第32話 お疲れ結崎
連休明け。
なんやかんやとあったような……なかったような……ちょっと今までの人生では経験したことが無い出来事の方が多かったか。
休みにお派手な方々に呼び出されるとかそんな経験今までになかったからな。まあ昼ご飯を食べに行っただけ。と言ってしまえば、それまでか。
実際呼ばれてお昼食べて少し話して解散だったし。その後もなんか誘われたが……男が付いていくには……というところの名前しか出てなかったからな。上手に退散してきて正解だった気がする。
そんなことがあった連休はもう過去の事。休みが終わったので学校生活が再開する。
これからしばらくは授業授業授業……って感じだな。
特にイベントとかなかった気がするし。下手したら……中間考査とかが次のイベントではないだろうか。テストは嫌だな。まあでもすぐにというわけではないし。テストに関しては忘れておこう。
そうそうそして放課後は図書委員再会だな。休み中はもちろん委員会は休みだったからな。休みがあったからあの噂も落ち着いていればいいが。でも、図書室が生徒でフィーバーはしなくていいか。毎日ガラガラは――だが。それはそれでだからな。そんなことを思いつつ。いつものように田園駅から電車に乗り高校前駅へ。そして高校へとやってきたのはかれこれ何時間前だ?4時間くらい前だな。
午前中の授業は無事に終わっている。クラスの雰囲気はまだ休みモードが混じっていた気がするが。とりあえず午前中は終わった。そして現在は昼休みなのだが。ちょっと俺は朝から気になっていることがあった。
「……」
「ゆえー。聞いてる?」
すると後ろでそんな声が聞こえた。声の主は……長宮さんだな。見なくともわかった。さすがに昨日会って話したし。今日の朝も少し話したからな「おっ、松尾君じゃん。おはよー」と、そんな感じで急に話しかけられたっけ?そして「昨日はありがとねー。楽しかったよ。ってか、その後も付いてくればよかったのにー楽しかったよ?」とか教室に入ったところで、たまたま会って少し話した。
にしても、俺の交友というか。なんか繋がりがおかしな方向で広がっている気がするが。俺大丈夫だろうか。変に目立つのは――なんだよな。
って、それより。
「あっ、うん。ごめんごめん。ちょっとまだ休みモードでさ。ぼーっとしてる」
「だよねー。今日のゆえずっとボーっとしてるし」
「……昨日夜まで付き合わされたからかなー」
「まぁ、誰誰ーそんなことしたの。在良君?」
「はっ?なんだよ急に」
多分違うところに居たのだろう。少し離れたところから返事が聞こえていた。そして声が近づいてきたのでこちらに人が集合しているのが見なくともわかる。
「長宮なんだよ。なんか言ったか?」
声からして在良君登場だろう。
「呼んでなし」
すると即冷たい声って、長宮さん呼んだというか。名前出しましたよね?
