竜の記憶とか

──私は何千年と生きてきた…。

最初は仲間たちで寄り添い、助け合って生きてきた…。

ある日大勢の人間達が私たちの所にやってきた、爪や角、鱗など私達の体が余すことなく高く売れるらしい、みんなはまだ幼い私を守り庇い死んでいった、そして私だけが生き残った、そしてその時誓ったんだ、


人間に復讐してやると。


それから私は力を求めた。

そしていくつかたったある日…、力をつけた私は復讐を行った、あの時の恨み晴らすために…。

それからいくつもの人間達を焼き、切り裂き、潰した…。

その時、私の視界に小さな人間を庇って戦っている姿を見た…、私にはそれがかつての仲間を彷彿とさせてしまい見るのが嫌になってしまったので直ぐにそこを飛び出すように去っていった。

そしてしばらく飛んでいると大量の人間を見つけた、でもなんだか様子がおかしい、よくみると何万もの人間が殺し合いをしていた。

その時に思ってしまった。

なんてバカバカしい、と。

それからは何かが吹っ切れたのか人を襲う事をやめ、山奥で暮らすようになった。

いつの間にか邪闇龍なんて呼ばれて私のもとにはたまに殺しに人間が来る、全部弱かったので返り討ちだが。

そんな生活がいくつか続くといつのまにか私の所に人間が来なくなった。


私は山奥にある洞窟の奥の広間が気に入っており、いつもそこで暮らしてる。

今日も久々の狩り終え、洞窟に戻ると小さな人影が見えた。


―おそらくまた捨てられたんだろうまた小さいのが飛んできたのか。

普段なら外に飛んでくるのだが此処に飛んでくるなんてちょっと珍しい。





光が収まり辺りを見回すとそこは洞窟のようだ。

光は差し込んでいないが壁から露出している鉱石が光源になっており洞窟全体が見回せる。

洞窟の奥から足音が聞こえたかと思うと、目の前に全長60メートルほどの大きな黒い龍がいた。

「何をしにここにきた」

低い声が聞こえるおそらく龍が喋っているのだろう、非現実の連続で不思議と恐怖心はない…。

「親に捨てられた」

「そうか…」

とまるで知っていたかのように呟き私から少し離れて横になる。


「私を食べるとか殺すかしないの?」

じっとしているのもつらいので聞いてみる。

「お前は小さいから腹の足しにならんし特に殺す理由もない」

「なんか腹立つなーまぁ、洞窟から出て他の獣とかに殺されるよりここで死んで腐敗臭でもまき散らしてやるか…」

「脅しをかけるか、確かに人の腐敗臭をここで発生させたくはないな…」

「その時はひと思いにガブッといってくれ」

「そうさせてもらおうかの」

龍がゆっくり立ち上がり、ゆっくりと私を食べようと口を開けて近ずいてくるが急に口を閉じて上を向く。

「…この匂いは…」

「どうしたの?」

「この私が召喚されるみたいだな」

「そっか、じゃあお別れみたいだね」

「ふっ、一人で召喚とは、かなり魔力だ、面白そうだな」

クックックと笑み?を浮かべながら召喚されるのを待っているようだ。

(多分、私がこっちの世界に飛ばされたんだし私以外にも飛ばされる人がいるかも…)

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