「魔法について」

 この作品における魔法の設定について解説します。

 推理の参考になることがあるかもしれないので、一応。

 本編を優先して読みたい方は、飛ばしていただいて構いません。


・そもそも魔法というのは、魔法少女や魔物が引き起こす超常現象です。魔力を現象として現実化することによって引き起こされます。

魔力というのは、魔法少女や魔物が持つこの世ならざる類のエネルギーと解釈してもらって構いません。一般的に、魔力の保有量は各魔法少女で同等です。規格外の圧倒的魔力保持者~だとか、そういうのはいません。

魔力を使い切った場合、全回復にはおおよそ一日かかります。

また、魔力がなくなるにつれて、体調の悪さを感じるようになります。これは魔力が完全になくなると魂が疲弊してしまうことによる現象です。魔力が残り僅かというところでは寒気や吐き気に襲われ、魔力が完全に底をつくと、耐えがたいほどの意識の混濁を招き、気絶します。ただしこの気絶は、抗おうと思えば数分間だけ撥ね退けることは可能です。最終的には絶対に気絶しますが。


・魔法の発動プロセスは、『発動条件の確認』→『魔法の制御・構築』→『効果の発現』の三つに分けられます。

①発動条件の確認というのは、彼方の『悪意を持つ者の行動で~』の部分や、接理の『この魔法は再使用までに~』という部分のことです。これらをチェックして、条件を満たしていた場合のみ、次のプロセスに進むことができます。条件を満たしていない場合、魔法は構築すら行うことができません。もちろんこれでは、空澄の魔法でコピーできたりもしません。

②魔法の制御・構築は、魔力を魔法として発動するために『整える』作業と考えてくれれば大丈夫です。魔力はこの時点で消費されます。うまく整えることができないと、魔法の制御に失敗し、暴発します。うまく整えることができない要因としては、集中を乱される出来事が発生した、扱う魔力の量をうまく把握できていない、などがあります。

③効果の発現はその名の通りです。[爆炎花火]なら爆発、[外傷治癒]なら傷の再生という形で、それぞれの魔法の効果が適用されます。




◇◆◇

――ここまで把握しておけば、作品を読むうえで不都合はないはずです。

ここから先は、完璧に余談的な詳細設定です。

◇◆◇



・魔法少女が使える魔法は身体能力強化と固有魔法とされていますが、もちろん、変身したり武器を取り出したりすることも魔法で行われています。

各魔法少女で共通性のある魔法と、共通性のない固有魔法。それらの差は、魔法少女が持つ『回路』によって生まれます。

スウィーツに認められて魔法少女となった場合、魔法少女の魂には特殊な『回路』が刻まれます。この『回路』は『基本回路』と『特殊回路』の二種類に大別されます。

『基本回路』の役割は、身体能力強化の魔法の基盤となることです。他に、魔法少女の魔力の受け皿を形作ったりもしています。魔法少女が保有する魔力は全て、魂に内包される形で収められています。この『基本回路』の形は全魔法少女で同一なため、魔法少女の身体能力強化は誰でも使える能力となっているのです。

それに対して『特殊回路』というのは、各々の魂の形に合わせて生成される特殊な回路です。同じ形をした回路は一つとしてありません。この『特殊回路』の役割は、固有魔法の基盤となることです。魔法少女が一人ひとり違う固有魔法を持つのはこれに起因しており、もし何かの奇跡で同じ形をした『特殊回路』が生み出されたのなら、その時は二人とも同じ固有魔法を持っていることとなるでしょう。


・変身や武器の取り出しは『基本回路』と『特殊回路』の二つに跨って制御されていると考えてください。どちらの領域も使っているため、変身や武器の取り出しという権能は共通しているにもかかわらず、それぞれの衣装や武器は異なったものとなるのです。


・魂は超次元的な存在というだけではなく、物質的な側面を併せ持つため、魔法による干渉が有効です。(ただし魂に狙いをつけるのはかなり困難なため、魂を対象にした魔法は暴発する可能性が極めて高い)

今回のゲームでワンダーが行っている身体能力強化・変身・武器の取り出しの制限もまた、魂への干渉、『基本回路』の破壊によって成されています。魔法の構築には『回路』が必要不可欠なため、必要な回路を欠いた魔法は発動できないのです。

『回路』を弄ることは、スウィーツか、魔法に秀でた能力を持つ一部の魔物にしか実行できません。ですがスウィーツが行うことができる『回路』への操作は、魔法少女の卵に『回路』を刻むことと、引退する魔法少女から『回路』を引き剥がすことのみです。『回路』の改竄ができるような能力は与えられていません。

一方で魔物には、『回路』を思いのままに改竄できる能力を持ったような種族がいます。そういった種族は本当に稀で、その魔物を手に入れた魔王は、【十二魔王】の中でも飛び抜けた実力を持つことになります。

ただし『回路』の改良といっても、元の能力から大きく乖離するような操作は行えません。せいぜいが、『回路』の特定の部分を破壊して機能不全に陥らせたり、あるいは、『特殊回路』を改良して魔法の能力を一段階アップさせるなどです。


・ここまで魔法少女が持つ『回路』にばかり言及しましたが、もちろん、魔物やスウィーツもそれぞれに『回路』を有しています。ただし、これら二種類の『回路』は魔法少女の持つものと少し異なります。


・魔物が持つ『回路』は、『特殊回路』の一つしかありません。そのため、各魔物で共通した能力というものは基本的に持たないのです。ただし、魔力の受け皿としての機能だけは、どの種族の『特殊回路』にも組み込まれています。


・逆にスウィーツは、『基本回路』と『特殊回路』の他に『契約回路』を持っています。

スウィーツが持つ『基本回路』の役割は、魔物の捜索や魔法少女の監視に用いられるような能力の基礎となることです。身体能力強化といった機能を持つ魔法少女のものとは異なるので、スウィーツは直接戦闘の能力はほとんど持っていないのです。

それを補助するのが『特殊回路』です。この『特殊回路』がスウィーツに固有魔法をもたらしています。基本的には魔法少女が持つものと同一の特性と考えてもらって構いません。ただし出力はあまり強くないので、魔法少女が持つ固有魔法に比べるとどうしても見劣りしてしまいます。

最後に、『契約回路』です。この『回路』を用いることで、魔法少女の適性を持つ相手の魂に『回路』を刻み込み、魔法少女として作り変えることができるのです。魂の変質というと某ダーク系魔法少女アニメを思い出す人もいるかと思いますが、この変化は可逆的なものなので、同じく『契約回路』を用いることによって元に戻すことができます。魔法少女としての活動を続けることが困難になった子や、魔法少女としてあるまじき行いをした子は、この操作によって魔法の力を失い、代わりに一般人としての生を取り戻すのです。

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