第163話 新聞部登場3

 サングラスをした女子生徒に吹き飛ばされてからの俺は特にその後は何もなく。あっても嫌だが。図書室にやってきていた。ちなみに図書室に居た楚原先生に。


「あっ、松尾君。めっちゃ急なんだけど、今から新聞部が取材来るんだけどどうしよう?暑くて適当に返事してたら取材のお願いで今からになっちゃった」

「……急遽決まったのは先生が適当だったからか。って、俺もさっき知りました」

「えっ?知ってるの?」

「新聞部の人と会いました」


 とりあえず楚原先輩からも新聞部の取材について聞いた俺だった。ってか、暑さに楚原先生が負けているというか。一時の怖い先生オーラどこ行った?暑さで完全になくなったか?それとも、夏休みで他の生徒が居ないから油断してるのか?どっちでもいいんだが。


「って、楚原先生。確認ですが……今日は俺1人ですか?」

「石見さんも連絡したんだけど、連絡つかなくて。他の子は――いきなり呼んでもだからねー」

「……石見先輩は――寝てるな。うん」


 石見先輩は夏休みを満喫中とみた。それから俺は暑い図書室内で楚原先生と共に雑談をしつつ作業した。石見先輩が作ってくれたポップなどを楚原先生と確認しながら設置をしていったって、雑談の方が大変だったが。


「でで、松尾君何がどうなってるの?あの人が毎日面白い話持って帰って来るんだけど?」

「……」

「ねえねえ誰も居ないから」

「……」

「あの人のところで最近松尾君ところに女の子どんどん言ってるの話題になってるらしいわよ」

「……」


 作業しつつそんなことをずっと聞いてくる楚原先生でしたとさ。

 いや、予想はしていたよ?楚原さんにあっていなくても。絶対話題になっているとね。田園駅からワイワイ人が乗って行くってほとんどないからね。対策をと俺は一瞬聞きつつ思ったが。すぐに諦めて、スルー。作業のこと以外話さないようにしたのだった。それでも楚原先生は暑さも忘れてずっと聞いてきていたんだがね。


 するとそれから少しして――。


 コンコン。


 図書室のドアがノックされる音がして、入り口の方を見ると。開いているドアをノックしつつ『おっ、さっきの子ちゃんと居る』と言いながら手を振っているサングラスをかけた女子生徒が立っていたのだった。

 そして、俺と目が合ったことで入室の許可が出たと思ったらしく。サングラスをかけた女子生徒は図書室内へと入って来て。


「失礼します。新聞部です。お願いした取材に来ました。あっ、そうそう君さっきはほんと突き飛ばしてごめんね。全然ブレーキ効かなくて」


 そういいながら片足を上げるサングラスをかけた女子生徒だった――って、やっぱり靴下なのが原因だったらしい。上履き――どうしたんだろうね。


 ちなみにその後の事を言うと、取材は真面目なものだった。

 図書委員の活動内容から、図書室の利用方法。さらにはちょうど今は石見先輩が作ってくれたポップなどもあるので、そのことを、あと新学期から本の場所が変わります。的な話をして。って、取材に関しては全部俺が話したというね。


 楚原先生?気がついたら脱走してたよ。さっきまで俺の事を根掘り葉掘り聞こうとしていたが。取材が始まったら静かに。にこやかに消えていったよ。多分他の人が来たことにより。現実に戻り。暑さに負けたのだろう。または、楚原先生新聞部の生徒苦手?ってそれはないか。

 そうそうサングラスの女子生徒は、七和ななわなぎささん。石見先輩と同じ学年。つまり先輩である。なにやら1人で新聞部を作り。今のところ1人で廊下などにある新聞をつくっているとか。マジか。あれ――1人で取材して作っていたんだ。と話を聞きつつ驚いた俺だった。

 いや、取材担当とか、写真担当。編集担当とか何人かの生徒で作っているのかと思っていたよ。更新スピードそこそこ早かった気がするからね。

 だからその話になった時からだったか。取材はほとんど終わっていたことも――話が脱線しだしたのだった。


「あれ、七和先輩が1人で作っていたんですね。ちょっとびっくりっですよ」

「おっ、松尾君ちゃんとみてくれてたんだ。ねえねえ、松尾君新聞部興味ない?今めっちゃ部員募集中なの。どうどう?」


 するといきなり勧誘された。


「俺——図書委員で結構大変なんですが……」

「掛け持ちOK」

「いや、でも俺――取材とか。そういうなんか動き回るのは――って、さっきから話しが脱線」

「あー大丈夫大丈夫。新聞のネタはOKだから。これで3号くらい連続で図書室のこと書けるよ」

「……それはよかったです」


 一瞬話を戻そうとした俺だっいたが――既に取材は終了していたらしい。そしてだ。完全にここから話が脱線したのだった。


「じゃ、松尾君について取材しないと」

「……えっ?」


 いきなり標的が俺になったんですが――なんで?って、そういえば七和先輩。俺と先ほど廊下で会った時に既に俺の事を知っている感じだったんだよな。つまり――俺はマークされていたのか?