「今なんか言ったよな?ってか結崎はなんで潰れてるんだ?今日朝からそんな感じだし」
「眠いんだってー。昨日遊び過ぎて」
「……奈都が帰らせてくれないからねー」
そちらを俺は見ているわけではないが。結崎が今日潰れているのは何回か見た。
授業の時にプリントを渡した時とか。休み時間とか。
あと授業の挨拶で珍しく結崎が掛け声を忘れているとか。気にするようなことではないのかもしれないが。今日の結崎はちょっとおかしい気がしていた。
個人的にはもしかして、俺の家の掃除。草取りやらやらさせた疲れが今出てきた?とか一瞬考えてしまったのだが。午前中からこんな感じで結崎のところには誰かやってきて話す。というのがまあ聞こえてくるので、どうやら昨日遅くまで遊んでいた。というのが原因ぽいのだが。
何だろうか。俺は嫌な予感がしていた。
午前中の時はまあちょっと疲れてるという感じだったが。俺の気のせいでは無ければ……それが時間が経つにつれてなんか。ぼーっとしているというか。結崎の会話の時の反応というのがワンテンポ遅くなっているような。俺はそっちを見ているわけではなく。ただ聞いているだけだから。そう思うのかもしれないが……なんか変な感じがしていた。
が。俺が何かできることは今のところないだろう。結崎の友人たちが集まって来ているからな。そして今は昼休み。俺はいつも通り一時避難をすることにした。このままではゆっくりお昼ご飯が食べれないのでね。俺はお昼とその後の暇つぶし用の本を持つと席を立つ。
するとすぐに俺の席が使われる気配が後ろであったが――まあ問題ない。帰って来るときまでに空けておいてくれたら。最後教室を出る時に気になったのは。
「……うーん。なんか今日は食欲ないからお昼パスかな」
と、いう結崎の声だった。
◆
それから俺は中庭の方でゆっくりとした。
ちょっと日差しが眩しいくらいだったが。晴れの日に外で食べるのはいい事だと思う。たまに吹く風も気持ちいいし。周りを少し見ると中庭でお昼を楽しんでいる生徒は他にも数人いる。のんびりするにはいいところだからな。知る人ぞ知るか。とか思いつつゆっくりしていると。
「松尾ー」
「うん?」
急に平和が崩された。最近よく聞く声が後ろの方から……と振り向くと声の主はすぐ近くまで来ていた。
「何何。ぼっち飯?」
俺の横にやって来たのは蓮花寺さんだった。
手には袋がぶら下がっている。あれか?パンか何かを買いに行っていたか。または自動販売機に何か飲み物でも買いに行ったかの帰りだろう。
「えっと――ぼっち飯?ってなに?」
ちなみに意味は何となくわかっていたのだが――一応聞いてみた。
「うん?いや、1人で食べてるからさぼっち飯」
ですよね。確認終了。
「まあだよね。ってか。状況的にぼっちいえばぼっちか。1人で食べてるし」
「なになにー。寂しいなら私たちのところ入れてあげようか?オール女子だけど」
「いや大丈夫です。マジで大丈夫です。1人の時間も大切だから」
そこには絶対入りたくないというか。無理です。はい。
「今日は隣のクラスで食べるから新規友達作りとか協力するよ?」
笑いながら話しかけてくる蓮花寺さんは一度俺の隣に座った。
「で――何か御用で?」
「そうそう」
まあこんなところで声をかける理由が……用事がある以外にないと思ったのでね。
「今日のゆえどうしたの?」
「—―え?」
どうしてここに居ない人の名前が出てくるのだろうか?
「いやさ。今日のゆえ明らかにおかしいじゃん」
「それは――本人に聞いてみては?」
確かに俺も感じていたけどさ。どうやら蓮花寺さんも気が付いていたらしい。
「と、思って数学の後の休み時間に軽く声かけたんだけどさ。眠いだけー。とかしか言わなくてさ」
「まあ……なら眠いのでは――?」
「そうかなー。なんか違う気がするんだよねー。実はホントに体調が悪いとか……って心配したんだけど。ゆえわかんないんだよね。実際まだ知り合ってそんなにだし」
「まあまだ高校生活始まって……1か月か」
「そうそう」
そうなんだよな。なんかいろいろあったように思うが。まだ1か月しかこの生活は経ってないんだよな。その割になんかいろいろあったが……とか俺が思っていると。
「だからゆえの保護者に聞きに来たんだよ」
「—―ちょっと待って。保護者?」
それは誰の事でしょうか?
