偶像はファンファーレを轢く
鈴木 千明
第1章:祓魔師と堕天使
序:ある天使の前口上
あなたは神を信じますか?辛い?苦しい?それは神を信じていないからです!信じる者は救われます……
などと、宣う人間がいるのでしょう?おかしな話ですね。彼らは〝────〟への謁見を賜ったことなど無いはずですのに。僕は〝ある〟なんてものではないですよ。それはそれは寵愛を賜っております。最上の天使、ですから。
勘違いされてしまうといけないので、そろそろ本題に。
このお話は、僕の活躍を描いたり、僕の美しさを讃えたり、僕の高潔さを崇めたり……
するわけではないのです。そういった部分が全く無いわけではないのですが。それはもちろん、僕は居るだけで尊ばれる存在ですから、登場したあかつきには……
また本題から外れてしまいましたね。
これは、敬虔深くも清廉さを失ってしまった、しかし美しく逞しく信仰を忘れないすばらしい祓魔師と、あー、残念な堕天使が、天の使いの、さらにお使いをするお話です。自ら堕天を選んだ彼が、天使のお使いだなんて……んふふ、笑える話ですね!
しかしながら、天使はあまり出てきません。出てくるのは主に悪魔たちです。堕天使も悪魔ですよ。ここの言葉では〝天使〟と付いているようですが。なので、皆々様におかれましては、どうぞ高みの見物をしていただければ。僕は、んふふ、言うまでもありませんね。
それでは、またお会いしましょう。前説は私──最上の天使がお送りしました!
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