第四話 夢?それとも…
気がつくと私は街にいた。私が買い物をしている中…
突然小石が飛んできた。
後ろでクスクス笑う私と同年代の街の少女たち。また一つ、また一つと小石が飛んでくる。意を決して私は彼女らに叫ぶ
「やめて!」
しかし、聞く耳を持ってくれなかった。そればかりか、あの人たちは私に汚物を見るような目で私を見ながら、罵声を浴びせてきた。
「あんな鬱蒼とした森に住んでいるくせに来んなよ!」
「親に捨てられたクズ人間の癖に!」
「気色の悪い女に育てられてる分際で!」
鈍い痛みを感じる。私の意思表示は全く相手にされなかった。
そのあとははっきり覚えてない。掴まれて殴られたかもしれない。蹴られたかもしれない。全身傷だらけになって所々出血している。けれども、左手だけはなぜか痛みを感じなかった。しかし、意識はだんだんと遠のいていく。
「私は…私は…」
目を覚ました。視界には見慣れた天井。
「夢…?」
夢にしては妙に現実味があって、不気味なほどよく覚えている。痛みさえ感じた気がする。ただ、体に傷はないし、外へ出た形跡もない。しかし顔は濡れている。泣いていたのかもしれない。いずれにせよ、まだ起きるには早い。まだ太陽すら登ってない。私は深めに布団をかぶってもう一度寝た。これはただの夢、ただの夢、と自分に言い聞かせながら。
二回目の起床、すでに外は明るかった。時刻は午前8時。いつもよりも2時間も遅い。私は急いで着替えて下へ降りた。すると母はすでに朝食の準備をしていた。
「おはようベレッタ。今日は少し遅かったのですね」
「ごめんなさい、お母様。」
「いいのよ、たまにはゆっくり寝てても」
「気遣いありがとうございます…あっ、私も手伝います」
料理をテーブルに運んでいた母のもとへ少し駆け足で向かい料理を並べる手伝いをする。部屋に充満する豊満な小麦の香り。母はパンを焼いてくれたようだ。
「いただきます」
私は焼かれたパンに手を伸ばす。マーガリンを薄く伸ばし、口に入れる。うまい。もとのパンが美味しいのかもしれないが、母が焼いたということだけでより一層美味しく感じた。そこで、私の心を読むかのように
「美味しい?」
と聞いてきたので、私は
「もちろん美味しいです!」
と答えた。すると母はまた微笑んでくれた。あぁ、いつ見ても美しい。いつまでもそうして笑ってもらえるように私はもっと頑張らなければ。
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