「だって近くに居るからさ。ってもしかしてゆえにナンパされた子って方がよかった?」
「……近くに居るっけ?って後半の話意味が分からないですね」
「うん。居るね。って、ナンパはゆえにも怒られたか。って、まあいいかー。本人居ないし。で、まあまだ私しか知らないだろうけどねー。ゆえと松尾が仲良いって。だからこうして他の子が居ないところで聞いてるんだからね。優しいでしょ。私」
「……ちなみに、昨日長宮さんには呼び出されたけどね」
「あれ?松尾。奈都と接点あるんだ?」
意外そうな表情をする蓮花寺さん。わかるわかるよ。俺も思ってるもん。おかしいよって。
「……強制的に?でもまあそこに結崎も居て……そういえば連休後半?は連日遊んでるみたいなこと。結崎言ってたか」
「うん?なんかややこしいのはわかんないけどー。って、それなら普通にゆえ遊び疲れってことかな?あー、そういえば2日前?大木君らが他のクラスの子とゆえ誘ってー。とかなんか言ってたから遊び歩いてたか。詳しくは知らないんだけどねー。私ダラダラ休日だったから」
「それは良い休日の過ごし方で」
「でしょー。放課後ならいいけど休みの日はめんどいんだよねー。って、私の事はいいか。まあゆえはさ。ちょっと無理して周りに合わせてる感じがあるからさー。松尾も気にしてあげてよ」
結崎よ。なんか作ってる?感じのは――プロ?にはバレてるぞ。
「まあ席近いし。何かあればだけど。俺が何かすることはないかと」
「かなー?まあ私の気にし過ぎかもだけどね。って、こんなところで話してたらお昼食べる時間なくなるし」
「もう半分終わったかと」
「あー!結構経ってるじゃん。じゃ、なんかわかったら連絡してよね」
「連絡って」
「あー、そうそう。連絡先交換したっけ?したようなしてないような――」
「……えっと……」
そういえばどうだっけ?と俺が思い出そうとしていると――。
「じゃあ交換……って駄目だ。スマホカバンの中だったー。またあとで」
「あ――うん」
俺が返事をすると蓮花寺さんは立ち上がり。手に持っていた袋をまわしつつ。教室の方へと向かって歩いて行った。中身大丈夫――かな?
って、なんだったんだろうか。
それから休み時間が終わるまではまた平和な空間となった中庭だったが。気になることは多かった。
昼休みが終わり俺が教室に戻ると。俺の席は無事に空いていた。そして俺の席の後ろでは夢の中?の結崎が居た。先ほど話していた通り。遊び過ぎで寝不足というのか。そんなところだろう。とか思いつつ俺も席に着く。
するとこちらが椅子に座る音で起こしてしまったのか。後ろで物音がしていた。ってまあ授業が始まるからちょうどよかったのか。
そして午後の授業も特に問題なく進んで行った。眠かったが俺。頑張った。
俺の後ろのお方も――ちょっといつもより、ぼーっとはしているのかもしれないが。やっぱりプリントとかまわすときに反応が鈍かったのでね。でも授業中にぶっ倒れたりとかはなかった。することはしているというか。気にしてなければわからないレベルだったかもしれない。
そして本日の最後の授業は体育。
体育の前の休み時間は荷物を準備している生徒らが多数。理由は授業が終わったら教室に戻ってこなくてもいいようにするためだろう。
俺は図書室に行くのでどうせ室内に戻って来るため体操着になったらそのまま移動である。今日は外での体育。気候的にはいいのかもしれないが。
「今日は100メートル走なー。体操とっととはじめろー。そこー、だらけるなー。集合集合」
先生の声が聞こえてくると俺の近くでは、ブーイング。まあ小言?が多かったな。とまあそんなことを言っても内容が変わるとかはないので走るしかないんだがね。
ちなみに外は男子だけ。女子は室内。体育館のため――まあ男子の一部やる気なしという感じだった。そしてそれからしばらくして。
「……地味にしんど」
無事に走り終えた俺は階段のところで休憩していた。
あれから準備体操は全員でして。その後は1人2本ずつ走れやらやらでまあ走った。順番は出席順だったため。俺が終わっているということはほぼ全員が終了している。今は何の時間かと言えば。単に授業終了まで自由時間の時間である。
走るのにはブーイングだった生徒たちかはわからないが。元気にサッカーやらしている生徒が多数。キャッチボールをしている生徒もいる。
そんな中俺は走ったばかりなので動く気なしというやつだ。そもそもあの輪に入ろうとも思ってないし。ちなみに俺の周りには数人同じような生徒がいる。
多分ここら辺に居る生徒のこの後の予定はこのままここで休憩。終わりのチャイムを聞くだろう。
ちなみに本当にそのまま授業は終わったんだがな。そしてその後だよ。大変だったのは。
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