第57話 終業式それは始まり

 今日はとても天気が良い。朝から雲一つない晴天。だから。


「暑い……」


 現在の俺は学校の体育館に居る。何をしているかって?今日は終業式である。1学期終了というやつだ。


 先週は面談日ということで面談の日以外は自主学習とか言うやつだが。思い出すと俺なにも勉強してないわ。完全に休みを満喫?していたのかは微妙だが、勉強はした覚えがない。っかいろいろありすぎたからか。一部記憶が飛んでいるというか。


 結崎、長宮さんが帰ってからの記憶は、断片的だな。なんかめっちゃ疲れたしな。

そして気が付いたら先週は終わって、現在だ。

 朝から気温が上がり暑い体育館に集められている俺達というか生徒。


 校長先生よ。そんなに長々と話さなくていいから、とか思っていたら。お話終了。おお校長先生早いじゃん。さすがに校長先生も暑さには勝てなかったか。


 が、それですぐに終わらないんだよな。

なんか生活指導とか知らんが。どこかの担当の先生の話があって、結局そこそこの時間体育館に居たため。煮えた。窓が全て開いているとはいえ。最近の猛暑以上だ。なんか床も触ると生暖かいし。これそのうち体育館にもエアコンをである。まあ無理だろうが。っか、マジで暑かった。


 そして進行をしていた先生が「順番に教室戻れー」とか言い出したため。ぞろぞろと退出である。でもすぐには出れないんだがな。上級生から体育館を出て行くのでね。下級生はざわざわとその場で周りと話して待って居る。という状況だ。


 すると俺の後ろに居るお方が話しかけて来た。


「松尾君」

「なに?」


 呼ばれたため俺は後ろを振り向く。あっ、俺の後ろに居るのはもちろん結崎である。我がクラスの室長様である。

 出席番号順というか。あいうえお順というか。集会とかの時に並ぶのはずっと変わらないのでね。っか、そういえばうちのクラス。1学期は席替えなかったな。ずっと始まってから同じ場所だった。ってそれは今はいいか。


「呼ばれてるよ?」

「はい?」


 結崎の方を振り向いた俺だったが。結崎は前の方を。正確には、右斜め前?の方を指さしている。俺は結崎が指さす方向を見ると、楚原先生が手招きをしていた。

 嫌な予感……。


「松尾君よく呼ばれるね」

「ホントだよ」


 俺が言うと同時に1年生も教室に戻れとなったのだが。俺だけちょっとみんなと違う方向へと移動した。


「よかったよかった。結崎さんが気が付いてくれて」

「何か御用でしょうか?楚原先生」

「松尾君今日放課後。お昼まで大丈夫?」

「えっ、あー、はい。って何故でしょうか?」

「今日放課後夏休み前の貸し出し時間なんだけど。先生ちょっと用事があって。頼んでいいかな?って。他の図書委員の子見つけられなくて」

「あーはい。ちゃんとした委員会なら」

「あれー。おかしいな。放課後はちゃんとした委員会しかしてないはずなんだけどなー」

「楚原先生が1人でお話に盛り上がってますから」


 最近の図書委員の時って、なんかめっちゃ恋バナ?って言うのかは知らんが。とにかく楚原先生のおしゃべりタイムだった気がするからな。生徒が来てくれると良いんだが、先生と2人の時はほぼおしゃべりタイム。いいのかよこれで。って状態だったからな。


「そんなことはなかったと思うんだけど、ってとりあえずお願いね。ってことで図書室の鍵ね」

「あっ。わかりました」


 ということで本日の俺、放課後にお仕事が入りました。

 あれだな。夏休み中用の貸し出し。いつもより多く本が借りられるのでね。そこそこ来る人は居るのじゃないか。とか思っているが。どうなのだろうか。普段の利用者めっちゃ少ないからな、うちの学校。そんなことを思いつつ。楚原先生に図書室の鍵を渡された俺はポケットにしまい。体育館を後にした。


