第3話

突如として同盟相手のエルフが襲撃を受けてしまった。

その救援のために俺を含めた三人で向かう事になったが、この中で俺の能力が地味で一番弱いと思う。ここで俺も名乗っておくことにしよう。

俺の名前は、ツバキという。異能持ちだが、この能力が大変使いにくい。

その能力は、食べた物の能力や身体能力を自分のものとして使うことが出来るというものだ。

これだけ聞けば大変強そうな能力だろうが、だけど実際には全く持って使えない能力なのだ。

まず、俺自体の身体能力がそこら辺の人間や魔物よりも高いせいか能力を経ても弱体化してしまう。だから基本的には封印している。

なのでこの能力の真価を発揮するには一級以上の魔物を食わなければならない。だけどそもそも数が少ないこともあるのだがほとんどが特級の配下だと言われているため倒して食うにしてもリスクが高すぎるのだ。

俺にも幼馴染の三人みたいな強力な力があればいいんだけどな。まあ今ここには二人しかいないのだけどな。

そう一人でブツブツ言っていると、

「ねえツバキ、さっきからぶつぶつ何言ってるの?」

「何も言ってないよカエデ」

「まあそれならいいんだけど」

さて俺がカエデと呼んでるこいつがさっき言った幼馴染の一人である。

こいつも俺と一緒で異能持ちだけど俺とは違ってこいつのは本当に意味で規格外だ。なぜなら言うとこいつは俺が一つしか持っていないのに2つも持ってやがる。更に2つとも意味がわからないくらい強力なのだ。

一つ目は、空間支配。これは、何もない空間を歪まして罠を仕掛けたり、制限はあるがテレポートをしたりできるという便利なものだ。更に物をこの中に入れていつでも取り出すことができる。

本当にこれだけでも強いのにもう一つが更に意味がわからなくなるくらい強いのだ。もう一つの能力は時間支配。

これは制限がかなり厳しいが、時間を止めたり時間を戻したりできる。

時間を止めることができる時間は一回あたり三十分で一日二回まで戻すのは五分で一日五回まで使える。

だけどこの能力にも少し弱点がある。それは時間を止めても一級以上の敵には効かない場合が多いことだ。

それでも戦闘中に邪魔が入らないという利点もある。

更にこの能力には効果があり、攻撃を加速させたり相手の素早さを下げたりすることもできる。この能力みたいに、俺の能力も強かったらよかったのにと何度も思った。

さて今度は後ろから、

「またなんか二人で話してるの。私も混ぜてよー」

「いや話してるわけじゃないからな。また後で話してやるからモミジはおとなしくしててくれ」

こんなふうにいつも元気に話してくるのはもう一人の幼馴染であるモミジだ。

こいつの能力もぶっ壊れている。なぜこんなにも俺だけ弱いのか分からなくなってしまう。そう俺に思わせる理由はこいつも異能二つ持ちであるからだ。

一つ目は、相手の次に行う行動が簡単にだがわかるみたいだ。この能力も敵が強くなればなるほど外れることが増えてくるがそれでも十回に一度くらい外れるくらいである。

もう一つは相手の弱点や保有能力が分かるというものだ。

そしてこいつには魔法の才能があるようで無詠唱で特級までの魔法が使える。

ここで説明するが魔法にも級があり初級から特級まである。

ちなみに俺らの集落ではみんな中級まで使える人が多い。

カエデは上級まで使えて、俺は初級までしか使えない。ここでも差別が起きてるみたいだ。

さて話を戻すが、モミジは弱点を見ぬく力で確実に相手に効く魔法を放つことができる。

あと一人エリナというエルフの幼馴染がいるのだがこいつに関しては出てきた時に説明しようと思う。まあこいつの能力もおかしいけどね。

こんな感じで俺だけ足手まといになっているんだよな。なぜこんなにも差がでてしまったのか。泣いてしまいそうだ。

しかし、気にしていても変わらないのだからいつか強い魔物を食べて強くなってみせよう。

さてここで俺はずっと気になっていたことを彼女たちに聞きたいと思う。

「なあそもそも、俺達よりも圧倒的に強いエルフが襲撃されて負けるなんてありえるのか。あそこにはエルナもいると思うけど。多分だが特級クラスのやつがいると思うんだがどうしようか」

「いるかもしれないけど多分負けなと思うわよ」

「そうだそうだ。どんな奴でも倒してやるぞ」

なんかこいつら楽観視し過ぎじゃないかな。だけどもう目の前にエルフの集落が見えてきたのだから後戻りはできないだろう。

しかし、目的地についた時俺達は楽観視していたことを後悔するのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る