真意

よく朝起きて階下に向かうと、ラークがいた。

「おはよう。プリヴェル」

「ああ、おはよう」

やはりラークには聞きたいことがある。

「その、ケントの『計画』は、聞いたのか?」

「ん?ああ。きっと今日にもメビウスから話があると思うぞ」

「…えっ?メビウスには話したのか?計画のこと」

「ああ。いってよかったかな」

すると背後から足音が聞こえる。

「おはよう皆さん、よく眠れました?」

ムラサメだった。

ムラサメは一番年齢も若く、健康的に太っている。

そしてまた一人、

「やあ皆さんお揃いで、昨晩はよく眠れたかな?」

「ああ」

「ん」

「僕はあんまり…」

正直に言うなよでぶ。

「さて、朝食にしよう。そしてもう一つ話があるんだ」

きっと計画のことだ。

朝食でも誰も話さなかった。

ムラサメは喋りたがっていたけれど

その場の緊張感に耐えるだけで精一杯のようだった。


朝食後。

「昨日は煙合に入る気かどうか確認したかったんだ。

 ここに入る気のある者はいない、な」

皆が承知する。

「私は実はプリヴェルから『計画』の話も聞いていた。

 しかしこれを煙合側に知られるわけにはいかない。

 プリヴェルは大切な煙合とのパイプだからね

 私の聞いた計画は残酷で許されざるものだった。

 目的も非人道的。そしてその計画を完遂させるには

 我々全員の力が必要だと」

何だろうそれは。皆が黙って聞いている。

「単刀直入に言おう。私とともに、ケントを止めよう」

まあ、覚悟はしていた。しかし、

「その計画ってのは…なんなんだ?」

「うん…それは、“人口削減計画”」

………は?

「彼はこの15億人の人口が多すぎると考えた。

 前回の滅亡も、その前回も、前々回も人口過多による飢饉が原因らしい」

「それで、あいつは人口を、人を、殺すってのか?」

「残念だがそうだ」

なんだそれ。だめだろ。

「方法はまだメンバーにも明かされていないようだが、

 僕ら創世の一族全員、はたまたそれぞれの《遺物》がそろわないとできない計画らしい。 だから、僕たちで彼を止めよう。

 きっと僕たちがいなければ、彼も目的を果たせないんだ」

ウィンストンが訪ねる。

「それで、どうすればケントさんの計画は止まるんですか?」

「それにはまだ情報が足りない。

 プリヴェルからの情報を待とう。

 ……ここに、《スモーク》を結成する」

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