第442話 松尾家の秘密 ~封印?~

 金庫開いた。


 ダイヤルとか鍵穴があるのに――石見先輩がつまみを引っ張ったら開いてしまいました。

 いや、これ開いちゃだめだよね?石見先輩が居るから、開いちゃったとかいう金庫の中身は俺はまだ見ていないが。

 普通に考えて金庫ってそんなに簡単に開いちゃだめだよね?これで松尾家の何か大切な――って、こんなものを作りそうなのはじいちゃん。でもじいちゃんがばあちゃんに頼まれて作った場合――ばあちゃんが何かを入れていた。それが大切なものだと。開いちゃったはダメでは?

 あっ。でも開いちゃったということは今は使っていなくて、鍵も閉めていなかったということか。

 

 そう思おう。中身があった時は――考えよう。


 そんなことを瞬時に脳内で考えていた俺だったが。とりあえず覗き込もうと少し身体を動かすと――。


「ちょちょ先輩何入ってました!?」

「ぎゃふっ」


 勢いよく長宮さんに押しのけられました。

 変な声が出た気がするが――2人とも聞いていなかった様子。良いか。


「それがさ――空っぽ」

「えー」


 変な声が――などと俺が思っていると。すぐに聞こえてきたのは、そんな石見先輩の声と、がっかりという感じの長宮さんの声だった――って、どうやら先ほどの俺の考えは後者が正解だったらしい。

 そりゃそうだよな。金庫なのに鍵が閉まっていなかった時点で今は使っていないと思うべきだろう。

 にしてもなんでこんなところに金庫を作ったのだろうか?それも多分――見た目はしっかりしている感じで重厚。そして壁にあるということは抜けない。持ち出し不可能な金庫なのに――何も使っていないのはなんか変な感じがするが。


 つんつん。


「うん?」


 すると俺の肩が突っつかれた。

 少しくすぐったいな。などと思いつつれが振り返ると――。


「――」


 何やら笑顔?悪い顔?をした結崎が俺を手招きしていた。

 そういえば一瞬だが結崎部屋からいなくなっていたような――。


「あっ!もしかしてこれ、この金庫がダミーなんじゃないの?実はこの奥に何かあるとか――」


 今石見先輩の声をする方を俺は見ていないが――とりあえず金庫は空みたいなので――ほっておいていいか。ちゃんと確認していないが。多分石見先輩と長宮さんの反応的には空っぽは本当だろうし。

 ちなみに今俺の後ろからは、ぺちぺちという多分金庫の中を触っているのだろう音が聞こえているが――それより何故か手招きしている結崎。そして階段を上っていく。


「――?」


 なんだ?もしかして誰か来客――ならそういえば言いだろう。でも何も言わず手招き――ということは、先ほどの表情からしてろくでもないことを考えているのはなんとなくわかったが。金庫の方もまあ――空ということで。これで実は中身があって、石見先輩と長宮さんの演技だったら――いや、さすがにそれはないな。


 とりあえず俺は手招きをしていた結崎の方へと向かうと――俺が動いたことを察知したのだろう。

 俺が階段を上りだしたときに隣に影がやってきた。


「松尾君がこっそりどこか向かってる」


 小声で俺に声をかけてきたのは長宮さんだ。余談だが後ろからは――『これなんか怪しいよね。絶対何かあるでしょ。叩いたらどこかドア開くんじゃないの?』などという石見先輩の独り言が聞こえてきている。って、石見先輩は俺たちが動いたことに気が付いていない様子。


「――もう。松尾君こっそり来てよ」

「――えー」

 

 そして俺が上の階へと行くと。何故か結崎からクレーム――いやいやなんでよ。などと俺が突っ込もうとすると。


「松尾君ちょっと離れて」

「はい?」


 結崎に軽く引っ張られて――長宮さんも地下のドアのところから結崎に引っ張られた。何をするんだ?と俺が思ってると――この数秒後。


 ガキみたいなことをするポンコツ娘が目の前に居たのだった。


 いや、マジで子供同士の遊び。ガキの遊びを俺は見ることとなった。


 ぱちっ。

 ガッチャン。


「――――――ぎゃあああ。ちょっと!!!!」


 結崎がしたことはシンプル。先ほど石見先輩がやっていたことを結崎がやった。である。


「あー」


 その光景を見て――まあ呆れる俺。


「うわー。ゆえやるねー」


 俺の横ではすぐに結崎の考えが分かったのだろう。すぐに結崎の手伝いに回る長宮さん。いや、この2人は――。


「本当は奈都もだったのに」

「うわっ。松尾君この子ダメだよ。酷い。いじめ」

「はぁ。何をしているのか」


 本当に何をしているのか。って、結崎長宮さんも閉じ込める予定だったのね。ってマジで何をしているのか――。


「いろは先輩が大人しくなるかと思って」


 すると、結崎がそんな返答をしてきた。

 はっきり言おう。結崎も今の状況。俺たちだけの大人が居ない状況とでもいうのか。それを楽しんでいるらしい。


「いや――それより結崎も遊んでいる感が――みんなテンション高すぎ」


 それの相手をすることになる俺――もうがっくりである。


「えっ。ちょ松尾君私も?私普通じゃん」

「――いやいや、長宮さんも十分テンション高いですから」

「嘘ー」

「ほんと」


 長宮さんが結崎の手伝いをしながら不満?そうな表情でそんなことを言ってきたが――皆さんテンション高いです。

 って、今結崎石見先輩の時とは違って、電気も消したよな――つまり。と、いうかドア閉めた時に何か聞こえてきていたよな。


「なんで消すの!?!?!?って真っ暗!こらぁぁぁぁぁぁ怖い!!!!!!!!」


 あっ再度響く――って、地下室から聞こえるか過去最大音量の石見先輩の悲鳴だった 。


 マジで何してるんだか。

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