第404話 松尾家の秘密 ~乙女とは~
「――なんだったのか」
現在の俺少しぽかんと拍子抜けしたような感じだ。いや、でも実際何もなかったので、何もなかったということは良いことなのだが――でもね。あまりにあっさりことが進むのはそれはそれで気になっちゃうんだよ。
とにかく状況整理をすると、俺の目の前で、お手洗いから戻ってきた長宮さんが男性2人に絡まれた。
と、いう場面が少し前まで俺の近くで起こっていたのだが。俺が男性2人に声をかけると、なぜかはじめこそ睨むような感じだった男性2人だが。すぐに態度が変わって、今はもう俺と長宮さんの前にはいない。姿もないな。
ちなみに男性たちの行動は、むしろこちらがしたかった対応だ。とっととこの場を離れるということをね。でも実際は長宮さんに絡んだ男性2人の方が行ったのだった。いや謎なんですが……。
あと、もしかすると俺が何かした。とか思っている人がいるかもしれないが。もちろん俺は何もしていない男性の後ろから声をかけただけである。何もしていないのに先ほどの男性たちの反応は――わからん。えっ?いや、本当に何もしてないよ?めっちゃ俺が男性たちを睨んだとか。実はこっそり手を出したとかマジでそんなこと一切してないよ?
なのに。そそくさに立ち去った男性たちだった。そりゃ先ほども言ったが、何もないのが一番いい。でも――あれ?こういうのって、誰か知り合いが居たら即あきらめるようなものだったのか?ちょっと俺が本の読みすぎ?日常的には、女性に声を変える。その際に誰か知人が居たら即撤収。これが普通なのか?いや、こういう時って、そりゃ起こってほしくはなかったが。下手すると暴力――みたいなことになってもと思ったが。なんだろうね。このなんか寂しい――いや、再度だが決して何か起こってほしかったわけではないが。あまりにあっさりはあっさりで引っかかった俺だった。
ちなみに、長宮さんが仕組んだ。ということは――。
「うんうん。松尾君良いね。ってか――うんうん」
ないよね?ないかな?うーん。今の長宮さんは嬉しそう?それとなんかジロジロと俺を見ている――って、いや、まさかね。長宮さん仕組んだ?実はさっきの人知り合い?とか言うパターン?まさかね。そこまでというか。そのようなことをする意味ないもんね。でも一応――。
「何を頷いているのか――って、長宮さん。一応確認先ほどの2人は?」
「全く知らないけど?いきなり声かけられただけ」
「――本当に?」
「なんで松尾君疑っているかなー」
「いや、なんか長宮さんの様子がですね」
「私の様子?」
長宮さんの反応的には嘘を言っている感じはない。でも――なんか笑顔なんだが。この笑顔はなに?
「なぜご機嫌なのか――ってか、そもそもなんで絡まれている?というのか。さっき乙女?みたいに長宮さんはなっていたんですかね?いつもは違うでしょ」
「ちょちょ、松尾君。私乙女。乙女だから」
「……」
俺が言うと長宮さんがベシベシと、俺の腕を叩きながら抗議を――って、いや、さっきの長宮さんの対応はどう見てもおかしかったというか。むしろ誘っていたような……。
「なんで黙るの!?」
「いや、いろいろ考え中」
「なんでさ。私いつも通り」
「いや――」
「いや――って松尾君の中での私どんな姿なわけ?」
「元気?」
「なんか私。がきんちょ扱いされている?」
いやいやそんなことはしていません。はい。ちょっと普段の行動を思い出すとガキと思ったのは――伏せておけば大丈夫だろう。
「それはないです」
「ほんと?返事によっては、ゆえに旦那ボコボコにする権利を――」
「言い方。ってか、俺の中では、長宮さんは基本パワフルなはずなんだが――」
「なんか――松尾君の中で私男だったりする?それはひどいなー」
長宮さんはそういうと、どう見ても女の子でしょ。と言わんばかりになぜか俺の前でくるりと回りポーズ。無駄にアピールも忘れなく。いや、なんか言わないといけないのか?めっちゃ見てくるんだが――。
「ちゃんと女性です。はい」
そりゃ長宮さん。見た目は完全に美少女――って、やっぱり行動がガキ――いや、これ以上は言わないでおこう。世怪なことは言わない方がいいな。
「よかった。男みたいとか言ったら蹴り上げるところだったよ」
どうやら俺は返事を間違えなかったらしいが――。
「――なんか怖いこと言った?」
急に身体が――下手なこと言うもんじゃないな。長宮さんあと――蓮華寺さんも危険。石見先輩とかはなんか笑って終わっていく。ちょっとふざけて終わっていきそうだが。長宮さん蓮華寺さんはね。行動が激しい可能性があるし。
ってか、あれ?そもそも乙女ってどういう意味だっけ?若い女性?うーん。もしかした俺間違って使った?こういう時はあまり触れない方がいいかな。
「澪よりは弱いと思うけど。まあ松尾君だもんね。そんなこと思ってないよね。って、私乙女だよ?」
俺が少し考えつつ。長宮さんの話を聞いていると。無駄に乙女を強調してきたので――よし。深く触れないことを脳内で再度決定した俺だった。
っか、蓮華寺さんより弱いって――いやいやそもそも行動を起こさないように。何がとは怖いから言わないが。やめろ。である。あっ、そうそう、そしてこういう時は――。
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