7話 ボッチ卒業、仲間誕生

 魔法学校エルスタードラゴン城跡地西校のある教室。




《1年Zクラスの教室です。》


 エル!余計なこと言うな!




「この魔法陣に書かれた魔法式は、x×y×(a+b)になります。「a」は炎魔法、「b」は風魔法です。各必要魔力量は5ずつです。するとx×y×10ですね。「x」は魔法威力で、「y」は魔法効果範囲です。この問題の場合、5×2×10で、100ですね。よって、必要魔力量は100が正解です。」




「分からない……。」


「つまり……、」




 彼は稀代の才児、天才剣士と呼ばれている、リョースケ=フォン=カタツムイムイ=ニッタニシだ。剣術部門で首席入学した実力者。


 だが、エリーゼにぞっこん。




「聞いていたのか……?」


「……いや。」


「もう一回説明するぞ。」




 この通り彼は優しく、イケメンでモテモテ。




「聞いていたか⁉」


「ギク!」




「何をやっているのですか?」


「エリーゼちゃん!サトシに教えていたの♡」




 ああ……。格好いいムードが……。




「私も、教えていいですか……?」




 可愛い……。答えは……。




「「勿論!」」




「何やっているのよ。」




「私と同じセリフですね……。」


「サトシに教えていた。」




 彼女はイルマ=ソウルス。槍術部門首席入学の槍術士。




 ここは魔法学校なのになんで武術士がいるかって?リョースケとイルマは<魔法武術>の使い手だからだ!(恥ずかしい……。)




 <魔法武術>は武器に魔力をまとわせて、魔力を魔法に変換する技だ。




 因みにエリーゼは<治癒魔法>と<魔法聖剣>を使う聖騎士。(だそうだ)残念ながら基本属性魔法は全く適性がない。




 俺は勿論、魔法部門首席。何とか準首席のルーシー=フォン=トマスに勝った。




 クラスは、G、F、E、D、C、B、A、S、Zがある。魔法学校は日ノ本王国内に2校、その外の「日本」という国に1校しかない。




 異世界にも「日本」があるとは思いもしなかった。というか、地図はまんま元の世界の世界地図だし。




 この日ノ本王国は元の世界でいうロシアの東側の中国との間にある。「日本」は元の世界と同じ位置にある。




 他にも、「アムエリカ共和国」、「ロスイア帝国」、「中ノ国王国」、「台ノ湾国」、「朝の鮮小国」、「フルアンス帝国」、「ドイティウ強国」などの国がある。




 位置的にはアムエリカはアメリカ、ロスイアはロシア、中ノ国は中国、台ノ湾は台湾、朝ノ鮮は朝鮮、フルアンスはフランス、ドイティウはドイツだ。


 分からなくもない気がする。名前とか、ちょっとだけ似ている。




 閑話休題。


「それよりさ、エリーゼちゃん。バイトでさ、魔物狩りしようよ!」




 相変わらずエリーゼにデレデレのリョースケ。俺もエリーゼのこと……。




 ただ、提案自体はいいから、


「いいな。」と答えておく。


《私もいいと思います。》




「むー。エリーゼちゃんに言ったのに……。」




 お前……!




「私も行きますよ。」


「私も行くわね。新技試したいし。」


 新技……。女子とは思えない理由である。




「じゃあ決まりだね、エリーゼちゃん。」


 こいつ……エリーゼに媚び売りやがって……。




「「死ね!」」


 イルマも死ねって言っている⁉




「イルマ、行くか。」


「うん……。」




 取り敢えず、帰りに寄るとして、どこに行くか……。


「皆、どこ行く?」




「不死鳥フェニックスの森!」


おいリョースケ。そこかなり遠いぞ。あと不死鳥フェニックスになんて勝てないだろうが。




「炎魔神イフリートの広場!」


 おいイルマや。そこかなり遠いと思うのだが。炎魔神なんか勝てないと思うのだが。




「深淵の激流!」


 おいリョースケ。そこかなり遠いぞ。あと深淵の闇属性の魔物たちになんて勝てないよ。




「……真紅の森?」真紅の森とは、木などが紅い森である。


「いいじゃないか!真紅の森にしよう!」


「うん、それでいいかな。」




 エリーゼは正義!




「エリーゼがすべてなのかな……?」


 イルマさんがお怒りでした。ヤバい。殺されるかも。




「あ、なんかすいません。」


 ナイスエリーゼ!


「大丈夫よ。」




 ふう。良かった。




「そこ!中村さん、ソーシャさん、ニッタニシさん、ソウルスさん。授業聞いていましたか⁉」


 サウス=パーク先生がお怒りのようだ。




「「「「いえ……」」」」




「何で授業を聞いていないのですか⁉授業をしたくてもできない人もいるのにどれだけ魔法学校中等部を舐めているのですかそれに貴方方はZクラスで全国の魔法学校のトップ30以内にも入る実力者だっていうのにそんな態度でいいのですか駄目ですねそんなことも分からないなら魔法学校を退学させる構えはこっちもできていますここまでの内容だけなら退学は無いかも知れませんが授業中堂々と席を立って話をしているなんて魔法学校史上初なのですよ。それにソーシャさんは学級委員ですし中村さんは入学式で新入生挨拶をしましたよね。私だってZクラスに入りたかったのに入れなかったのですよ。定員があと一人多ければ良かったのに、ですよ。そんな思いをしている人はいるはずですそれにいくらZクラスの質が低いといわれているエルスタードラゴン跡地校でも授業を聞いていなかったのは初めてですだから私には貴方方を退学にする権利がありますよ。覚悟してください。」




 先生がそんな語りをしているうちに俺たちは学校から抜け出していた。




 こんな紙を残して。


『先生、長話は嫌われますよ。』




「皆さんどこに⁉」


「教室から抜け出していましたよ。」


「今すぐ追ってきます!二限目は自習です!」




 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―




 先生が去った後、生徒の一人、ウェザ=ニュセは、呟いた。


「中村、ソーシャ、ソウルス、ニッタニシ、ありがと、授業なくしてくれて。」




 その一言に、他の皆は反応した。


「おいウェザ、それはあの長話先生に狙われるぞ。」


「ホントだよ。ちゃんと注意しろよな。」


「ははっ。ごめん。」


「まあいいか。」


「見つからなければいいけど」


「……。先生を何だと思っている?」


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