第7話 ENDmarker.
「うごかないで」
彼女の声がする。なぜ。
「うう」
撃たれた傷が軋む。
「弾を取り出すから。がまんしてね」
なぜ、彼女がいる。そして自分は。
「まって。うごかないで。おねがい」
振り払って、立ち上がった。彼女がいる。やっぱり、服を着ていない。綺麗な身体が、綺麗に紅く染まっていた。
「俺はなぜここにいる」
「ねえ。うごかないで。おねがいだから」
「なぜここに」
すがりついてくる彼女を、振り払おうとして。倒れた。
「倒れてたの。このまえとおなじ」
「そうか」
彼女に、会いたかったのかもしれない。理由はない。
「弾を出さないと。身体の大事なところが破れちゃうから。静かに。うごかないで。ね?」
「死にたかった」
「え?」
「死にたかった。ようやく、死ねる」
身体の感覚が、なくなっていく。
「まって。おねがい。ねえ。まって」
冷えていく。いや。凍っていく。
「死に場所が」
ほしかった。
彼女の温度が、なぜか、感じられる。それだけしか、残らなかった。
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