第1章 1年目
第1話 新学期の始まり
入学式も終わり、翌日から本格的な学生生活が始まった。
学部に関係なく取得が必要な共通科目等は楓や藤原達とも相談し一緒に受講できるように時間割も組んでみた。
今後は藤原達とも一緒に行動する時間も増えてきそうだけど、単位取らなきゃならない科目も多いし勉強も結構大変そうだ。
バイトとかもまた始めるつもりだったけどしばらくは様子見かな。
ということで初日の授業を終えた俺達は、亮兄が待つ体育館へと向かっていた。
バスケ部の練習を見に行くということで待ち合わせしてるんだ。
亮兄曰く、川野辺大学のバスケ部は大学選手権の常連校ということで練習も結構きついらしい。
そのため練習についていけなかったり学業との両立が難しくなり部活を辞めてバスケサークルに入ってバスケを楽しむ人も多いらしい。
入部する前から脅かさないでよ・・・とも思ったけどとりあえず見学しに来いよと誘われたんだ。
「それにしても露がバスケをねぇ~」
「変かな?健君?」
「いや、そんなこと無いけど。意外だなって」
「まぁ・・・始めたのは高校に入ってからだし、それまであんまり運動もしてこなかったから、そんなに上手くは無いけど。お姉ちゃんみたいになりたくて」
「雫姉?」
「うん。ほら、私って小さい頃は身体が弱かったでしょ?だから何でも出来ちゃう雫姉に憧れてたの。あ、恥ずかしいからお姉ちゃんには内緒だよ!」
「え~雫姉喜ぶと思うけどなぁ~」
「な 内緒だからね楓ちゃん!」
「はい はい♪」
そんな他愛もない会話をしながら体育館や陸上競技場などがある運動部のエリアに近づくと広場で上級生による部活やサークルへの勧誘が行われていた。
新入学のシーズンで、何処も新入部員の勧誘には余念がない様だ。
俺も楓も露もバスケ部に入るつもりで居たので、出来るだけ関わらないよう待ち合わせ場所の体育館を目指して通り抜けようとしたところ
「そこの両手に花のイケメンお兄さん!」
と、突然大きな声で呼び止められた。
イケメンのお兄さん・・・まさかとは思うけど俺達の方見て声掛けてるよな?
俺は兎も角、両手に花は楓と露だろうな。まぁ2人共可愛いし。
「あ あのもしかして俺達ですか?」
「そうそう!君達新入生だろ?よかったら3人ともテニス部に入らないか?
カッコだけのテニスサークルとかもあるけど、うちは真面目にテニスやってるからさ。それに俺ってこれでも高校の時は全国出てるんだぜ!
あ、もちろん初心者にも親切丁寧に教えるぜ♪」
カッコだけとかサークルの人に怒られますよ・・・ってサークルと仲悪いのか?
それに真面目にと言いつつも・・・さっきからこの人ノリが軽いんだよな。
それに全国大会に出ているような凄い人にも見えないけど。。。。。
楓と露も何だか露骨に嫌そうな顔して見てるし(せめて愛想笑い位してやれよ)
しゃーない、ここは"俺がビシっとお断りしきゃな"とか考えていると
「悪いな阿部。こいつらは予約済だ」
「え!?予約?って牧村さん。それに小宮?」
「おぅ勧誘頑張ってるな阿部」
亮兄と小宮先輩。俺達の事を探しに来てくれたんだ。
いいタイミングで来てくれたな助かった。
でも、あのテニス部の人と知り合いなのか?
「2人と知り合いってことは、バスケ部の関係者ですかこの子達?」
「そうだ。高校のバスケ部で俺がコーチやってたのは知ってるだろ?そのときに面倒見てたんだよ」
「なるほど。そう言うことなら仕方ないっすね。いや~男の子だけじゃなくて、女の子の方も細身だけど鍛えてそうだし中々の逸材かと思ったんですけどねぇ~」
「悪いな。他のならともかく、こいつらは身内みたいなもんだからな」
鍛えてそうって、あの人ちゃんと相手を見て声掛けてたのか。
それにしても亮兄。確かに楓は亮兄の従妹だけど、露と俺まで身内って・・・未来のってとこか?雫姉に聞かせたらメチャ喜びそうだな。
「ご無沙汰してます小宮先輩」
「あぁ久しぶりだな田辺、小早川。それから・・・・?」
「あ、あの初めまして。私 田辺 露と言います」
「田辺?」
「あぁ露ちゃんは雫の妹だよ。言うの忘れてた。彼女もバスケやってるんだ」
「へぇ~雫先輩の妹さん」
「俺も会うのは随分久しぶりだよな」
「はい!ご無沙汰してます。お義兄様♪」
「お おぅ露ちゃんも元気そうだな」
お義兄様とか言われて照れてるよ亮兄。顔がデレてるぞ。
まぁ露みたいな子にお兄様とか呼ばれたら俺も照れそうだけどな。
俺も未だに紅葉からお義兄ちゃんとか言われると何だか照れるし。
「え!この子って雫さんの妹さんなんですか!」
「あぁそうだけど・・・何かあるのか阿部?」
「いや~失礼しました。雫さんにはこの間の試合で女子の助っ人に入って貰って。大活躍だったんですよ雫さん」
って雫姉ってテニスも出来るのか?
それも大学の試合で活躍できるレベルって。
何?あの人・・・?
「あ、そういえばそんなこと言ってたな雫のやつ。先週末のだろ?」
「はい。今度部長と一緒にあらためてお礼に伺いますんで、雫さんにもよろしくお伝えください」
そう言いながら露にお辞儀をする阿部さん。
「は はい。あ あにょ、姉に伝えておきます」
「よろしくお願いします。それじゃ!」
と緊張して噛んだ露にさわやかな笑顔を残して立ち去る阿部さん。
また新入部員の勧誘を再開するみたいだ。
しゃべらない方がカッコいいなあの人。
「亮兄。あの人とは知り合いなの?」
「あぁ学部の後輩なんだよ。あいつああ見えてコンピュータ系強くてな」
「へぇ~。ちなみにやっぱりテニスも上手いの?」
「実力は高いぞ。去年は大学選手権でも上位に食い込んでたはずだ。
それに倉北のテニス部で部長やってて全国でも結構いい成績残してたはずだぞ」
「そうなんだ」
倉北か。石森とか天野が居た高校だよな。
流石に大学だけあっていろんな高校出身の人が居るんだな。
「さ、立ち話もなんだし体育館へ行くぞ。雫や三上、それに恩田達も待ってるぞ」
「「はい!」」
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