第3話 白樺公園

「へ?」




「だから、君は気づいている側の人間かって聞いてんのさ」




動揺するこちらを気にすることなく話しかけてくる。何か、この人……喋り方にクセがあるな。




「気づいている……そうだよ、6月8日がまた来ているなって」




「それ、気づいてるならもっと早く白樺公園に来れば良かったのに。何を渋ってたのさ」




「……へ?渋るも何も気づいたのは今日の朝だし、この紙も今日初めて掲示されたものだろ?というかこのループだって……」




「不思議だね……というか奇跡だね、そっか」




「え?」




「じゃ、行こうよ。白樺公園。ちなみに私、神楽坂美玖かぐらざかみくって名前」




そう言って、その女……神楽坂は歩き出した。話がほとんど嚙み合わない上に、あまりにも真っすぐ目を見て話すので少し緊張した。




白樺公園までの道で後ろをついて歩いている間には特に会話もなく、割と気まずい時間が流れていく。神楽坂は特に気にしていない様子で、何だか重たそうな本を読みながら歩いている。……"歩き読書"って言うのか、これ?危ないな……。






○○○○○






大学から徒歩で15分。あの紙にもあった白樺公園に着いた。白樺公園といえば、公園のど真ん中に名前の通り大きな白樺の木が生えているだけで遊具などは何もないシンプルな公園である。神楽坂は公園に着くやいなやその白樺の木の下にいる5人組のもとに小走りで向かった後、今度は俺がそこへ向かうようジェスチャーした。




素直にそこへ向かうと、見た目も年齢もおそらく職業もバラバラな5人がいた。




俺から見て一番左にいたのはかなり太っていて黒いスーツを着た男。年齢はおそらく30代半ばあたりだろう。額に汗が滴っていて短い黒髪もかなり汗で濡れているんが分かる。




左から2番目にいたのは金髪のショートヘアーの女性で、身長が高くモデルのようだった。年齢はおそらく20代前半くらいで、俺とほぼ同世代だろう。




次に、真ん中にいたのは坊主頭の少年。肌も焼けていて、野球少年みたいな見た目だ。顔は幼く、おそらく中学生か高校生くらいだ。




そして、右から2番目にいたのは茶髪の女性。……かわいい。美少女だ。おそらく女子高生だろう、制服着てるし。それに俺の方をじっと見ている。




一番右にいたのは……ていうか……




「何でお前がいんだよ!」




「何でって、そりゃこっちのセリフだよ!何でお前が来んだよ」




一番右にいたのは相田龍太。俺の大学の友人だ。お前がここにいるってことは……




「お前、気づいてたのか。この世界がループしてるって……」




「気づいてたよ、ずっと前から……」




「ずっと前って、今日の話だろ?」




「19回目だよ」




一番左のスーツの男が口を開いた。……19回目?




「今回で19回目だよ、この世界がループするのは」

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