02
「はい。分かりました。明日までに。はい」
電話を切って、ソファに倒れ込む。少し眠って。そして起きる。スケッチブックをひとつ持ってきて、ぼうっとしながら、何かを描いていく。おなかがすいてくる頃には、何かが、描き上がっている。おいしそうな目玉焼きの画だった。
電話をかけて。
「はい。できあがりました。はい。それでは」
スケッチブックを段ボールに突っ込んで、よくわからないものが書かれた紙を貼って。外に出しておく。これで終わり。他には何もない。
数日ぶりの外だけど。わたしにとって、あまり意味はなかった。ごはんは電話して送ってもらう。生活に必要なものも、画面と数字でとりあえずなんとかなった。
外には、わたしを危険にするものばかり。たぶん、そんな感じ。そんなかんじだから。
段ボールを置いて。
すぐに扉を。
閉める前に、誰かが、近くに転がっていた。紅く染まっている。
遠くで、なんかうるさい声とぱかぱかという音も聴こえる。
気になった。紅くて倒れている、それが。
せっかくなので。扉の中まで引きずっていって、そして。扉を閉めた。
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