通販で生き物を買う

通販で冬虫夏草のような菌生物を買った。それは植物のようであったが、動物のように動くこともできた。水さえ与えればいいようだったが、なんとなく物ぐさであり、放置していた。


主人公のルーツは実家の母から電話が来て、「なにぃっ!」と大声を出した。通販で予約していた寄生虫が実家に届いていたのだ。その寄生虫はマントルに棲息しているものであり、捕らえられるとは思っていなかった。

実家から寄生虫が届く。パックされたものだが、その透明なパッケージからは寄生虫のグロテスクな姿が覗いていた。


ルーツは解説する。

この寄生虫は肛門から人体に入れることで、人体で飼育できる。寄生虫の頭は肛門から入ることはできるが、抜けようとすると引っかかるようになっている。

そして、紙のような異物が消化されずに腸に入った時、それを栄養として寄生虫は生きるのだ。


ただ、寄生虫を体内に入れる方法がなかった。

主人公は花京院になっていたので、私はスタンドで入れればいいじゃないかと思っていた。

ある日、花京院は女生徒とすれ違う。その女生徒も体内で寄生虫を飼っているようであり、それ以降、花京院は寄生虫を体内に入れることを諦めてしまった。

寄生虫が死んでしまったためかもしれない。


私はふと思い出し、植木鉢を買い、腐葉土のような砂利を詰めて、菌生物をそこに置いた。コップで水を注ぐと、菌生物は喜び、飛び跳ねながら「復活!」と言ってはしゃいだ。

最初は気づいていなかったが、菌生物は明らかに言葉を発し、子供ほどのの知能ではあったものの、意思疎通できた。


「太史慈伝」の前に、呂蒙を主人公にした小説を書いていたことを思い出す。これは歴史ものでなく、舞台を欧州に移した小説だ。全4話だが、すでに書き上げており、呂蒙が仲間やヒロインをかばって命を落とすクライマックスがアニメーションで再生された。

これはもう発表していいだろう。明日から土曜日までに毎日公開すれば、「太史慈伝」を書く間のつなぎになる。

「呂蒙!」と私は叫んでいた。そして、意識を失う。


目覚めると、ベッドの右側にあったはずの植木鉢と菌生物が左側に移動していた。植木鉢の砂利は溢れており、菌生物が自分で移動したことがわかった。

菌生物は私の看病をしてくれていたらしい。

「ありがとう」と言い、菌生物の頭?を撫でると、菌生物は喜ぶ。


少しして、また寝ていた。すると、植木鉢の中身が完全にひっくり返っている。

菌生物がやったのだろう。私は菌生物を嗜め、砂利を集める。


しかし、こんな意思疎通のできる生物なんてあるだろうか。私は不気味に思い始めていた。

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