ちょこ・ちょこっと

やまなぎこう

第1話 さるきち

さるきちは明るいヤツでとてもにくめない。本当に得な性格である。

さるきちはいつもまほうびんを持ち歩いている。

四川風の味付でとても辛いがさるきちの大好物である。

さるきちは唄がうまい。

「函館の女」なんかプロも真っ青である。

「はるばる来たぜはあこだてえ~」のさいごが実によく伸びる

さるきちの欠点は「ぽりしい」がないことである。

「そうなんだね」と尋ねると「そうです」と答え、「ちがうよね」と聞くと「ちがいます」とかえす。

叱るとさるきちはすぐ泣く。

「おんおんおんおん」と泣く。

背中をさすってやるとせきをする。

「おんおんおんおん」と泣きながらせきをするところが実にかわいい。

さるきちは貯金をしていない。

さるきちはせびる。

せびりにせびる。

遊びに連れて行くとさるきちはすぐになつく。

よいしょもする。

ひまな時は「思いっきりテレビ」を見ている。

ある日、みのもんたにお寿司をおごってもらった夢をみた。

それ以来みのもんたの大ファンになった。

みのもんたがとろとうにとしそ巻きを食べさせてくれたそうだ。

明日さるきちは旅に出る。

枕元に「まあぼどうふ」が入ったまほうびんとみのもんたのプロマイドが並べてある。

行き先はいくら聞いても教えてくれなかった。

今夜のさるきちの寝顔は希望にみちて実にりりしい。


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