放課後の文芸部

@kurokurokurom

第1話

 放課後、オレンジ色の日差しが窓から差し込んでいる。僕の所属している文芸部は部員が四人の小さな部活だった。

 玲奈、加奈、由里の三人の女子部員と僕。僕と玲奈は高校三年、加奈が二年、由里が一年だ。

 同じクラスの玲奈はテーブルに座って、さっきからずっと小説を読んでいた。僕は受験勉強のために広げた教科書をさっきから読んでいたのだが、どうしても身が入らなかった。

「なんか暇だよね」

 僕はぼそっと言った。

「暇なのはあんただけよ」

 玲奈は小説から顔を上げると、また小説の方へ視線を移した。

 この高校に入学してからもう三年が経とうとしている。短いのか長いのか自分でもあやふやだ。

 僕は教科書をテーブルに置き、背伸びをした。窓の外はだんだんと暗くなっていく。

「玲奈はさ、彼氏いるの?」

 彼女はまた小説から顔を上げた。

「いない」

「欲しいと思ったことは?」

「いらない」

 相変わらず真面目なようだった。


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