けるような簡単に依頼は他の人が行けるように受けないようにしていた、もともとそういった依頼は滅多に出されないが、報酬が高額なのでその都度受ければよかったのだが、事態が事態なので日帰りが出来る依頼に絞るとどうしても報酬の額が一気に落ちてしまう、普通に人なら問題ないが、ユウキには学業があるため、毎日受ける事ができないので長引いてしまえば生活出来るか怪しかった。
「一応、国からもこれは依頼として出ているからある程度は保障してくれるらしい」
「国からだったらそもそも断れないじゃん」
「そんな訳で待機していてくれ」
「でも学業はしっかりと受けますよ」
「学業と言えば最近はマシらしいがサボりが多いらしいじゃないか、もちろん依頼もあるだろうから仕方がないだろうがな」
だるそうにしていたユウキの顔が一変して目を開く。
「なんでそんな事知ってるの」
「一応お前たちの親なんだぞ、たまに私宛に連絡がくるのさ」
さっきまでの真剣な表情から柔らかい表情になる。
「そうだった、私まだ未成年だった」
「だからあまり騒ぎを起こさないことだな」
「はーい」
「マキナ、お前もだぞ」
「え、はーい」
ユウキだけと思っていたがどうやらマキナに対しても何かあるらしく油断していたためハトが豆鉄砲を食らったような顔をしていた。
「さてと、2人に伝えたしコーヒーのお替りでも貰いにいくか」
「じゃあ私もー」
「あ、私もー」
「はいはい」
先ほどもまでの重たい雰囲気もいつの間にか無くなっていた、コーヒーを片手に再びカフェでユウキ達はのんびりしていた。
「マキナ、とりあえず当面の食事の量減らそっか」
「あーじゃあ、討伐系に行ってお肉もらおうよ」
「都合よくあったらね」
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