LUNA QUEST

昼空卵

創生の物語

【創生の物語:第一節】

 初め、この世界には虚空だけが有った。

 女神達は空っぽの世界に集い、新たな創造を始める。


【創生の物語:第二節】

 大地が生まれた。世界の半分を満たす水が注がれた。

 風が吹きすさび、雲が現れ、空が生まれた。

 雲は嵐を呼び、雷鳴を響かせ大地に突き刺さる。

 煌々と輝く炎が生まれ、残すところは光と闇。


【創生の物語:第三節】

 女神の一人が空の彼方に星々を飾り付けた。散りばめられた宝石のように空が輝く。

 最後に一際強い、燃えるような輝きを持った星を一番目立つ場所に掛ければ、それは光を生み出し始めた。朝が生まれる。

 別の女神は、空を回した。光を生む熱き星が世界の果てに消えていき、代わりに現れたのは冷たい星。

 光の強さは比べ物にならないほど弱々しく、だが、周りに散りばめられた星とともに煌き、闇の中で確かな光を地に注いだ。夜が生まれた。


【創生の物語:第四節】

 最後に双子の女神が命を創った。

 大地に根付き、海を泳ぎ、空を仰ぎ、命が世界に広がっていく。

 こうして出来上がった世界に、母たる女神達は慈しみを込めて『イスレシア』の名をつけた。


【創世の物語:最終節】

 生まれた命に、女神達は生きる術を教えて回る。

 自らで生きる力、他人と力を合わせて生きる力、そして最後に、慈しみ愛する力を。

 女神達は今も、イスレシアを見守っている。

 脈々と続く命の育みを、ずっと見守っている。

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