正直な決闘
人類の脅威は怪獣だけではない。
ストロングマンの居なくなった地球には宇宙人が潜伏し、侵略を企んでいる。
夜の〈ジライヤ〉本部からテレビ電話の通信が入る。
そこに映っていたのはパワードスーツを着た3人。
『私達はバッレ星人。我々は決闘を好む。君達が作り出したストロングマン1人と我々から選抜した1人で地球を賭けて戦ってもらいたい』
これは実質侵略の表明。
断れば確実に全面戦争へ発展する。
隊長は苦しい判断を迫られ、一息口から漏らす。
「分かった。だが君達が負ければすぐに撤退してもらおう」
『承諾した。決闘場所はデータを送るのでそれを確認してほしい』
データが送られ、位置を確認する。
「山奥か、ここなら国民に危害は加わらないな」
『我々は決闘を好むと言っただろう。観客など必要ない。始まりは明日の夕方。1対1での殺し合い、楽しみにしているぞ』
通話が切られ、司令室に沈黙の時間が生まれる。
それを切り開いたのは隊長だった。
「とにかく明日
「良いのですか?」
「相手は宇宙人、今までどれだけ騙されてきたか」
部下の苦悩の発言に彼は腕組みをする。
「安心しろ。2人だけを出撃させる気など更々ない。おそらく相手は巨大化する者が1体。その他2体以上と仮定する。撤退する前に奇襲を掛け、全滅させるんだ。良いな!」
『分かりました!』
隊長の号令に部下達は敬礼し、作戦を練り始めるのだった。
夕暮れ、山奥で
全身黄色の装甲に覆われ、フルアーマー状態となった彼は高く飛び上がり、バッレ星人の作り出したバトルフィールドにリングインする。
そこはバリアで覆われ侵入したら最後、相手が死ぬまで出られない。
「さあ決闘を初めよう」
「あぁ、さっさと終わらせてやる」
バッレ星人はパワードスーツのブースターを活かし、ホバーリングしながら左手からエネルギー弾を放つ。
しかし装甲が硬く弾かれしまい、逆に距離を詰められる。
拳での殴り合いを繰り返し、レイのアッパーが決まるもエネルギー弾をゼロ距離から喰らい吹き飛ばされる。
尻もちをつき、立ち上がろうとすると馬乗りにされ、顔面をひたすら殴られる。
それを待っていたと言わんばかりに頭の装甲をパージする。
あまりの勢いにバッレ星人のヘルメットに激突、覗きレンズが破損した。
「ま、前が見えない!」
ヘルメットを脱ぎ捨て構えると、驚きの光景があった。
ソウコウの顔はカサネとあまり変わらない。
だがストロングマンとは明らかに違うのでバッレ星人は思わず後退りする。
レイは全身の装甲をパージし、誠の姿になる。
黒きそのボディには耐熱用の穴が多数空いており、胸元には装甲を制御する輝くコアが散りばめられている。
「だから言っただろう。さっさと終わらせるってな」
全身から蒸気が放出したと思うと、一気に加速し強烈な連続ストレートが決まる。
さらに蒸気を放出し、神速で吹き飛ばしたバッレ星人の背後を取る。
強烈な右拳を背中に打ち込み、左回転がかかりながら倒れ込ませた。
「面白い。面白いぞ。私は強い相手を待っていたんだ!」
立ち上がりながら後ろを振り返り、笑うバッレ星人はブースターで高く飛び上がり、腕をクロス、
切り札であろうこの技を撃ち返し、撃破できれば任務完了。
(これで終わりにしてやる)
左腕と右腕にエネルギーを集め、敵に向けて両手を伸ばす。
「ビーム
左手から赤い光線、右手から青い光線が放たれる。
両者互角の撃ち合い。
負けになるとすれば撃ち続ける気力が無くなった時だろう。
「グオーーーーーーー!!!!」
「ハァーーーーーーー!!!!」
果たしてどちらが勝つのか。
〈ガンマ2号〉を操縦している短い黒髪の女性隊員
パワードスーツを脱がされたバッレ星人の1人はその骸骨の様な表情を歪ませ、戦闘員達を睨みつける。
「この卑怯者め」
「侵略者に卑怯者扱いされても困る」
戦闘員達はビームガンをホルスターから取り出し、宇宙人達を射殺するのだった。
一方レイとバッレ星人の光線による撃ち合いは熾烈を極めていた。
光線の出力に耐えられず、パワードスーツがひび割れて行く。
「これで終わりだ!」
巨人の口が大きく開き、破壊光線を放つ体勢に入る。
「なに!?」
「ファイナル
3つの光線が敵の光線を撃ち返し、バッレ星人の体は3色の光を受け爆散した。
同時に2つの技を使ったことでレイの疲労が限界に達し、その場に倒れた。
リングのバリアが解除され、里生は〈ガンマ2号〉を侵入させる。
「番理君!?」
変身が解除される姿に思わず彼の名を叫び、車輪を出し機体を着陸、急いで彼に駆け寄る。
「へへ、体が動かねぇ。吉田さん手を貸してください。どうやら中のストロングマンは俺の事が嫌いらしいです」
番理レイは選ばれた6人の中で最も適合率が低かった。
だが隊長らが研究者を押し通し変身者として選ばれた。
それを知った里生は高校の後輩である彼に寄り添うようになり、彼女の中で恋心が芽生え始める。
それは守ってあげたいと言う母性に近い物だった。
「安心してください。あなたはストロングマンに成って戦ってくれた。たとえ中のヒーローに嫌われていても、私は番理君の事、大好きですから」
そう言いながらレイに肩を貸し、〈ガンマ2号〉に乗り込むのだった。
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