第5話 理由

俺は暗殺者を望んだわけじゃない。

そう。俺が暗殺者になった理由は親のかたきをとることだ。

「鼓。誰よりも優しい子に育つんだよ。」

親からは何回も言われた言葉だ。

あれが起きた時からだ。

俺の人生が・・・。

あの時はまだ7歳の時。

「ねね、ママ。見て!」

俺は小さい子が描くような絵を見せた。

「あら、上手ね。」

優しく甘やかしてもらった。

「あ、そうだ、夜ご飯を作らなきゃ。」

お母さんはそう言って台所に向かった。

「なら、僕もやる!」

そう言って、俺も台所に向かった。

その時はお母さんと一緒に包丁で野菜を切っていた。

「ピンポーン」

誰かが来た。

お母さんが、

「あなた出てくれない?」

と言い、お父さんが

「あー。分かった。」

お父さんはリビングから離れると、玄関に向かった。

「どちら様でしょ」

バタンと音が聞こえてきた。

「あら、なにかしら。鼓ちょっと待ってね。」

お母さんが玄関に行った。

バタンとまた音が聞こえてきた。

俺は様子をうかがいに玄関に向かうとそこには、血だらけで包丁が刺さった状態でお父さんとお母さんが倒れていた。

俺はパニックになっていた。

え?どういうこと?

俺の脳内はそれしか頭になかった。

とりあえず何かしなきゃ。

俺は考えた。

あ、包丁。

そう思った俺は台所にあった包丁を思い出し、急いで取りに行った。

俺は迷いなく親を殺した奴を殺しに行った。

まず1人。

そして1人。

最後の1人は逃げてしまった。どうやら武器を持っていないようだ。

俺は追いかけた。

大雨の中。

必死で必死で追いかけた。

でも子どもが大人の体力には勝てない。

俺はその場に座り込む。

とその時、

「おい、大丈夫か?」

40代くらいの男性だろうか。

「1人逃げた。」

小さい声で言った。

「そいつ殺したいか?」

俺は小さくうなづいた。

「それじゃ着いて来い。」

そう。これが俺の暗殺者になろうと思った理由。

そして、俺の過去だ。

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