生きる意味
理由がないと言ったが、もちろん意味もない。彩音という名前は文字通り名ばかりで、私の人生には色も音も無かった。
こんな話をすると、大抵の大人には心配された。
私の人生に何ら不備は無かった。心配してもらえる程恵まれているのだから。
ただ、面白くないだけである。
興味がないのだ。何事にも。
一つ、絶対に生きている理由を述べなければならないとすればそれは、「死ぬのが怖い」からだろう。幼稚な理由だと思う。それすら興味が湧かない。死ぬのが怖くなければ自分はとうの昔に命を絶っているだろう。
それが出来ないから十六年もの間日々をこなしてきたのだ。
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