第2話レイモンド・メルヴィス
魔力を感知出来てからは、ひたすら魔力操作の練習をしていた、
練習と言っても、体に魔力を循環させたり、手に集中させたりと、体内で魔力を移動させ最後に全魔力を、母親に全部流し魔力量を増やすトレーニングだ。
母親の体内で魔法を発現させるのは危なすぎるので、これしか出来ないのだが、
やはりこれも一筋縄でわいかず、魔力を感知してから1ヶ月程で、やっと何とか思いどうりに動かせるようになったのだ。
そんなこんなで日々鍛錬していると、俺の出産が始まったようだ、
周りが騒がしくなり、
「レイラ様、あと一息です!」
「深呼吸して、ハイッ いきんで!」
と、誰かの声が聞こえた直後、今まで真っ暗だった世界に、眩しいほどの明かりが差し込み、ぼやけた視界には溢れんばかりの色んな色が映っていた。
「エヘッへへ!」
「笑ったわ!この子!今笑ったわ!」
あまりにも感動的な光景とともに、自分が転生したんだ改めて実感し、嬉しさのあまり、気がついたら笑みがこぼれていた!
そんな俺を見て普通は産声をあげる赤ん坊が、笑ったことに余程ビックリしたのか、この世界での母親だと思われる女性が嬉しそうに声を荒げていた。
少しして、出産を手伝っていた女性たちが出ていき、代わりに父親らしい人と、その子供達、つまり俺の姉弟が部屋に入ってきた
「無事に生まれてくれたね、レイラも身体は大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫よ!それより聞いてライル! この子ね、産まれてきた時に笑ったのよ!外に出れて余程嬉しかったのね!」
父のライルが、俺を抱きながら母レイラに声をかけると、レイラは嬉しそうに答えた!
「私も赤ちゃん触るー!」
「僕も!」
そんな夫婦の会話をよそに、姉、カトレアと兄、ニールが俺の頬をツンツンつついている
そしてふととカトレアが
「ねーお父さんこの子の名前は決まったの?」
とライルに聞く
「そーだね、発表しようか、お茶をお願いできるかい?」
「畏まりました」
と、すぐにメイドがい茶を入れ、みんなの前に配膳する
「この子の名前はレイモンド、『レイモンド・メルヴィス』に決めたよ!」
「そう!レイモンド ならレイねっ!♫」
「「レイ!」」
みながお茶を飲み、一息ついたのを見てライルが俺の名前を言うと、レイラが嬉しそうに呟き、カトレアとニールも嬉しそうに俺の名を読んだ!
俺は、ぼやけてほぼ輪郭しか見えない家族のそんな会話を聞いて、髭もじゃの爺さんに心から感謝するのだった!
ーーーーーーーーーーーーーー
「レイモンド様、おはようございます!」
真面目な性格で黒髪にロング、つり目ぎみの控えめに言っても綺麗なメイドのアメリアが、部屋に入ってきて窓を開けると、心地いいそよ風が部屋に流れ込んでくる、
「あぁ〜、心地いい!」
そう思っていると、不意に浮遊感に襲われハッとすると、アメリアが俺を抱き抱えながら、
「いい天気でちゅね〜!」
と呟いき、見た目とのギャップがあまりにも衝撃的で、目を点にして呆然としてしまった
そんな俺をよそに、アメリアは俺の部屋の掃除や整頓の仕事を終え、
「また後で来まちゅからね〜!」
と言って部屋を出ていった。
あれは触れてはいけないパンドラの箱だな。
生まれてから1ヶ月たたないくらいだが、視力は完全に通常になり、くっきりとものが見えるようになったので
最近は、壁に貼られている文字表をみて、文字を勉強しながら、魔法について考える日々を送っている
体内の魔力を移動させることは、ある程度できるようになったから、次のステップである魔法発動をもしようとするも上手くいかなかった、
まずは危なくないように水魔法の発動を目指
水のイメージを、鮮明にしながら手に魔法を集約させるが、水は一滴も出ない
色んな方法を試したが、一向に成功するきざしがなかった。
ベットの上でそんな葛藤をしていると、お昼を過ぎていた
「やっぱ魔法は難しい」
そう心の中でボヤいていると、ニール兄さんが部屋に入ってきた
「レイ、今日はいい天気だね!」
と話しかけ、イスに座り本を読んでいた
俺が1人でも大丈夫になってからは、お昼を食べ終わると、必ず俺の部屋に誰かがきて、見守ってくれていたので、気にもしないが
ふとニール兄さんが読んでいる本を見ると『初めての魔法』と表紙にかかれていた!
これでなぜ魔法が発動しないのか分かるかもしれない!
と思い、ほとんど動かせない体を必死にくねらせ、欲しい仕草をしながら、言葉にもならない声を出し
「アッ、アァッ!!」
としていると、こちらに気がついたらニール兄さんが、
「これが欲しいのかい?」
と聞いてきた。
「ふっふっふ、ついにこの時が来たか」
俺は、何とか体が少し動かせるようにり、密かに練習をしていたことがある、それが『赤ちゃんスマイル』だ!
赤ん坊にしか許されない殺傷能力が極めて高い攻撃
やり方は、簡単だ!
まずできるだけ状態を起こす!
これは腹筋が極めて弱い赤ちゃん状態だとかなりきつい。
次に上がるところまで片腕をあげる!
これも、筋肉があまりないので上手く上がらない
そして、できるだけ大きい声で『アイッ!』と言う
最後に満面の笑みで頷いたあと、上目遣いでアピールする!
俺は『赤ちゃんスマイル』をニール兄さんに発動する!
すると、兄さんはにっこりと笑いながら歩いてくる
「しょうがないな〜!」
と言いながらも満更でもなさそうだ
「いいかい、これは初めて魔法を使う子が読む為のほんなんだ、」
といいながら、声を出しながら読み聞かせてくれる
「なんて優しい兄さんなんだ、やはり赤ちゃんスマイルが効いたな!」
と思いながら説明を聞いた
どうやら魔法を使うには、魔法詠唱をしないといけないらしい、
ニール兄さんがいちばん簡単な、ライトの魔法詠唱を教えてくれたところで、レイラ母さんが入ってきた
「あらニール、レイに本を読んであげてるの?」
「うん!」
「そう、偉いわね! でも、ニールもお勉強の時間よ!ライルが呼んでたわ!」
「はーい!じゃあねレイ!」
母さんがそう言うと、ニール兄さんは本を閉じて部屋を出ていった
もっと詠唱を知りたかったが、時間はいくらでもあるからと諦めることにした
俺の部屋は午後のなんとも言えない穏やかな時間がながれていた!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます