指定席
勝利だギューちゃん
第1話
「雨、やまないね」
「そうだね」
下校途中に、駅まで歩いていたら、いきなり降り出した。
通り雨なので、すぐに止むと思っていたら、今日に限ってしぶとい。
いつも、携帯用の傘を所持ているのだが、今日はおうちでお留守番をしている。
仕方なく、歩道橋の下で雨宿りをする。
考える事は、同じのようだ。
「あれ?君も雨宿り」
クラスの女子が来た。
名前は・・・
知らん。
でも、向こうは覚えてくれているようだ。
当たり前だが・・・
「〇〇くんは、傘無いの?」
「あったら、差してるよ」
「私はあるよ。ほら」
小さい携帯用の傘を差しだしてくる。
「あるなら、差せばいいのに」
「まあ、すぐに止むから、使うのもったいない」
「あのな・・・」
そうして、他愛もない会話で30分が経つ、
「仕方ない、傘使うね」
「うん」
僕の断りいらんだろう・・・
傘に名札が付いていた。
彼女は、米田さんというのか・・・
「ほら、入りなさい。空いているから」
「いいよ」
「だめ。私の隣は君の席よ」
「他の方に譲ります」
「指定席だから、だめ」
仕方なく入る。
かわいい女子と、相合傘をする。
思春期ならずとも、男性なら誰しもが、夢を見る。
僕は、それを現実のものと出来たわけなのだが・・・
素直に喜べないのは、なぜだろう?
「ところで、〇〇くん」
「何ですか?米田さん」
「おっ、初めて名前で呼んでくれたね」
さっき、知りました。
「私の彼氏に、君を推薦しておくから」
「誰が?」
「私が」
指定席 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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