第133話 新・結崎?

 結崎の家までやって来た俺と石見先輩に長宮さんの3人だったのだが。結崎は不在で会うことが出来す。

 現在は結崎の家から俺の家へと何故か向かうことになってしまったので。

 俺は大変面倒――いや、嫌な予感しかしない状況で公民館前駅へと戻っているところだ。


「ゆえちゃんは居なかったけど。後輩くんところ行けるのは行けるで良しだね」

「松尾君ところに何か冷たいものないかなー」

「あっ。アイスとか」

「フルーツでもいいな」

「あっ。いいねいいね」

「——めっちゃいろいろ勝手に言ってるが。俺の家そんなに物がポンポン出てくることはないのですがね」

「えっ、出てこないの?」

「石見先輩?」


 この先輩遠慮とか言う言葉ないですね。ないない。って、俺に石見先輩のお相手はきついと言いますかね。無理誰か助けてであるが。今のところ誰も俺の味方は居ない感じだった。


「松尾君ところのおばあちゃんなら何でも出してくれそうだけどね」

「長宮さん余計なことはいいです」


 ほら、石見先輩のお仲間なら居ますがね。俺のお仲間がいない。


「おお。松尾君ところ面白そうじゃん。そしていい感じじゃん。ってことでどっちだっけ?田園駅?に向かうの?ってかあっち向いて電車走っていたんだ」

「走ってますね」


 そっか。石見先輩は基本電車に乗ることがないだろうから、俺のところの最寄り駅など想像もできないのか。などと思いつつ歩いていると公民館前駅が見えてきた。


「電車あるかなー」

「微妙ですね」


 時間的には、先ほど乗ってきた電車が多分少し前に折り返しで大学方面へと行ったはずだから。少し待つことになるかな。などと俺は思っている。

 とりあえず、3人は公民館前駅へと到着したのだった。暑い。汗だらだらである。何でこんな暑い中無駄に歩いているのか。


「松尾君。飲み物」


 駅に着いてすぐ。長宮さんがそんなことを言ってきた。


「マジっすか」

「いいところに自販機があるよー。後輩くん」

「ってか、自販機で思い出したんだけど。六石どうなったんだろう?なんか俺に水ぶっかけて――ってそうだよ。俺金もないんですが――」


 そうだよ。俺の持ち金小銭しかないよ。


「松尾君。金使いが荒かったんだね」

「長宮さん知ってるよね?って。長宮さんモロ関わってますよね?」

「だねー」


 そういえば、六石にあとで――とか言っていた気がするのだが。その後姿を見てないというね。もしかして俺たちが帰って来てしまって――どこかですれ違った?その可能性はありそうだ。または、まだ部活中か。でもまあそのうち何とかなるか。連絡先も知っているし。って、この2人は何故に俺の財布を狙ってくるか。ないの知ってるでしょうが。


「なるほどなるほど、後輩くんはそうやって言って飲み物を1本にさせて回し飲み。間接キスがしたいと」

「うわー、松尾君そんな子だったのか。にひひ―」


 誰かこの2人を止めてくれ。疲れる。相手するだけで精神面がどんどん削られるよ。それに今はいいが、これ誰かほかの人がいるところでされたら無理だ。無理無理俺めっちゃ変な視線で見られそうじゃん。


「もう笑いが既に漏れているというか――何を勝手な事言ってるのか。全くそんなこと考えてないので。ってか、各自飲みたい方買って飲んでください」

「後輩くん。無理しなくても飲ませてあげるよ?私が飲んだ後で。にひっ」

「石見先輩。そろそろお黙り」

「わあぉ。後輩くんが強い」

「暑さ以外で倒れそう。ってこの2人この後俺の家に来るつもりなのか――」


 もう地獄。いろいろと地獄である。


 すると遠くから踏切の鳴る音と、電車の走行音が聞こえて来て――さらに近くの踏切も鳴り出した。


「あっ。電車来た来た。これなら松尾君の家まで我慢できるかな」

「後輩くんの部屋漁り楽しそう!何が出てくるかー」

「石見先輩。反対方向の電車も待っていれば来ますので、このままここに居てもいいかと思いますけど?」

「後輩くんが酷い」

「先輩が元気すぎるのです」


 俺の横でぴょんぴょん跳ねる石見先輩。元気。そして――暑くないのかね?そんなに動いて。

 駅のホームでそんなことをやっていると、電車の姿が近くなり――俺たちの前へと電車がやって来た。


 電車が止まると俺たちは近くのドアへと移動した。って、そうだ降りる人優先だよな。

 ドアが開く直前車内でも降りる人がいたらしく。座席からドアの方へと移動してくる影があったので、俺がドアから1歩離れると長宮さんも同じく1歩離れた。


「——うん?」


 すると、何故か石見先輩だけ。車内を覗き込んだままだった。って、ほっておいていいかな?石見先輩なら――まあ邪魔にはならないだろうし。スリムだから。


 するとドアが開いて数人の人が電車の中から降りてきた。ってか、今日はまたレアですよ。公民館前から田園に3人も乗りますからね。

 あっ運転手さん。見なかったな……楚原さんだとまた噂が流れる。などと思いつつ。3人の人が降りると、俺たちは入れ替わりで車内へと――入らなかった。


 理由は――。


「あれ!?ゆえちゃん?」


 後ろからそんな声が聞こえてきたからだ。ちなみに声の主は石見先輩。

 俺と長宮さんは「えっ?今の人の中に結崎居た?」という感じで石見先輩の方を見て、ってすると。先ほど降りた人のうち。最後に降りた人も石見先輩の声に反応して振り返っていた。

 黒髪で――長さは肩にかかるくらい。そして、デニムのパンツ?とか言うのか知らんが。シンプルにおしゃれというか。すらっとした綺麗な腕がシャツからは伸びている――って?うん?


 石見先輩がゆえちゃんというのはもちろん結崎の事だろうと思うが――どこに結崎の要素がある?あっ、もしかして同級生に同じ名前――などなど思っていると。


「えっ?——何してるの3人とも……」


 普通に俺の知っている声がその女性から――って、ちゃんと顔を見てみると。ちょっと太陽がまぶしくて、見にくい――って。えっ?結崎?


 いや、振り向いた女性。多分結崎だ。いや、結崎なんだけどさ。お派手さどこいった?という状況だった。染めていた髪どうした?って、少し切ったよな?髪も。って、俺の横に居る長宮さんですら。


「————えっ?ほえ!?マジ!?ゆえ!?」


 認識に少し時間がかかっていた。そして目が飛び出る?くらい驚いていた。

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