 それから教室に俺が戻って、少しすると担任の先生が入ってきて、いろいろお話。ロングホームルームとか言うやつだな。

それがしばらくあり。


 終了。


 ロングホームルームが終了すると。解散となったのだが。俺達のクラスちょっと早く終わったらしく。まだチャイムが鳴っていない。なので担任の先生も「チャイムが鳴ってから教室出ろよー。あと騒ぐなよー。隣からクレーム来るからな」とか今言っている。

 俺はそんな先生の声を聞きつつ。

 荷物をカバンに、ってそんなに今日は多くないんだがな。あっ、机とかに忘れ物ないかだな。夏休みに学校来ることはないんだから。

 一応机の中も確認した俺。何も入ってない。よしである。後ろのロッカーはすでに確認済みのため問題なし。あとはチャイムが鳴ったら図書室へだ。


「松尾ー」


 すると声をかけられた。この声は、蓮花寺さんだな。

 そして俺が反応するより早く。空いていた俺の前の席に蓮花寺さんが座った。

 周りを見るともうみんなグループというか。なんか所々に集まり雑談タイムになっているからざわざわしてるな。ってなんで俺の前には蓮花寺さんが居るのか。


「どうしたの?」


 とりあえず聞いてみると。


「いやー、奈都から聞いたよ。面談のあとめっちゃ楽しそうなことしてるじゃん。私も用事なかったら絶対行って松尾の部屋漁って弱みでも握ったのに」

「怖い。っか何もないからというか。なんでそんな話が広がっているのか」

「奈都が楽しそうに話してくれた」

「さいですか」


 おしゃべりなこっただよ。ホント。


「ってことでそのうち私も行くのあり?」

「……俺の平穏がー」


 俺と蓮花寺さんが話していると。


「澪ー。松尾君独り占めすると妻が激怒してるよー」


 後ろから違う声が聞こえてきた。って、俺の隣にどこから持って来たか知らないが長宮さんが椅子とともにやって来て座った。って今長宮さんなんか意味の分からないと言わなかった?言ったよね?ここ教室。


