第3話

俺はびしょ濡れの貞子に、こう促した。

「取り敢えず、着替えなきゃ。

風邪ひくぞ」


「う、うん」


「俺の家、学校からすぐなんだ。

風呂貸してやるよ」


「あ、ありがとう」



俺は親切心からそんな言葉を吐き、

彼女を家に招いた。


このときは。


貞子がスーパーアイドルだなんて、美少女だなんて

そんなこと考えもしないから、特段緊張しないで

ひとり暮らしの家に入れることができたんだ。


彼女の着替えは実家に住んでる俺の妹に新品の女ものの下着をマッハで届けてもらったが。


着替えの問題はそれで解決したが、

現状、俺は胸の高鳴りは抑えきれなかった。


なにしろ。



風呂から上がった彼女は超絶美少女。



こ、これは、色んな意味でヤバかった。



「ア、アイドル...!し、しかも国民的アイドルグループのセンターポジションの女...!」



「大したことないよ」


そう言いながら、俺がいれた紅茶を飲む彼女。


続けて言った。


「クラスのみんなには内緒にしてね。バレたら大変なことになっちゃうからさ」




「それより、今日はどうもありがとう。本当に助かった」


「あ、うん、どういたしまして」


「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど」


「なに?」


「この家、一人で住んでいるの?」


「あ、うん。理数科があるこの高校にどうしても通いたくて、実家からだとちょっと距離あって通うに大変だからさ、バイトしながら、家賃とか光熱費とか払ってる」


「えらいねぇ」


「いや、大したことないよ」



「あのさ、山吹くん」


「ん?」


「ちょっとお願いがあるんだけど」



「なに?」



「私もここに一緒に住んでもいい?」


「ええ!?なんで!?」


「学校に超近いこと!それから!私、

朝寝坊しがちだから、起こしてほしいの!」


「ええ!?」


「だめかな?」



「い、いやー、流石に、君の寝る部屋がなくて...」


「一緒に寝ればいいじゃない!」

「私は山吹くんと一緒のベッドでも全然構わないわ」


「いやいやいやいや、流石にそれはちょっと」


あ、アイドルと一緒に寝るとかダメだろ!

流石に!


「家賃はちゃんと入れるし!生活費もきちんと

払う!だから、お願い!」




滅茶苦茶なゴリ押しをされて。

俺は嫌とは言えなくなり、

俺は事件以後、彼女と同棲する羽目になってる。



さて。


あの金髪ギャルトリオだけど。


あまりにも生活態度が悪かったり、

赤点を取りまくったせいで、

ダブりが決定して、進級できずに、

三人して、学校を辞めて行ったのでした。



最後に。



俺はいつか、文春の記者が俺の家に突撃してくるんじゃねーかと、ヒヤヒヤしながら、

国民的アイドルグループのセンターポジションにいる女と、イチャラブな同棲生活を送ってる。


「シンジ!!ご飯できたよ!」


「あ、ああ」


「はい、あーん!」


「ど、どーかな?おいしい?」


「う、うん、滅茶苦茶うまい」


「よかったぁ」


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