鬼喰らい
ホタル。
0 ハじまり
僕はソレから身を隠すために隠れた。
床の下にある物置に体を縮こまらせて隠れた。
四歳の僕が隠れるには丁度いい、これ以上ない場所。
未来の僕が知ったら……
「
しゃがれた声が木霊する。
「
血の海が広がっていく。
「
ママの、今にも消えそうなほどの息の音が
「
血の海が広がっていく。
「
パパの、今にも消えそうなほどの息の音が
「
ベチャッベチャッと生温い足音が近づいてくる。
「
ガギッという音とママの声にならない悲鳴が聞こえる。
「
パパの息の音が一切聞こえない、聞こえてこない……途切れた。
「
ゴギッという音と同時に、ママの息の音が……聞こえなくなった。
「ありゃ? 死んじゃった。死んじゃった、死んじゃった、死んじゃった」
僕は息を殺してソレが去るのを待つ。
待って待って待って待って待って、
「いないのか? どこにも感じないし」
待って待って待って待って待って、
「ん? 面倒なのが来たな」
待って待って待って待って待って……僕は意識を手放した。
知らない匂い、知らない天井。
「目が覚めたか」
僕はその声の主の方を向こうとするが、
「あれ?」
体が動かない。
と、いうよりも体が何かに固定されて動けないという方が正しいだろうか。
「四歳のお前には酷なことだが伝えておく」
「イヤだ!!」
わかる、わかりたくなくてもわかる。
何を言うのかわかってしまう。
理解したくなくても、脳が勝手に動いて言うことを聞かない。
「お前の両親は━━━━」
「━━━━イヤだ!!!!」
死んだ。
知ってる、わかってる、理解してる。
理解はしていても心が追い付いていない。
僕はまた意識を手放した。
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