第3話

 玲奈は僕の肩に寄りかかってきた。僕は突然の出来事に戸惑って何もできない。

「なんだか疲れちゃったの」

 彼女の体のぬくもりを感じる。そんなに一生懸命小説を読んでいたのだろうか。

「何に疲れたの?」

「いろいろなことに」

 玲奈はそう言って僕の唇にキスをした。いったい何が起こっているのだろう。これは夢だろうか。その割には感覚がやけにリアルだった。

 僕は気が付いた時には彼女の体を抱きしめていた。いったい僕らは部室で何をやっているのだろう。

 玲奈の胸の感触が伝わってきて、僕は額に汗がにじむのを感じた。

 玲奈は僕の手を取り、彼女の胸へと当てる。

「え?」と僕は言った。

「こういう時くらい黙っててよ」

 ぎこちなく彼女は笑った。窓の外では野球部とサッカー部の掛け声が聞こえた。そろそろ練習が終わる時間帯だった。


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