第6話 「僕」の終わり

その子の一人称は、小学生になるまで、ずっと「僕」だった。


小学一年生となり、最初の授業で自己紹介をすることになった。


彼女が「僕は」と話し始めると、教師は笑って、「私」と言いなさいと強要した。


教師の笑い声に触発されて、同級生たちも彼女のことを指さして笑った。

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