俺が選択したラブコメルートは波乱万丈です

青空ハル

第1話真島陽翔の高校デビュー

高校デビューを成功させる人間がこの世に何人いるだろう。少なくとも俺は失敗した。そもそも高校デビューを考えているのは俺たちのよう根暗な人間が、クラスの上位グループの真似事をしているだけに過ぎない。別に陽キャの真似をしなくとも生きていけるがなぜか焦ってキャラを作ってしまう。偽りの自分を作り上げているのをはたから見ているとこっちまで恥ずかしくなってくる。そんな風に考えていたはずなのに俺はやらかしてしまった。それは、高校入学式でのことだ。

 

俺の名前は真島陽翔、清流高校1年生だ。東京でも特に偏差値が高い学校として知られるこの学校に入学できたのは他の人よりも少しだけ勉強ができたからだ。中学2年生から本格的に勉強を始め、塾に通い、学校の休み時間も利用して勉強をしたのは本当に地獄だった。そんな血の滲むような努力のかいもあって模試で全国2位にまで上り詰めた。そんな俺がこの学校に入ることは容易かったのだ。


そんな中、清流高校の中でトップの成績で合格したらしく新入生代表の挨拶を任された。だが、俺は中学でも特に目立たない存在だった。しいて言えば、全国模試で全国2位になったとき少し目立ったくらいだ。最初は辞退するように学校側にお願いをしていたが、毎年の恒例らしく押し切られてしまった。そして今、入学式の真っただ中である。


教員方が、俺の名前を呼んだ。


「新入生代表、真島陽翔」


「はぁぁい!」


やばい緊張して変な声が出てしまった、周りからクスクス笑われている声が聞こえるが仕方がない。ここは冷静に周りを見るんだ。

やっとのことで壇上にたどり着き、新入生代表の挨拶を始めた。


「春の息吹が感じられる今日、

         以上を持ちまして新入生代表の挨拶とさせていただきます。」


人生の中で最も長く感じた10分間を終え、緊張感もほぐれてきた時だった。突然目の前が真っ黒になり、平衡感覚がおかしくなっているのが自分でも分かった。そのまま壇上で倒れてしまった。


?「危ない!」


目がかすむ中、壇上の横に立っていた1人の生徒が俺のことをやさしく抱き留めてくれた。


?「誰か運ぶのを手伝ってくれ」


そのまま意識を失い、気が付くと知らない天井があった。


「ここはどこだ、、、」


漫画のような状況でいまいち状況を把握できていない中、生徒の声が横から聞こえてきた。


?「ここは、保健室だよ。」


壇上で多雨をれる前に聞いた声。透き通るようなだが、どこか力強い声が聞こえた。ゆっくりと声のする方を振り向くとそこには、黒髪で長髪の今まで見たこともないような可愛い系美人がそこにいた。


?「今年の新入生代表君は、少し頼りがいがないな。」


笑いながら俺に話しかけてきたとき俺は思わず


「、、、かわいい」


勝手に口が動いていた。慌てて今のは違います!と言ったがもう遅かった。その人は更に笑いながら


?「はははッ、君は面白いな初対面でそんなことを言われたのは初めてだよ。」


「す、すみません。つい思ったことが口に出てしまいました。今後は失礼がないように気お付けます。」


?「いや、そのままでいいよ。君はそのままの方が面白い」


「ところで、ここまで運んでくれたのはあなたですか。」


こちらを覗き込むようにして、見た後口角を上げながら深く頷いた。


「そうでしたか。ありがとうございます。あのお名前をお聞きしてもいいですか?」


?「私の名前か?、、、2年の清水結月だ。覚えておくといい。これから、入学式の片づけをしなくてはいなくてな、私はこれで失礼するよ。」


結月先輩は颯爽と保健室を後にした。後ろ姿も凛々しかったな、、、また、会えるといいな。


これが、真島陽翔と清水結月の最初の出会いであった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る