第39話 クラスマッチ2
さてさてあれからどれくらい過ぎただろうか。
俺は病院に運ばれて、検査の結果。
めっちゃ待たされた。病院って長いんだよな。待ち時間が。保健室の先生曰く。この病院はうちの学校の運動部がよく使っている病院?まあ町の病院で。とってもいい先生と待って居る時に聞いたのだが、まあ待ち時間が長かった。
そして長い長い待ち時間のあと、あっさりと。問題なし。と言われた俺だった。
出血したところもなんか、最初だけ派手にポタポタした割には、病院では止まっており。一応念のため大きな絆創膏を貼って終わった。
そして先ほど荷物があるので俺は学校まで保健室の先生に再度運んでもらい。
ってすでにクラスマッチ。球技大会はとっくに終わっていて、今居る生徒は部活だろう。少しグラウンドから声がしていたくらいだった。
その他の生徒は帰った後らしく。校内などは静かだった。
俺は教室に荷物ほってあるよな、と思いつつ教室へ向かうと。
「あっ、帰って来た帰って来た」
「……えっ?」
教室に入るなり声をかけられた。
「おー、松尾生きてた?ほらほらゆえー。おかえりでも言っておいたら?」
「お、おかえりは……変でしょ。大丈夫だった。とかじゃ、って澪の生きてた?もどうかと……」
なんか俺の席に座る。長宮さんその隣の席から椅子だけ借りている蓮花寺さん。自分の席に座っている結崎の3人が教室にはまだ居た。
ちなみに体操着から制服には着替えていた。ってなんでまだ居るのだろうか?
「えっと、3人は何をしてるのでしょうか?」
「そりゃ、ゆえが松尾君心配過ぎるから帰らないとか言ったから。私たちも暇だしで一緒にだね」
あっ、これは絶対嘘だな。と、俺はすぐに分かった。長宮さんめっちゃニヤニヤしてるし。なので、俺の予想通りのことが起きた。
「言ってません!」
「えー、言わなかった?」
とまあ結崎と長宮さんがなんかやり取りをしていると。
「まあ暇だったから、けが人が帰って来るの待ってたんだよ」
蓮花寺さんがこちらを見つつ言った。
「それは、何というか。待たせてごめん?心配かけてごめんか?」
「ホントだよー。長かったー」
長宮さんが背伸びをしながら言った。そして。
「ってかさ。聞いてよ。松尾君。先生ら全く私の話信じてくれなかったんだよー」
いきなり何か始まった。ってもしかして、長宮さんご機嫌斜めだったりする?という雰囲気になった。
「……うん?」
俺がなんだ?と思っていると。結崎が教えてくれた。
「なんかね。松尾を体育館に呼ぶように言ったの在良と大木だったんだって」
「えっ?そうだったの?」
俺は午前中の事を思い出す。ドッジボールが終わり。のんびりと思っていたら。一緒に参加していた長宮さんに掴まって体育館に移動したな。確かそうだ。
「そう、なのに2人ともとぼけてさー。で、バスケの試合の最後。あきらかに蹴りにいったの私は見たのに。ボールがコートの外に出そうで、癖で足で止めようと足が自然と動いたとか在良は言うし。それに話を合わせる大木もだし」
うん、わかった、なんか長宮さんが怒っているのは理解した。と、思っていると結崎が思い出したように。
「あっ、ところで松尾君大丈夫なんだよね?」
俺をのぞき込むように見てきた。
「まあ普通に帰って来たのでね。特に何もなく絆創膏貼られて終わった」
「よかったー」
結崎が言うと、他の2人が、呆れた?いや、にやけた?違うな。なんとも言えない表情?で、互いの顔を見て。
「あー、ゆえがおかしいねー」
「ホント。一気に表情緩んだね」
「これは何かありますねー」
「あるね」
「そのうち取り調べ?」
「拘束して締め上げるとか?」
「面白そう!」
「2人とも!?」
うん、仲良しなんだね。この3人ホント。とか俺は思いつつ。とりあえず荷物を取りたいのだが。まあこの3人動く気配がなかった。
「って、ゆえに妨害されたけどー」
