埼玉県M市の店で不審者が出た話

バンブー

私Aの話

 私は事務仕事件現場のお手伝い担当をするしがないサラリーマン。営業をしつつ担当店舗の巡回という名の雑用をする休みの少ない社畜。そんな私の担当店舗にてある騒動が起こったのだ。


「A君レジお願いします!」

「ハイ! 今行きます!」


 今日は東京の本社から埼玉県M市にあるお店の臨時で来ている。

 事件は8月13日、祝日の昼頃。

 私はレジ会計や資料作業を行っており従業員は私含めて4人。お店はたいした広さではないが、お客さんが10人以上は入れる程の区画。

 私は暑さと理不尽な仕事量と会社システムの不便さにイライラを募らせている最中だったのを覚えています。


「ああああああクソが!」


 ドン!

 私は会社のシステム不備に思わず机を叩き、1人でイライラしている最中でした。

 ふと、レジ前を見て今の痴態をお客様に見られていなかったか確認した所だった。


「……」


 黒い服装で無表情の男が1人、入口からお店のバックヤードに早歩きで入って行きました。一瞬、派遣の販売応援かなと思いましたそんな報告は会社からもらっていません。

 このM市という立地は俗に言うヤンキーが多いことで知られており、言い方が悪くなってしまい埼玉県の印象も悪くなってしまうかもしれないが、洒落にならないヤバイ客が定期的に現れる。

 信じられないかもしれないが、言葉の通り道端に転がってキャッキャッと騒ぐ野生の猿のような人が凄く多いのだ。

 そこに顔を見たことが無い男。

 混んでいる時にバックヤードに入る。

 ……


「おい、待て!」


 私は不審者を追いかけレジを後にする。

 走ってバックヤードに入ると非常口があるが、それを無視して奥の在庫置き場件休憩室に入る。

 だが……


「いない?」


 休憩室は隠れられる場所はほとんどなく、商品の埃よけで掛けられた布をめくってみると当然商品しかない。


「非常口か?」


 非常口に逃走した可能性はある。

 防火防災の観点から、お店の稼働時は非常口を開ける必要がある。私が最初に非常口を無視したのは

 追いかけた速さや非常口が閉まるまでの時間を考慮してもそこへ不審者が逃走した逃げたとは思えなかった。

 しかし、逃げはここしかない。

 私は急いで非常口のノブに手を掛けた。


「え?」


 私は困惑する。

 非常口に鍵がかかっていた。

 鍵は店内側の面にしかつけられておらず、扉の反対側は外になっており自力では鍵がかけられない。

 つまり、

 これは後に登場するCさんというフィリピン人のスタッフが朝非常口を開けていない(防火防災のルール的にアウト)の作業ミスだと発覚するのだが、それはどうでもいい。

 私は近くにいたパートのDさんに尋ねる。


「Dさん、何か男の人バックヤードに入って来ませんでした?」

「え⁉ ついに不審者⁉」


 M市のお客様を全く信用していない従業員ですが、それは置いておいて。


「さっきレジにいたら入って行くのが見えて……」


 詳しくは話しませんでしたが、1番近くにいたDさんが見ていなかったということで私は納得する。


「どうしたのAさん?」

「いや、すみません。私が疲れていただけです。うん」

「ん? そう言えば誰かが同じこと言ってたような……」

「同じこと?」

「うーん……ごめん、思い出せないや」


 もしかしたらDさんも疲れているのかもしれない。

 我々は最近休みなく働き詰めだったので、暑さもあり幻覚を見たのだと納得しました。







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