神崎ひかげvsバレンタイン

木船田ヒロマル

ボリビア多民族国ラパス県インガビ郡

「なぜなの、ゲー・フュンフ」


 燃え盛るセーフハウスのリビングで、ビジネススーツの気位の高そうな女は僅かな血と共に最期の問いを吐き出した。


「私たちの襲撃の情報をターゲットにリークしたのがあなただからよプペンシュピラーリン人形使い


 少女は拳銃を女の額にピタリと指向したまま淡々と答えた。


「ゲー・フィーアは死んだわ。私は左目を失った。人形劇は幕引き。私のパートナーと左目を私の退職違約金にさせて貰う」

「組織を抜けるつもり?」


 女は笑ったようだった。ちらりと覗いた歯も鮮血に染まっていた。


「逃げられ、はしないわ。レクス・タリオリス目には目をが組織の掟。あなた、は、ありとあらゆる拷問を受けて惨たらしく──」


 嘲りを含む女の言葉を、一発の銃声が遮った。

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