ストロングマン

ガトリングレックス

新たなる希望編

ヒーロー誕生

現代社会において怪獣とは災害の1種である。

自衛隊や軍隊は対処にあたるが、撃破することはできず、返り討ちにあった。


その後地球警備隊〈ジライヤ〉が設立され、怪獣退治を専門にしているが、倒せた数は少なく、信用を失いつつあった。


その時現れたのは正義の巨人、通称ストロングマン。

その巨人は怪獣を度々倒してくれたまさに正義ヒーローだった。


しかしそれは〈ジライヤ〉の支援があってこそであり、株が上がる要因にもなった。


だがストロングマンが現れなくなり、それによって怪獣が同時に3体現れることはまれだった。


そこで〈ジライヤ〉は今までのデータを元に人工的にストロングマンを開発を開始、怪獣のデータもり交ぜることでさらに強化を測った。


問題は素体を誰にするかだった。


適合率が低い者が変身すれば体が耐えられず爆散した。


血液検査で回収されたDNAディーエヌエーを分析、解析した結果適合率が高い6人の選抜に成功した。


その中の1人、蘭打英二らんだえいじに〈ジライヤ〉から郵便がアパートのポストに届く。

封を切ると、手紙、その裏にはジライヤ基地の案内をしてくれるマップのQRキューアールコードが印字されていた。


「なになに? あなたはストロングマンに成る資格を得ました。ジライヤ基地へ今週末に来てください。来なかった場合、もしくは来れない場合は迎えを送ります。なんだこりゃ?」


訳が分からない文章に彼はとりあえずエレベーターに乗り込み、自分の部屋の階に向かう。


ストロングマンは前までテレビで報道され、一時期毎日特集が組まれる程だった。


それに当時は退屈さを感じていた。

同じ物を大量に見続けるのは苦痛でしかなかったからだ。


正直ここら辺で怪獣被害を受けた訳でもない。

まさしく他人事だった。


エレベーターを降り、自分の部屋までの廊下を歩いて行く。

いつも通りの風景、明日はビルの清掃がある。

それを乗り切れば明後日は休み。

そう考えれば別に苦ではなかった。



週末、英二がリビングでくつろいでいると、チャイムが鳴り、かったるそうに玄関に向かい、覗き穴にから誰なのか確認する。

そこにいたのは〈ジライヤ〉の団員服を着た気の強そうな長い青髪の女性だった。


(マジで来たのかよ。仕方ない、居留守を使うか)


ストロングマンに成って戦えと言われるのがとても怖い。

それは当たり前の感情であり、早く帰ってくれと願うばかりだった。


だが鍵がカチャっとあっさりと開き、女性が入って来た。


「蘭打さん。居留守を使って戦いから逃れるなんて、我々には通じませんよ」


彼女の手には管理人が持っているはずの合鍵が収まっていた。


「あんた不法侵入は列記とした犯罪なんだぞ!? それでも地球警備隊か!?」


「これは失礼。ですが、怪獣から人類を守る。それが〈ジライヤ〉の使命。あなたにしかできないことをしてもらいますよ」


正義のヒーローを気取る団員に気は乗らないが断ることなどできないと諦め、ため息を吐きつつ彼は共に戦闘機〈ガンマ1号〉に乗り込み基地に向かう。


「申し遅れました。私は霧神十気きりがみとうきと申します。蘭打さんが怪獣との戦闘を行う際のサポートを行わせて頂きます」


「サポートって、霧神さん俺は…………」


十気のアップテンポな説明に着いていけない彼の前に、なんと怪獣が地面を割って出現した。


二本のドリル状の角、2足歩行で肉食恐竜を思わせる鋭い牙、赤い瞳を持つこの怪獣の名はドリンガルス。

人間や家畜を餌にしている別名回転角怪獣かいてんづのかいじゅうだ。


「か、怪獣だぁー!?」


英二は驚きで叫びを上げ、それに対して「落ち着いてください」と彼女はハンドルを左に回し、怪獣を躱す。


人間の匂いを嗅ぎつけ、ドリンガルスは角を回転させ、〈ガンマ1号〉に突進を仕掛ける。

この緊急事態に十気が出した答えは、ここで英二をストロングマンに変身させることだった。


片手で操作しながら変身アイテムでを手渡し、説明をし始める。


「その中にはストロングマンに成れる薬品が入っています。腕に下側を押し当て、上側のボタンを押してください。薬品が体に行き届き、それ以降どこでも自分の意思で変身が可能になります」


「分かった。助かるにはそれしかないんだろう。だったらやってやる!」


彼は変身アイテムの下側を左腕に押し当て、ボタンを力強く押す。

するとチクリとした痛みを感じた思えば、体が発光し始める。

そして誕生した人造ストロングマン、カサネがここに降り立った。


その姿は正義の巨人の姿を怪獣の姿で歪ませたまさに怪人。

黒いボディに黄色のライン、ランプの様な眼、口からはヨダレが垂れ、牙がギラギラと輝いている。

さらに手は怪獣を思わせる鋭い爪が生えており、尻尾を地面に引きずらている。


「これが、俺?」


腕を見て動揺していると、ドリンガルスがドリル攻撃をしてきた。


「とにかくやるしかない。ウォーー!」


叫び声を上げながら尻尾で怪獣の腹を叩き後退させる。

追撃に頭を引っ掻き、傷を付ける。

しかしドリル攻撃をくらい、大きく吹き飛ばされ、地面に叩き付けられる。

すると車が衝撃で唸りを上げた。


「いってー。怪獣なら怪獣らしく、やられやがれー!」


すぐ様立ち上がり、猫背になると両腕で十字を作り、狙いを定める。


「クロスインパクト!」


口をガバっと開け、放たれる水色の太い光線。

それはドリンガルスの腹に命中し、爆散した。


「すごい破壊力。これなら人類を守れる」


人類は怪獣を倒す力を手に入れたと確信した十気は変身を解除した英二を回収し、改めて基地に向かうのだった。

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