経験頼りの失敗

「うー…ん、…じゃあ私の家に帰りましょう」

「捨てられたと、いうのにか?」

ちょっと怒気が混じっててすこし怖い自分のことを心配してくれているようだ。

「それでも家族には変わりないし…それに捨てた理由が魔力が無いのが理由だし今ならいけるんじゃないかなって思うから、多分大丈夫…」

そういって右手に魔力を込めてみせる。

「ふむ…、ユウキが良いと言うのなら良かろう、して我はどうする?」

「すこしだけ演技に付き合って欲しいかな、何とか言いくるめるから、大丈夫…多分」

「まぁよかろう」


フィアが寝床にしている洞窟は浅く直ぐに太陽が見えた。

「しかしよ…」

「何?」

「そういえばユウキの家はどこにあるのじゃ?」

「えー…っとぉ」

そういえば魔法でこっちに飛ばされていた事ををすっかり忘れていた、何とかならないか考えているとなぜか家の方角と距離が浮かんできた。

「ここからかーなーり、遠い…」 

「だいたい、そうじゃのうあそこに見える山からあっちに見える山を何回往復する位なのじゃ?」

「えーと…だいたい2万往復位?」

「…ユウキよさすがに遠くはないかの?」

「で、でも近くの町に行けばなんとかなるかも」

「そうだな、では行くとするかの~、ほれ、早よ背に乗れ」

そう言って背中から翼生やして身を低くする。

「まって、ソノ姿デ町二行く→町ガパニック→大問題→帰レナイ」

「なんじゃその言い方は…じゃあ歩いていくかの?」

「そうだね私の運動も兼ねて徒歩で行こう」

「う、うむ…」

それから何故か解った一番近くの町に向けて歩き出した。



かなり歩いているつもりだがいまだに町に到着していない、それどころか獣道ですらまだ見つけてなかった。

「く、さすがに5才児にはキツい」

今世で初めて森を行くことになり自身の筋力と体力の少なさを考慮できなかった。

「では休むか?」

フィアの方はまだまだ余裕そうだ。

「そうするよ、近くに水を飲める場所は…」

飲み水がある所が近くにないか考えると直ぐに答えが出る…、本当に便利だなこれ。

「ついでに道らしき所も見つけた…それより水」

少しふらふらになりながら水のある場所へ向かって歩く。

「本当に、ユウキは何者なんじゃろうな?」

「よっ…そんなのは自分が一番、知りたい、よっと…」

5歳の体では自然の段差が辛い、道なき道を進むのは本当にしんどい。

10分ほど森の中を進みようやく湖へたどりつく。

「おーなかなか綺麗な湖じゃないか」

「そうなのか?、普通じゃろ」

転生して初めてみる湖に年相応にはしゃいでしまったがフィアには見慣れたもの特に感想はなかった。

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