第146話 作業は終わった
「じゃ、鍵返してファミレス行こう!」
「賛成ー!」
「「……」」
なんか盛り上がっているみたいだが。とりあえず現在のことを説明しておこうか。
やっとのこと。図書室の片付けやらやらの作業が終了したところだ。
今日学校に楚原先生が居なかったため。石見先輩が作った物などの配置がまだだから、そのうち呼ばれる気がするが。今は忘れよう。出来ること。やるべきことはやったからな。これでとりあえずは俺もちゃんと夏休みになるはずだから。
確か世間は既に夏休みだったよな?なんか俺は図書室ばかりと、いろいろあって。って、六石は――いいか。そのうち連絡あるだろう。六石も毎日部活という事ではないだろうしな。もしかしたら居たのかもしれないが、今日は今のところ会っていない。それに音沙汰なしにもしなっても。こちらには長宮さんや蓮華寺さんが居るから、六石が逃げるのは無理だろうからな。まあ逃げないと思うが。
ということで図書室の作業終了後はお昼ということになり。俺たちは学校からファミレスに寄って帰るという話になっているのが現在だ。
ちなみに俺は会話に入ってないがね。あと、結崎も話には――入ってないな。話しているのは、石見先輩と長宮さんだ。この2人。話が合うのかそもそも似ているのか。どんどん仲良くなるんだよなぁ。って、俺この3人と昼飯行くのか。大丈夫だろうか?いろいろ目立つ気がするんだが。
「ゆえちゃんもそれでいい?」
俺がいろいろ考えていると石見先輩が結崎に話しかけた。って、あれ?もしかして俺入ってない?数に俺が入ってないということは――これ帰っていいかな?と、思った。思えたのは一瞬だけだった。
「あ、えっと……松尾君は行かないの?」
結崎が俺に触れてしまったからだ。普通は今まで一緒に居て、急に仲間外れは……あるか。あるな。でも、結崎が一応確認という感じで石見先輩に聞くと。
「あれれ?ゆえちゃん松尾君も誘ってほしいのかな?」
石見先輩。その言葉を待っていましたと言わんばかりに超ニヤニヤしていた。
「先輩。松尾君誘わないとゆえキレますよ?にひひっ」
さらに長宮さんもニヤニヤしていた。これ、いつの間にか2人で何か話を合わせたな。演技にしか見えないのだが。
「えー、どうしようかなー」
「どうしますか?先輩」
「難しいねー」
「ですねー」
「ニヤニヤ」
「ニヤニヤです」
ちなみに、石見先輩、長宮さんがそんなやりとりをしているので、結崎もすぐに気が付いたらしく。
「……なんか私聞くこと間違った気がする」
結崎当たりだ。これはわざと。ってか、2人めっちゃ楽しんでるわ。俺帰りたいである。
「でもでもー。女子会もいいよねー」
「あっ、ですね。女子会しましょうか」
「もしそこにゆえちゃんがどうしても――後輩くんを入れたいって言うと、後輩くんを女装させるしかないかなー」
嫌だよ。
「あっ。面白そう。松尾君の女装――うんうん」
なんか恐ろしい会話が始まった。
「帰ります。即返ります。お疲れ様でした」
ダメだこりゃ。居てはダメだ。巻き込まれたら黒歴史が作られるため。俺は荷物を持ってパパっと退散することにした。荷物よし。とっとと帰りましょう。
「あー、嘘嘘。後輩くん」
後ろからは石見先輩のそんな声がすぐに聞こえてきていたが。俺は歩く。女装は不要だからな。
「松尾君。先輩の冗談だから。怒らない怒らない」
すると長宮さんがすぐに俺を追いかけてきた。そして、あっという間に追いつかれました。これダッシュ必要?でも暑いしな。走るとか怠いんだが。
「——帰りたい」
「まあまあ松尾君」
「……そうだ。結崎。あとは任せる」
俺は長宮さんに付いてきていた結崎に声をかけたが――予想通りの返事が返って来た。
「あまり任せられたくないんだけど……」
めっちゃ嫌そうな返事をしてきた。
「——まあそうか」
チラッと結崎の方を見てみると、苦笑いをしつつ。1人は無理。というオーラを発していた。多発させていたな。すると、石見先輩も俺達に追いついて来て。
「あっ、そうだそうだ。後輩くん。お詫びに後輩ちゃん貸すから許してよー」
「なっ!?いきなり私売られた!なんで!?先輩!?」
「仲がいいことで、マジ帰りたい」
何故か長宮さんが売られかけたが――俺には関係ない。関係ないはず。俺が呆れつつつぶやいていると。同じような感じで。
「だねー……私も帰りたい」
結崎もそんなことをつぶやいていたのだった。すると俺と結崎の雰囲気を長宮さんが感じ取ったらしく。
「あっ、先輩。ゆえと松尾君が2人で帰ろうとしてますよ」
また面倒な方向に話をもっていこうとしてくれたのだった。暑いから全部に返事。対応はしたくないんですが。ってか、石見先輩も長宮さんも元気だな。体力ありすぎだろ。
「それはダメだね。2人で帰らせたら何か起こるかも」
「あっ、確かにー、ニヤニヤ」
「「……」」
誰か助けてくれ。暑いのに大変だよ。ちなみに結崎から「この2人何とかしてよ」みたいな視線が飛んできていたが――「無理無理」と俺はすぐに手を振り返したのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます