第40話 大掃除
俺のおでこ?頭あたりにちょっとした傷が出来てから数日。
派手にポタポタした割に、かさぶたが出来て取れたら。
「なんか、近くで見ないとわからないな」
現在俺は自分の部屋で鏡を見つ1人つぶやく。
いや派手にしていたからもう少し跡が残ったりとか思ったんだがね。かさぶたが取れたら、近くで見ないとわからないというね。近くで見ればちょっと肌の色が違うというか。でも髪でも隠れるしで、周りはもうわからないかな。という感じである。
綺麗に治ったのはいい事か。と思いつつ着替えをしてじいちゃんばあちゃんの家の方へと移動そしていつものように朝ごはん。
そうそうちなみに球技大会の後は午前中の授業というか。あれは、道徳?とか言うのかちょっとわからないが。なんかありがたーい。お話?でもないか。講演会?とりあえずどこかからやって来た講師の人のお話を聞くというのがあって、授業らしい授業はもうしてない。
あとの学校の予定的には大掃除となんかちょっと面談か。それが終わったら夏休みである。ってか面談がなんやかんやで1週間あるので、面談中も自分の該当日以外は休みという感じだからもう大掃除終われば夏休みと言っても問題ないだろう。
高校初の夏休み。いつも通りの予定なんだが。どうなることか。
ってかまずは大掃除が終わらないとだよな。
何気に大掃除時間が長いんだよ。休み前に話があったが普通の登校時間に登校。そして午前中すべてが掃除時間。なので、3時間ほどの掃除時間である。びっくりするくらい長い。校則やらいろいろゆるゆるの学校だがこういうのは真面目というか。ちゃんと時間が取ってある。
あー、そうそう。掃除場所のそして振り分けに関しては、担任の先生が勝手に決めて当日発表らしい。決めたりとかで時間を使うのがもったいないしな。そもそも決める時間もなかったし。
ということで今から大掃除に向かう俺である。
今日は体操服。ジャージ参加となる。制服を着ないのは楽と言えば楽か。
運動部の人は登下校でよくジャージはあるらしいが。俺は委員会のみのためジャージでの登下校というのはほとんどない。あー、オリエンテーションの時は、だったか。なんかいろいろあって過去の事のように思うが。あれもまだ数か月前の事なんだよな。いろいろありすぎだり予想外の事がな。だからいろいろ遠い昔の事のように勝手に感じていた。
っかこんな過去の事を思い出していてもなので、とりあえず高校行くかである。
「じゃあ、ばあちゃん行ってくる」
「はいよ。あー守や。お昼はどうするや?」
「あーまあ帰ってきてから簡単にでいいよ」
「はいよ」
じいちゃんは、なんか外でしているようでもう室内に居なかったため。俺は朝ごはんのち。ばあちゃんと少し話してから家を出発した。ちなみに今日の天気は。
「暑すぎるな」
いつの間にか猛暑となっている。ちょっと太陽さんよ。頑張るの早すぎないか?セミさんも元気すぎるよ?大合唱というか。もう騒音。まだ7月だぞ?8月の数日だけ熱さもセミさんも頑張ってくれたらいいんだが。最近温暖化とか言ってるから。暑さは、無理か。セミさんは暑くなれば元気か。一生を頑張って生きているんだからセミさんに関しては文句を言うのをやっぱりやめよう。が、もう少し静かに……出来ないかな。とかいう俺の願いは全く届かず。朝からギラギラ輝いている太陽とセミさんの大合唱だった。すでに暑いじゃん。うるさいじゃん。である。
そんなことを思いつつ田園駅へと入っていくと、すでに電車が止まっていた。
「おお、松尾君おはよう。今日も暑いね」
「あっ。楚原さんおはようございます。ホント嫌になるくらい暑いですね」
大きなクスノキがドーン。とある田園駅。その木の陰で今楚原さんが立っていたため挨拶。
この木があるからちょっと駅は、マシかな?木の影が出来るのでね。
「日陰でももう暑いな」
「ホントですよ。朝からこの暑さは……ですね」
「そういえば今日は高校大掃除だったか」
「えっ?」
「いやいや昨日の夜聞いてな」
「あー、はいはい楚原先生の方からですね」
「そういうこと。毎年ブーブー言ってるんだよ。重たい本がー。とかなんかいろいろあるみたいでな」
「ははは、そういえばなんか言ってたな」
この前?なんか楚原先生が図書室で大掃除の事を言っていた気がしたが。と思い出した俺だったが。確か今日の大掃除は各クラスと各クラスが普段の掃除担当で持っているところをメインでするはずだから。関係ないか。
「おっと、あまり話してるとか」
「そうですね」
楚原さんとの会話は早めに切り上げて、俺は車内へ。ちなみにこの電車。小さいからエアコンがガンガン効いている。ということはないので、基本走り出して外からの空気が窓から入ってくれないと暑いんだよな。
まあここから高校前までは混むことが無いので、車内は快適っちゃ快適か。
俺がそんなことを思いつつシートに座り少し待っていると電車は発車。
いつものようにガッタンガッタン揺れて、公民館前へ。そして少し人が乗ってきてまたガッタンガッタン。
高校前到着である。
そしてもう数か月同じように歩いた学校への道を進んで行く。
ちなみにアスファルトからの照り返しがさらに強くなった気がする。太陽よマジで頑張らなくていいから。休んでくれ。
周りを歩く生徒は全員が体操服かジャージ。全学年掃除だからな。中には部活動のユニフォームの人も見えるが。あれはOKだろう。多分。動きやすい服装なら可。みたいな感じだったし。そんなことを思いつつ歩いていると学校到着。とりあえず教室集合なので教室へと向かうと、半分くらいの人がすでに来ていていた。
俺の席の後ろの方もすでに窓際でいつものメンバーで話していた。
そうそう、クラスマッチ。球技大会の後か。
講演会?みたいなときに在良君、大木君とは少しだけ話した。
なんか蓮花寺さんが2人に言ったらしいが。ケガさせたんだから謝っとけ。みたいなことを言ったらしく。簡単にさらっと少しだけの会話だったが。でもまあ激しくぶつかりすぎた。みたいな思いはあったのか。結構真面目に心配してきていた2人だった。
ってか、結局長宮さんが言っていたことはうやむやになったが。それでいいか。ちょっと長宮さんが不機嫌になるかもしれないが。ってその光景をバッチリ見ていた長宮さんはやっぱり不機嫌。不満そうだったが。それを蓮花寺さんと結崎がなだめていたというか。
とりあえずこのことはこれでおしまい?になったのだろう。多分。
ちなみに、長宮さんはあとで、あれは演技とか言っていたがね。
っか、結局のところ俺も大したことなかったしで、今みたいに他のクラス何人かが集まった中でのいつものお派手なグループさんか。あのメンバーは前のように話しているはず。こっちまで声は聞こえているが。あちらの関係がどうなったのかは知らないが。
ちなみに5人とかで居るのは、今のところは無くなったような気がするのは、まだあれから数日だからと思いたい。
そして俺は特に窓側のメンバーの話を盗み聞きするつもりはないため。ふと教室の前の方を見る。
黒板には、教室で待機。とだけ書かれている。先生が昨日書いておいたのだろう。
あと5分ほどでチャイムが鳴るので、あと少し教室待機だな。とか思っていると。
「おはよー。松尾君」
「えっ?」
急に声が近くから聞こえたため俺は左右をキョロキョロ。したが該当者は居ない。とか思っていたら。
「後ろ後ろ」
言われたので後ろを振り向くと。長宮さんが結崎の席に座っていた。いやちょっと急だったんで後ろという概念が。というか結崎が居ないことは確認済みだったのでまさか真後ろからとは思わなかったのでね。
っかあれ?長宮さん窓側に集まっていた7、8人のグループに入ってませんでしたかね?とか俺は思いつつ。
「……おはよう」
「反応が鈍いねー、まだ寝ぼけてる?」
「長宮さんは朝から元気そうで」
「今日は遊びみたいなものだからね。って松尾君。絆創膏無くなったねー」
そんなことを言いながら長宮さんが少し下から俺の顔をのぞき込んできた。
「あー、まあ無事に」
「よかったねー、これでゆえのオロオロがちょっとは治るかなー」
「うん?結崎?」
「そうそう、ずっとチラチラ松尾君の事見てるからねー」
そう言いながら長宮さんは窓側を、って結崎はまだ窓側で話している。のだが一瞬目が合った気がする。
「ほら」
「えっと、どういうこと?」
「気になるんでしょうねー。今は私がちょこちょこって向こう抜けてきて、松尾君取ったから拗ねてるね。あー怖い怖い後で水かけられるかも。もしずぶ濡れになったら松尾君服貸してー」
「いやいや、結崎はそんなことしないと思うけど」
「そういえばさ」
「うん?」
「松尾君ってどこに住んでるの?」
「うん?」
いきなり話が変わったな。おい。とか思っていると。
「いやさー。この前もだけどゆえと同じ方だったじゃん。公民館前駅近く?」
「えっ、あー、俺終点」
「うん?終点?公民館前でしょ?」
「いやいや、もう1つ先が……」
「えっ?あったっけ?私ほとんど乗らないからねー」
まさかの田園駅知られてもないというか。長宮さんよ。毎日電車に乗っているかと思うが。田園駅行きって書いてないかな?とか俺が思っていると。
「夏休み暇だし遊びに行ってあげよう!ゆえも連れてくからさ」
「……えっ?」
なんか言い出しましたぞ?
「松尾のところに」
「なんで?」
「楽しそうってか。夏休み長いからさ。いろいろ行きたいじゃん。だから松尾君の家探索的な」
「それいらなくない?」
「裏松尾君を探す的な?」
楽しそうに話す長宮さん。
「ないので」
「えー、まあそのうち連絡するよ」
そんな感じで長宮さんと話が進んでいる居ると。
「奈都。何してるの」
結崎の声が聞こえて来た。
「あっ。やばっ。お怒りだー」
「別に怒ってないから」
「怖いよ怖いよー」
長宮さんの隣にこの席の当人登場だ。
「おはよう。松尾君」
「ああ、おはよう」
「で、奈都は何してるの?ちょっとって言って戻ってこないし」
「まあまあ。楽しい楽しい予定作りだから」
「えっ?」
「おっと、松尾君。ゆえが怒りそうだから。さっきの話は秘密でね」
「……えっ?」
「じゃ、またー」
そして長宮さんが席を立つと同時くらいにチャイムが鳴りすぐに先生が教室へと入って来た。
「よーし。掃除だぞー。振り分けるからなー、各自持ち場でいつも以上に綺麗にしてくる事。教室担当はワックスがけもあるからな。あー、床に置いてある荷物後ろの棚に入れろよー。ワックス漬けになっても知らないからなー」
先生が話し出した時。
「……秘密」
何だろう。俺の後ろからそんな声が聞こえた気がするが……俺関係……無いよね?
ちゃんと前を見ている俺に後ろの方の確認をすることはできないのでね。無関係で、良いよね?
それからの事を話すと。掃除をした。当たり前だがな。大掃除の時間なんだし掃除をした。
俺は教室の担当になったため。机を運び、掃いて。床拭いて、その後に廊下の掃除が終わったタイミングで全て机は廊下に、そして教室はワックスがけ。
しばらく乾くまで待機。そして机戻す。それで終わりとか思っていたら。先生が窓とかも全部掃除するんだぞ。みたいなことを言いだして。本当に昼までずっと掃除となった。
一部怠けている生徒も居たが、先生がずっと居たこともあり。
なかなか綺麗な教室になって今はワックスのニオイが、……という感じだった。
そして教室組はごみ捨ても終わり終了10分前には教室内で待機というか休憩になった。地味に疲れたし。暑いしで何人かは机に抱きついて夢の中。
ちなみに教室以外の場所に向かった生徒はまだ帰ってきていない。その生徒が帰ってきたら本日は終了である。
俺はしばらく席に座りぼーっとしていると。ちょっと外がガヤガヤ。他のところも終わって生徒が戻ってきたみたいだ。
「疲れたー」
「濡れたからなんか冷たいんだけど」
「マジトイレ最悪だったんだけど」
「お前サボってばかりだっただろうが」
教室が次第に人が増えて賑やかとなる。
「松尾君もうくつろいでいるね。お疲れー」
すると俺の後ろで音がして結崎も戻ってきたみたいだ。
「おつかれ。結崎」
声がしたので結崎の方を振り向きつつ俺は返事をした。
「松尾君は教室だっけ?」
「そう。結崎は、どこだっけ?あっ。体育館か」
「そうそう。女子は隣のクラスと体育館だからね。地味に体育館周りの外もあって暑かったー。あーでも体育館の中よりか外の方が風があってマシだったかな。室内サウナみたいだったし」
「それは大変で。まあ教室もかなり暑かったけどね」
「あっ、そうそう」
「うん?」
「そういえばさ。松尾君さ。朝、奈都となんか話してたよね?」
気にしておられた。忘れてなかったらしい。
「まあ、話してたね」
「秘密とか言ってたあれなんなの?」
「えっ?あー、あれは」
俺が言おうとしたとき。
「松尾ー、松尾ー。居るかー。って居るじゃないか」
急に教室の前から声が、と思ったら。担任の先生登場。えっ。なんですかね?俺呼び出し食らうようなことはしていないはずなんだが。
「……はい?」
結崎から視線を担任の先生の方を見ると。
「松尾。この後な。図書の楚原先生が図書室に来てほしいだとよ」
「えっ?あっはい」
「伝えたからな。行けよ。サボるなよー。俺が怒られるからな」
「あっはい。大丈夫です」
用件は終わったらしく。先生はそのまま教室の前へ。そしてちょうどその時にチャイムが鳴って、気が付いたらクラスには人が戻ってきていたため。先生が声をかけて、ちょっと話したら解散となった。
そういえば結崎と話している途中だったな。
と、俺は思いだして荷物を持って後ろを見ると。
「あれ?」
何故かすでに結崎が居なか……居たわ。長宮さんに掴まっていた。
ちらっと目があったのだが、向こうは忙しそうだったため。俺は図書室へと向かうこととした。
廊下を歩いているとほとんどの生徒が下駄箱。外へと向かっているが、俺だけ違う方向へと歩いている。
にしても何だろうか。と思いつつ俺が図書室へとやって来ると。
「あっ。松尾君。ちゃんと来てくれたね」
「えっと、何かありました?」
「あれ?忘れちゃった?って私言わなかったっけ?」
「えっ?」
図書室へと入ると。何だろう。違和感というのか。いつもとなんか違う楚原先生が、ってそうかエプロンをしているからか。って、これ掃除をする前って感じなんだけど。あれ?図書室の掃除は、どっかの学年がしていると思ったんだが。
「あれー、大掃除の時によろしくって言わなかった?」
「えっと、あれ?」
俺はちょっと記憶を思い返す。すると少し前にそういえば。「……ちょっと整理とかいろいろしないとだから時間空けておいてくれると先生助かるかなー」ということを聞いたような気がしてきた俺だった。
「あっ……」
「思い出したかな?」
「なんかするんでしたね。掃除で忘れてました」
「ってことで、この後大丈夫?」
「まあ時間は大丈夫です」
「じゃ、準備室の掃除したいから手伝ってほしいんだよ」
「そこ生徒立ち入り禁止では?」
「特別にOK。先生1人じゃ無理だからね」
「そんなに酷いんですか?」
「一言で言うなら……山!」
「……」
山。楚原先生ははっきりと言った。
図書室で山。ということは、本の山かな?準備室の規模を知らないのだが。理科室とかその他部屋にも準備室はあるので、なんとなく教室の半分くらいか。とか思っているのだが。あれ?これもしかして夕方まで拘束確定コースじゃない?とか俺が思っていると。
「ちなみに、2人ですか?」
「そうなの。ちょっとうっかりしていて。松尾君以外の図書委員の子に連絡忘れちゃって」
「……」
「放課後って松尾君しか来ないからね。で、最近お昼休みが無くて。先生松尾君しか会ってなくてね」
「あー、そうか。授業がないから」
「そうそう、で今日のお昼に気が付いたんだけど、時すでに遅し?」
「楚原先生。それはついさっきというのでは……?」
今お昼なんだよな。
「そうなの。ほんの1時間前に掃除している時に思い出して」
「はぁ、早くやりましょうか。お昼持ってないんでお腹すきそうですし」
俺がそんなことを言った時だった。
ガラガラー。
「失礼します!」
元気な声が図書室に響いた。
「ちょ、ちょ、奈都」
すると、違う声も複数聞こえてきた。
「おお、奈都が恐怖の図書室に乗り込んだよ」
「えっ?恐怖?」
何だろう。急に図書室がにぎやかになったというか、楚原先生も予想外だったらしく。
「松尾君、どういうこと?」
困惑した感じで聞いて来た。
「さあ?俺も全くわかりませんが……」
「とりあえず、結崎さんのお友達たち?」
「まあそれはあっらてますね」
コソコソ状況確認をする俺と楚原先生だった。
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