ドルオタの私が、国民的5人組アイドルグループに転生したはいいものの、何度やり直しても「活動休止」を止められない!

伊荘ろねる

プロローグ

ドルオタの私が、国民的5人組アイドルグループに転生したはいいものの、何度やり直しても「活動休止」を止められない!


部屋の隅にあるテレビからは若い少年たちがカウントダウンを数える声が聞こえる。


「10.9.8!」


そしてその少年たちを中心に若い女性たちが奇声にも聞こえる声で残りの時刻を数えている。

私があの場所にいたのはもう何年前のことだろう。そう思い返しながら目の前のカップ麺に手を伸ばす。

私が最後にあの場所に立っていたのは彼等が活動休止する丁度一年前。彼等が所属するアイドル事務所が毎年開催している年末カウントダウンライブ。

そこで当時人気絶頂だった彼等は解散を発表したのだ。

その時のライブは今でも夢に見る。

当時とうとうなオタクだった私は彼氏も作らず、自分自身に投資することもなく、生活費を切り詰め全てのお金を彼等に注いでいた。

しかし私はそんな自分が大好きだったし、同じような仲間もたくさんいて、とても幸せだったのだ。

そんな私の幸せな日常はあの一言で終わりを告げた。


「僕たちはアイドルから普通の男子に戻ります!

今まで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました!」


活動休止という名の解散宣告だと、インターネット上でも波紋を呼んだこのコメントを、私は鵜呑みにし、いつか彼等5人が戻ってくる日を待ち続けた。

当時は同じ気持ちのファンも多く、何十年かかっても待ち続けようなんて声を掛け合ったものだ。

しかしそのファンたちも1年、2年と経つごとに減っていき、5年立った頃には周りには誰もいなくなっていた。

その頃になると周りを見渡せば、同年代の女性は家庭を持ち新しい命を授かって幸せな姿や投稿ばかりがみられるようになっていた。

私も普通の女性として過ごそうと行動したこともあった。しかし、今まで彼等しか見て来なかった私は化粧の仕方も、おしゃれな服の着こなし方も、彼等以外の趣味も



ドルオタの私が、国民的5人組アイドルグループに転生したはいいものの、何度やり直しても「活動休止」を止められない!


部屋の隅にあるテレビからは若い少年たちがカウントダウンを数える声が聞こえる。


「10.9.8!」


そしてその少年たちを中心に若い女性たちが奇声にも聞こえる声で残りの時刻を数えている。

私があの場所にいたのはもう何年前のことだろう。そう思い返しながら目の前のカップ麺に手を伸ばす。

私が最後にあの場所に立っていたのは彼等が活動休止する丁度一年前。彼等が所属するアイドル事務所が毎年開催している年末カウントダウンライブ。

そこで当時人気絶頂だった彼等は解散を発表したのだ。

その時のライブは今でも夢に見る。

当時とうとうなオタクだった私は彼氏も作らず、自分自身に投資することもなく、生活費を切り詰め全てのお金を彼等に注いでいた。

しかし私はそんな自分が大好きだったし、同じような仲間もたくさんいて、とても幸せだったのだ。

そんな私の幸せな日常はあの一言で終わりを告げた。


「僕たちはアイドルから普通の男子に戻ります!

今まで応援してくださった皆さん、本当にありがとうございました!」


活動休止という名の解散宣告だと、インターネット上でも波紋を呼んだこのコメントを、私は鵜呑みにし、いつか彼等5人が戻ってくる日を待ち続けた。

当時は同じ気持ちのファンも多く、何十年かかっても待ち続けようなんて声を掛け合ったものだ。

しかしそのファンたちも1年、2年と経つごとに減っていき、5年立った頃には周りには誰もいなくなっていた。

その頃になると周りを見渡せば、同年代の女性は家庭を持ち新しい命を授かって幸せな姿や投稿ばかりがみられるようになっていた。

私も普通の女性として過ごそうと行動したこともあった。しかし、今まで彼等しか見て来なかった私は化粧の仕方も、おしゃれな服の着こなし方も、彼等以外の趣味なんて見つけることができなかった。


私は彼等と出会って以来、彼等以外何も見てこなかった現実に向き合わされた。

そんな彼等も活動休止後、一人はアイドルを辞め一般人へと戻り、一人は現役時代から5年以上の期間を経て女性と結婚そのすぐ後には新しい命まで授かり、また一人はグループ時代から続いていたレギュラー番組を引き継ぎ今やだれもが知る売れっ子テレビタレントに。また一人は、もともと噂のあった政治の世界へと進出し今や期待の若手議員として名前が上がるほどに。そして私が愛してやまなかったあの人は、今や海外でも知る人ぞ知る演技は俳優へとなってしまった。

彼等がアイドル活動を辞めただけで、テレビや雑誌などで個人としての活動を続けたことが勝つダウ再開を願うファンを減らした原因でもあった。


「僕の今年の目標はですね~」


そんなことを考えていたらとっくに年は明け、テレビでは今期待の若手とされているグループアイドルが今年の目標を語っていた。彼等が活動休止を発表してちょうど11年、活動休止してから10年が経った。10年たった今でも彼等に囚われ続けているのは、きっと私だけなのだろう。


「活動休止ライブでも見るか」


そう呟いて彼等の最後のライブ映像を再生する。あのライブが終わった後、私は何を目標にすればよいのか、なんのために働けばいいのか分からなくなってしまい、会社も辞めてしまった。そんな最後のライブを再生すると、花火や空中ゴンドラなどいろいろな演出が彼等を彩っていた。

そして最後の曲彼等が歌いきると大量の花火に包まれるシーン。

その瞬間テレビが光り、私はその中に包まれていった。




目が覚めると見たことのある景色。しかしその記憶とは大きく違うのは、私は今客席を見つめているのだ。

横にいる大好きだった彼が口を開く。


「今日は来てくれてありがとう!僕たちタイフーンです!」


どうやら私は大変なところに来てしまったようだ。

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ドルオタの私が、国民的5人組アイドルグループに転生したはいいものの、何度やり直しても「活動休止」を止められない! 伊荘ろねる @nerunerun

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