すると、長宮さんが先ほどの話に多分戻そうとそんなことを言いだしたら。
「まず心配するのが先じゃないかな?松尾君怪我して病院送りになったんだから」
「はいはい。ゆえはもう黙っててねー」
「もう」
「でさ、松尾君」
やっぱり長宮さんはまだ話したい様子だ。
「はい?」
「先生らにちゃんと言ったら?」
「何を?」
「えっと、だからその蹴られたとか」
「いや、俺状況がいまいちわかってないんだが。ボール追っかけて……しか」
「まあだよね。あの角度は松尾からじゃわかんないよ。相手の選手も見てないんだし」
そこで蓮花寺さんが話に入って来た。
そしてそこからクラスの人気者3人さんからいろいろ聞いて、って、ホント俺は教室でこの3人と何をしているんでしょうね。とりあえずわかったのは。
長宮さん曰く。体育館に俺が居るようにしたのは大木君在良君に言われたから。だからなんか自分も使われたみたいで……とかまあぶつぶつ言っていた。
ちなみに、結崎と蓮花寺さんはそこまでちゃんと見てなかったから何とも……らしいが。
あと、長宮さんは、ちょっと俺がバスケットボールの試合に引っ張られていったのが気になったらしく。注意してみていたから。俺が相手の選手とボールを取りに行った際。そこに在良君、大木君が何故か猛ダッシュで追いかけて、ボールを止めると見せかけて蹴り上げた。と。それがあきらかに俺がボールを触ってからだったから。声を出した。でもそのあと、在良君、大木君の2人が白熱してや。癖で足が出たやら。周りの審判の先生も選手らもはっきり見ていた人が居ないから。で、長宮さんはしばらく抗議をしていたらしいが。結局プレイ中の事故みたいな形になったと。
そして今は納得せず怒っている様子。って、長宮さん俺のために抗議までしてくれていたらしい。
「とりあえず、長宮さんありがとう」
「えっ?」
いろいろしてもらったみたいなので、俺はとりあえずお礼を言っておいた。
「いや、知らない間にいろいろしてくれたみたいだし」
「そりゃ、まあ、さっきも言ったけど、私が言われたから。って松尾君引っ張って体育館行ったんだから。って、松尾君もなんかないの?最近嫌がらせと」
「いや、そもそも在良君大木君とはほとんど接点がなかったから」
これは事実だ。マジで接点らしい接点ないんだよな。話すこともなかったし。
「もしかして……最近松尾が私たちと話してるから?」
蓮花寺さんがぼそりとそんな事を言った。
「あー、そうか。そういえばゆえが休んだ時3人でお昼食べた時。その後ちょっと聞かれたわー。何してたんだ?みたいなこと。忘れてた。忘れてた。えっ?ってそんなことで?」
驚いた顔をしつつ話す長宮さん。
「男子だと馬鹿だからそうかもよ?奈都も人気あるからね。どっちかは狙ってるだろうし。まあ両方かもね」
「えー、話していて嫌じゃなかったけど、それは微塵もないかなーって、今じゃ有り得ない」
なんか蓮花寺さん長宮さんが話し出したが。確かに俺がこの3人とこうやって居るのなんかおかしいよな。知らない人が見たら絶対こいつら接点ないだろ。って感じだと思うし。俺地味だからね。
ここに居る3人から見たら、ってそういや1人忘れてないか?
とか俺が思っていると。1人この話に入ってきていなかった結崎がボソッとつぶやいた。
「……3人でお昼食べたの?」
小さな声で言いつつ俺達3人を順番に見たのだった。
「「「……」」」
俺と蓮花寺さん。長宮さんはそれぞれの顔を見て、そこ?という反応をした。
いやだって、ほんと引っかかるのそこ!?だったので。そしてちょっと間があって。
「あー、そうかそうか。ゆえも一緒に食べたかったんだね。はい。松尾君次はゆえともお昼食べてあげて」
「えっ?」
何か納得した長宮さんがそんなことを言いだして。
「だね。一緒に食べてあげて、逃げないで」
「え?」
蓮花寺さんも頷きながらそんなことを言いだした。ってこれどういう状況だろうか?
