第5話 電話番
電話番の仕事をみつけた
「もしもし社長はいらっしゃいますか」
「留守ですがなにかお伝えしましょうか」
「電話をくださるように」
「わかりました」
これのくり返しである
そのうちに社長から電話がかかってくる。
伝言を伝える
部屋にはほかに誰もいない
社長に一度も会ったことはない
雨の日も嵐の日も電話番
そてし十年が過ぎた
二十年が過ぎた
そしてついに定年を迎えた
社長から電話がかかってくる
「ごくろうさまでした」
はじめてねぎらいの言葉をいただき、とってもうれしかった
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