「いやいや、松尾君まずこれ見てよ。この前町でこんな写真をね」


 そう言いながら七和先輩はポケットから写真を。って取り調べかい!?って、これ―—服屋?あれ?見覚えが。さらに写真に写っているの――これ、俺と長宮さんだよ。


「えっと……なんですか?これ――」


 本当に俺マークされていたらしい。なんで?マジで何で新聞部にマークされているの?すると七和先輩はまだ何かあるのか。楽しそうにポケットからさらに写真を取り出した。


「さらにさらに、翌日美術室では何やら男の子が増えて三角関係かと思ったら……」

「盗撮めっちゃされてる――」


 俺がつぶやくとさらにさらに写真が出て来て。


「また女子生徒が増えて、なんだ。カップル2組か。とか思ってたら、お昼ご飯のあと松尾君が女子生徒2人を連れていくって、どういうこと?たまたまなんだけど、気になったから。本当はこっそり趣味で調査くらいなんだけど、今回は本人と接触できたし。松尾君話しやすそうだから。せっかくだから取材をね」


 めっちゃ楽しそうに、メモまで取りだす七和先輩。って何で俺標的に――って。普段から怪しいことも新聞部しているのか。

 俺、これハズレというか運が悪かったというのか。しまったな。図書室の取材で俺の事をなんか七和先輩も――石見先輩たちと同じく変な感じで理解。認識してしまったらしい。俺、そんなに話しやすいですかね?ってか。絡みやすいのか。


「……七和先輩。マジで何してるんですか。隠し撮り――訴えられますよ?」

「大丈夫。うん」

「いやいや――やばい、石見先輩のかおりがしてきた」

「——石見……あれ?どこかで……?」


 七和先輩が何か考え出すと……その時だった。


「失礼しま……あっ、お取込み中?」


 図書室の入り口から声が――って、これは結崎だ。


「あれ?結崎?」


 俺が入り口の方を見ると制服姿の結崎が立っていた。そうだそうだ、結崎部活で今日は学校って言っていたからな。って、確か俺は学校に来るの急に決まったから――結崎には言ってなかったはずなんだが。なんで俺が図書室に居るのわかったんだ?

って、それより、今俺の前にはこういう状況が大好きとみられる先輩が居るので……。


「なんと!?3人目の女子生徒!?って、またレベル高っ。松尾君見かけによらず……手出しまくり?」

「ちょっと七和先輩。お静かに」


 ほら。めっちゃ反応してるよ。


「3人目?って……えっと松尾君今――これは何?」


 結崎が戸惑いつつ聞いてくる。


「現在は新聞部の取材——まあもう終わって、雑談になってるけど、そしたら結崎が来た」

「なるほど」

「ちょっとちょっと松尾君。取材取材。彼女は誰?3人目の女ってタイトル?」

「タイトルってなんか書こうとしてますよね?やめましょう。七和先輩。落ち着きましょ」

「えっと、私——帰ったほうがいい?」


 まだ入り口で戸惑っている結崎。こういう時は――。


「いや、大丈夫。うん。ってか、結崎居てくれ」

「えっ?私……図書委員じゃないけど?」


 とりあえず俺はパパっと図書室にやってきた結崎に今の現状説明をした。すると――。


「えっと……やっぱり私邪魔じゃ――余計にややこしくならない?」


 俺の説明後結崎は七和先輩に確認をとっていた。ちなみに七和先輩はというと。


「いや、大丈夫大丈夫今は松尾君のハーレム調査だから。むしろ居てくれないと。図書室に関しては終わったからね。で、結崎さん?あなたは――松尾君の何人目になるの?」

「七和先輩!?話聞いてた?聞いてないですよね?」


 確か俺が結崎にこうなった経緯を説明している時。となりで座って『うんうん』言っていたはずなんだが――この新聞部大丈夫かよ。ってか、なんで俺手当たりしだいに手を出してる男子みたいになっているのか。 

 俺が呆れていると結崎が顔を覗き込んできた。


「松尾君?」

「結崎。今はいろいろ起こってるから疑いみたいな視線とかはやめてくれ。クレームはあとで聞く」

「あっ、いや、違う。その……」

「なんか、この2人いい感じ?もしかして――」

「七和先輩。結崎に説明しながら言いましたが。七和先輩の隠し撮り全て理由ありですから。変な事。ネタになるようなことはありませんから」


 俺は七和先輩の出してきた写真に関しても結崎にちゃんと話したんでね。問題は無いはずだ。結崎も――多分わかっていることなので。


「でも、結局は松尾君女の子に頼られまくってるよね?ねえ?」


 ちょっと、七和先輩がグイグイ来るんですが――。


「……頼るれてるのか」

「だからハーレム調査は正しいよ。これ過去最高に面白いことになりそう」

「やめてくれ」

「ハーレム――調査」


 七和先輩の話を聞き、つぶやきながら俺を見てくる結崎。うん。結崎。変な視線やめて?俺――説明したよね?


「結崎?俺――説明したよな?」

「いや、わかってるけど……確かに奈都と出かけたり。美術室の話は――ちょっとしか聞いてなかったから」

「……結崎。頼むから今は七和先輩にネタ投下しないでくれ」

「あっ、ごめん」

「なんかスクープスクープ?それに、松尾君。結崎さん――いい関係?ってか付き合ってる?付き合ってる?」

「付き合って――ないです」

「同じくです」


 結崎がちょっと恥ずかしそうに言った言葉に俺が続く。って、隠し通せるか謎なんだがね。いや、まだ会ったばかりの七和先輩だが。俺――盗撮とか気がつかなかったし。ちょっと油断したらいろいろ見られそうなんでね。ってか、多分結崎の挙動が怪しいので。


「えーほんと?実は?実は?ほらほらー」


 七和先輩が超楽しそうに結崎に聞いていた。


「——付き合っ」


 再度結崎が苦笑いをしつつ答えようとすると……さらにそこでややこしいことになった。


 バタバタ――。


 廊下から誰かが走ってくる足音が聞こえて来て……。


「遅れて参上!取材だって?面白そうじゃん!あっ、サングラスちゃん」


 石見先輩が図書室に乗り込んできたのだった。って、サングラスちゃん?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る