「大丈夫でしょ?先生と話してるし」

「まあね。でもめっちゃ見てたよー」


 俺がなんか引っかかっている間も2人の会話は続き、話しながら2人は教壇の方を見た。俺も流れで教壇の方を見てみると。


「……あっ」


 なんかこっちを見ている人が居た。というか。そうか結崎先生に呼ばれてたな。

 ちなみに現在の結崎は教壇で数人の生徒とともに先生と何か話している?とりあえずなんか話していた。

 その途中に、こっちをチラ見?していたのかは知らないが。そのチラ見中に俺ら3人が見たからか。慌てて結崎は前を向きなおしていた。


「見てるね」

「見てるでしょ」


 そしてそんな声が聞こえたと思ったら、なんか今度は俺が2人に見られていた。


「……何でしょうか?」

「いや、松尾がハーレム状態?」

「これ取り調べじゃない?」

「あー、確かに囲んでいるしね」


 蓮花寺さんと話していると長宮さんも話しに入ってきて、完全に包囲か。


「松尾君悪いことしちゃったの?何しちゃったの?」

「長宮さん今日も楽しそうで」

「なんてったって夏休みだからね。遊びまくれるからね。ってそうそう松尾君おばあちゃんにお土産激うまだった。って伝えといて」

「……了解」

「奈都何もらったわけ?」

「いや、松尾君とこのおばあちゃんすごいよ。めっちゃお土産くれてさ、って、料理激うまなのよ」

「いいなー。なんで松尾私を呼ばないわけ?」

「用事あったんだよね?」

「あっそっか」

「っか澪も今度一緒に松尾君とこ行こうよ。夜遊び放題だよ。真っ暗だけど」

「長宮さん俺の情報を教室で拡散しないで」


 聞いている人が居るかは知らんが。って、まあ今の会話じゃわからないと思うが。

 でも、俺のところのばあちゃんが長宮さんに何か渡したのはバレたか。いや、そもそも聞いてるやつ居ないよな?居るかな?とか思っていると。


「あー、だね。あそこゆえの秘密基地だもんね」

「秘密基地?」

「そうそう、だってゆえ甘々ってか。めっちゃくつろいでたじゃん。あれはもう自分の家の感じだよ」


 長宮さんが言ってから、急に小声になり。


「……あと松尾君の隣に居る時のゆえ。めっっちゃ落ち着いている。うん。あれは、、、何したの松尾君?」


 何故に教室でコソコソ話がはじまるか。


「……何もしてませんが!?」

「松尾。実はもう……手出した?」

「勝手に話を進めないでいただけますかね?」

「絶対おかしいからね。松尾君と居る時。ゆえデレデレでしょ」

「……えっ?」


 いやいや、俺は、結崎に楽とはよく言われるんだが。とか思っていると、それは突然だった。


 パシン。パシン。


「「いったー」」


 びっくりしたー。である。


「……」

「何話してんの!聞こえてるから。もう」


 俺たちの横には、ちょっと顔を赤くした?室長様。お仲間2人の頭を持っていた紙で叩きました。

そして、長宮さんと蓮花寺さんの間に立った。って、結崎がそこに立ちますと、俺完全に身動き取れないんですが。わかってますかね?あっ、はい、すみません。何もいいません。


「ゆえの地獄耳よ」


 蓮華寺さんがやれやれと呟く。


「だねー、地味に力強めで叩かれたー」

「2人が変な事言うから。ごちょごちょ聞こえてくるし……もう」

「松尾君。ゆえに怒られたんだけどー何とかして」

「……そちらで解決してください」

「妻の面倒み」


 パシン。


「……痛い」

「……」


 長宮さん2回目の攻撃を受けた。するとちょうどその時。


 ♪♪~


 チャイムが鳴り。解散となったため。クラスから人が出て行ったら。ざわざわが増した。あれだな。他のクラスも終わり廊下もにぎやかになって来たが、俺の周りに居る3人動かないんですが。

 ってなんで俺囲まれているのか。この目立つ3人さんに、これ俺いじめられてるとか周りの人見てない?って、なんか俺周りの男子から睨まれてる?もしかして、なんでこの3人が俺なんかとってやつ?なんか周りも危険ということでこういう場合俺は。


「あの。ごめん俺楚原先生に呼ばれてるから……」


 ちょうど理由があったから逃げた。


「あー、松尾君体育館で呼ばれてたね。ほら、奈都道開ける」

「えー、せっかく面白そうだったのにー、じゃゆえ。お座り」

「はい?」

「だね。ゆえお座り」

「澪もなに!?」

「……」


 なんか結崎が長宮さんを少し移動させてくれたので、俺はその間にカバンを持ってさようなら。


「じゃ」

「あー、またねー。松尾君」

「松尾ー。夏休みマジで行くからねー」

「えっ?さっきのマジ?」

「マジマジ。だって暇じゃん」

「……」

「……あれ?ゆえー。いいの?行っちゃダメーとか言わないの?」


 パシン。


「……ぅぅ、あ、頭が……」

「奈都。もう。あっ松尾君委員会頑張って」

「あ、ああ」


 長宮さん3発目、仲良しという事か。と思いつつ俺が教室を出ると。


「ゆえいいの?あんな暴力的なところ見せて嫌われるよ」


 とか言う蓮花寺さんの声が聞こえたが。そういえば教室にまだ居たんだよな。で、バンバン長宮さんを叩く室長様。あまり周りは気にしないだろうが。仲良し3人でじゃれているみたいに見えただろうし。

 でもあまり激しい行動はかな。室長様ですし。とか思いつつ俺は図書室へと向かったのだった

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