たとえ世界の裏側だったとしても。

ルブブ

第1話誓い

薄暗い空間、冷たい床、人の死体の匂い、俺は、俺の人生はあの日から狂わされていった。


「明日の天気です。明日は…………」


俺は夏の暑さに負けアイスを齧る。夏休みと言っても父さんは仕事、母さんは家事に追われている。俺はというとこの通り中学の宿題を終わらせてグーたらしている。


「トントントン」


と心地の良い包丁の音がして鍋からいい匂いがしてくる。

毎年夏休みになると思う、「こんなんで良いのか」と。休みが始まる前はあんなにも待ち遠しいのに始まるとこうだ。この自分のやる気の無さに自分で呆れ、自分の人生が否定された様な気持ちになる。


「あっちーー」


俺はテレビを消してスマホでTwitterを確認する。


『これ何ー』『君悪いわー』『どうせ加工だろ?』

『でも何人も見てるって、、』


と、いくつかの画像に対してみんなが呟く。俺はオカルトとか心霊とかは信じないタイプの人間なので「馬鹿じゃねーー」と独り言を言ってスマホを消す。


「ごおおおおおおおおおおおお」


いきなり新幹線が耳元で走る様な轟音がなる。母さんも手を止めて頭を押さえる。ここら辺電車なかった、、、よな。俺は近くに電車も高速もなかったので違和感を覚えてカーテンを開ける。


「な、、何だあれ、、、」


俺は信じない光景に目を疑った。空に浮かぶ黒い円不吉に光る黒い雷鳴。それはまるでさっきのTwitterの写真そのものだった。



「ピッ。緊急速、、、街、、、、、が、、対応、、、」


 いきなりテレビがつき途切れ途切れの映像が流れる。おそらくこの黒い円の発生に対しての緊急速報だろう。俺は好奇心のせいでマドを開けた。

 その瞬間さっきとは比にならない轟音と爆風が吹き付ける。


「え、、、、」


黒い円の中からクジラが目に写り込み腰を抜かす。だがそんなのが居るはずがない。


「クジ、ら、ああ、言う、和、中」


俺は頭が狂いそうになり頭を押さえる。母さんはもう倒れてしまった。意識を保つのでいっぱいいっぱいだ。


「シュゥゥゥ」


とさっきの爆風が嘘かの様に止み、黒い円が小さくなって消えた。だがさっきのクジラの様な生き物?は空を泳ぎ高い音を鳴らしてくる。気が狂う原因はこれだろう。


「ニュースです。突如現れ、、、荒れ、ララ、脳、類」


ニュースのアナウンサーも頭を押さえて気が狂い出した。どうなっているんだ、、、。だが音が次第に強くなりもう耐えられず、気が、、、、、、。





 俺は気がついたら暗くて冷たい床にいた。


「3、、753、、9、た、、て」


 俺は声の方を寝ながら見ようとした。それは人ではなく化け物、そのものだった。2メートル近い人型蟲のようで気色が悪い。しかし俺は化け物に立てと言われても立てなかった。全身に力が入らない。


「ゴンッ」


 俺は化け物に指で捕まれ牢屋の様な場所に放り入れられた。そこには俺と同じような人が複数いた。ギイイと音を鳴らして化け物が牢の扉を閉めた。





 何日が経っただろうか。俺は以前変わらず牢の中にいた。喉は渇くし腹は減る。かれこれ1週間近く牢屋に飲まず食わずでいるのではないだろうか。一緒の牢には10人近くが収容されており、その内3、4人が死んでた。

 このままじゃ俺も死ぬ、、、。絶対抜け出してやる。


俺はそう自分に誓い、ゆっくりと目を閉じた。

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