「ちょちょちょ、何の話してるの!」
結崎が長宮さん蓮花寺さんの方に言い。それを聞いた2人が。
「「ゆえが松尾君と私もお昼ごはん一緒に食べたい!って顔してるから」」
「……ハモったよ」
俺がつぶやくと、って、結崎とごはんって、別に学校以外なら何回か食べたことあるが。など想い出していると。
「もう、勝手な事言って……」
結構プルプルプルプルしている結崎が居た。ちなみにかなり顔が赤かった。っていじられてますね。っか、これはお怒りのサイン?恥ずかしさ爆発のサイン?ってか、だから結崎よ。俺となんかと居るから、とか思っていると。
「あれ?私なんの話してたっけ?」
長宮さんがふと何かを思い出したように言いだして。
「……松尾君の事でしょ。あれは故意のプレーだとか」
一度深呼吸した結崎が呆れつつ。長宮さんの問いに答えた。って今の一瞬で切り替えができるのは、やっぱり結崎のすごさか。ちょっとまだ顔は赤いが。
「そうそう。そうだよ。もうゆえがおかしなこというからわからなくなったじゃん。で、松尾君。どうする?」
「どうするって、まあやっぱ俺わかってないし。パイプ椅子に突っ込んだのは確かだけど。事故?言われたら事故だし」
「まあ何か言っても難しいかもね」
蓮花寺さんがつぶやく。
「まあ、そうだけど、あれ絶対わざとだよ?」
結局最後まで長宮さんはぶつぶつと言っていた。そして4人で話していると見回りに来た先生に「おーい。とっとと帰れよー」と早く帰るように言われたため。
俺達は学校から駅の方へと移動することとなった。
そして長宮さん蓮花寺さんは大学前方面らしく。歩きながら「この後はストレス発散だー」とか言いつつ。先ほどちょうど大学前方面の電車が来るタイミングだったので高校前駅の中で別れた。
ちなみに結崎は2人には付いていっていない。というか。
「ゆえは今日は松尾君と帰るよねー」
長宮さんに散々歩いている時に言われていて、ちなみに数回同じセリフを俺でも聞いた。というか前を歩く3人の方から聞こえてきていた。
そして現在結崎は俺の隣に立っている。なんかわからんが。今日は結崎。2人に誘ってもらえなかったということだ。
「……なんか。2人が騒がしくてごめん」
「いや、まあいつも通りかと」
「ってかホント大丈夫?」
「えっ?」
「その……怪我のところ」
どうやら結崎は本当に俺の怪我を心配をしてくれているというか。教室でも大丈夫かとか聞かれた気がするが。心配してくれているのだから、ちゃんと答えるべきだな。
「ああ、うん。打ったところはまだ痛いけど、そこまでだな」
「そう。よかった。ってさ」
「うん?」
「本当に3人でお昼ごはん食べてたの?」
訂正。もしかしたら心配していたというのもあるが。この話に持っていきたかったかったから話し出したという可能性が浮上した。
「結崎、それにめっちゃこだわるな」
「いや、だって、想像できないというか。松尾君いつもお昼は居なくなっちゃうのに」
「いや、まああれは強制というか。うん。強制的に」
「……ふーん」
すると、ふと、なんか暗いものを感じた俺だった。あれ?なんでだろう。今までの会話で結崎が不機嫌になるようなワードあったか?無いよな?うん。なかったはず。なのに、なんで冷たい視線?を俺は感じたのだろうか?
「あの、結崎さん不機嫌ですか?」
「別にー」
……あれ?これは本当に俺結崎怒らせた?なんか、真面目に変な感じがするんだが。とか思っていると。先ほど大学前へと向かって行った電車がほとんど空っぽになって高校前駅へとやって来た。
俺と結崎は後ろの車両に乗り込み俺が座るとその隣には結崎が座った。って、ガラガラなのにえらくピッタリと横に座った結崎だった。あれ?不機嫌?だったのに隣には座るんですね。とか一瞬思ったが、もちろん声には出していない。これ以上機嫌は勘弁なのでね。
クラスの室長様怒らせたとか、まず長宮さん蓮花寺さんにしばかれるかなにかありそうなのでが、まあ結崎が不機嫌だろうと、一応話していたから近くに座るのは……当たり前か。ということでそのまま会話は続いたが。ってやっぱり結崎ちょっと不機嫌?拗ねてる?という感じだった。
「……もう高校でお昼食べるの夏休み明けしかないよねー」
とか最終的には言ってたからな。って不機嫌なのは自分だけお昼の輪に入れなかったから?いや、あれ長宮さん蓮花寺さんとはいつも食べてませんか?って、もしかして俺が必要だった?
いや、そもそもそんなにみんなでお昼を食べたいなら……とか俺が思った時。電車は公民館前に到着したのだった。
「あっ、もう着いちゃった。じゃ松尾君ちゃんと休んでね?」
「あー、は、はい」
「よろしい。なんかあったら連絡してね」
「……ああ」
そんなことを話して結崎とは別れた。あれ?何だろう。さっきは拗ねていた気がしたが。今はいつも以上に優しいというか。今日の結崎おかしいな。とか思っていたら。電車は田園駅へと向かって今日も俺一人を乗せて走り出した。
車内は空っぽ。いつも通りだな。しいて言うなら、先ほどまで結崎が座っていたところは少しだけぬくもりが残っていた。さっきまでは人が乗っていた証拠。いや、ふと座席に手をついたらで、決してわざわざ触ったではない。
っかホント、この鉄道公民館前駅と田園駅の区間廃止されないよなとマジで心配になって来た俺だった。
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