第11話 試験も終わり
大学近くのオープンカフェ。
7月に入り前期の試験も終了し、今日は楓と一緒にランチを楽しんでいるところだ。
この店は大学に入ってから何度か来てるけどお店の雰囲気も良いし食事も美味しい。そして何より学生向けでコスパも良いんだよな。
学内の学食も美味しいし価格だけなら断然安いんだけど、最近は気分によって使い分けていたりする。
「健吾君は試験どうだった?」
「まぁまぁかな。楓は?」
「う~ん。私もかな♪」
そう言いながら笑顔の楓。
まぁまぁか・・・でもあの笑顔は相当できたな。
高校の時も試験はもちろんあったわけだけど単位取得が掛かっていると思うと緊張感が違う。
授業内容というか講義も最初の内は勝手が違くて結構戸惑ったしな。
でも楓と露と3人でノートまとめたり、わからないところとか雫姉に聞いたりと今回は結構勉強もしたし・・・とりあえず再試験は大丈夫なはずだ。
「よぉ。2人も昼か?」
「あぁ藤原達もか?」
楓と2人話し込んでいると藤原達が隣のボックス席に座ってきた。
森田さんだけじゃなく夏川さんも一緒なのは珍しい。
「藤原達も今日はこっちなんだな」
「あぁ試験終わったし、オープンカフェな気分でな。
あ、それより2人は試験どうだった?」
「まぁぼちぼちかな」
「流石田辺だなぁ~」
そういう藤原も森下じゃ学年トップクラスの成績だったはずだし結構出来たんじゃないのか?
そんなことを思いつつ俺と楓は藤原達も交えて賑やかなランチタイムを楽しんだ。
「そういえば、田辺たちは何か夏予定あるか?」
「夏?」
「あぁ部活はもちろんあるけど休み結構あるだろ?何処か行ったりするのか?」
そっか。
確かに大学の夏休みって長いんだよな。
部活もあるだろうけど・・・あんまり予定とか考えてなかったな。
バイトはするとしてもまた楓と旅行でも行こうかな。
あ、楓も何か予定考えてたりするかな?
と今更ながらに予定を考えていると藤原から思わぬ提案を受けた。
「もしよかったらみんなで海でバイトしないか?」
「海?」
「あぁ夏川さんの親戚が静岡で民宿やっててな。1週間だけど俺と由紀はバイトも兼ねて泊めてもらうんだ」
とそれまでパスタランチを美味しそうに食べていた夏川さんがバイトについて説明してくれた(お腹空いてたのか黙々と食べてたよな)
「あ、バイトの件は私から話すね。
叔父さんが静岡で民宿やってるんだけど、民宿の前がすぐ海で夏の期間は海の家も臨時で運営してるの。
私は高校の時から毎年バイトで手伝いに行ってたんだけど、今年はバイトの集まりが悪くて繁忙期だけ藤原君達にお願いしたんだよ。でも人数は多い方が助かるし良かったらと思って」
なるほど海の家のバイトか。
「夏川さん。俺達だけじゃないだろ?バイト頼んだの」
「そうそう肝心の人忘れてるんじゃない?」
「ふぇ!?あ あの うん、横田君も・・・来るから」
とニヤニヤしながらの藤原と森田さん。
そっか夏川さんって横田と付き合ってるとかいってたもんな。
宿泊出来て、海で遊べて、バイトも出来るのか。悪くないな。
そう思いながら楓を見ると楓も同じ考えだったのか俺に頷き返してきた。
「夏川さん達のお邪魔じゃなければ俺と楓もお願いしてもいいかな?」
「お お邪魔とかじゃないから!本当助かるよ!
っていうか藤原君も由紀ちゃんも余計な事言わないの!」
「へいへい♪」
藤原に森田さん、それに夏川さんに楓。
ラウムのバイト仲間だったメンバーだな。
毎日顔は合わせてるけどまた一緒にバイトすると思うと何だか懐かしい。
あ、でも1週間か。結構長居し渋川さんとこの塾の講師もシフト調整しないとな。
「よろしくお願いします夏川さん」
「こちらこそよろしく♪
あ、露ちゃんと天野君も良かったら声掛けて見てくれるかな。本当今年はバイトの集まり悪いらしくて。。。」
「わかった。帰ったら伝えとくよ」
露と天野か・・・誘うのは良いけどあいつら接客とか出来るのか?
2人共人見知りでコミュ力とか弱そうだからな。
「そういえば今日は露ちゃんは一緒じゃないんだな」
「あぁ天野の奴が、露に勉強教えてもらってたお礼にって一緒にリバーランドに行ってるよ」
「・・・それお礼というか天野が露ちゃんとデートしたいだけだろ」
「うん。お礼になってないよね」
「俺もそう思う・・・この間も2人で行ったみたいだし、露も嬉しそうだったからいいんじゃないか?」
そうなんだよな。
露が嫌そうにしてたら俺から天野に言ってやろうかと思ってたんだけど・・・最近一緒に居ることも多いし、昨日の夜も楓に"何着てこうかな♪"とか相談してたし、天野に好意を持ってるのは確実だよな。
まぁあいつ話すと悪い奴じゃないし、見た目も結構カッコいいからな。
露ともお似合いと言えばお似合いなのかも。
「でも付き合ってるわけじゃないんだろ?」
「まぁ・・・天野も露も"友達から"とか言っちまったし中々告白しずらいんじゃないかな」
「そんなもんなのかな」
「そんなもんだよ」
恋愛事は、ほんときっかけだよな。
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