第36話 目覚め

 ビビアンは何度も同じ様な悲惨な夢を見続けた。


 幼少期にいじめられていた事。

 両親に生まれた事を嘆かれる事。

 何度もサクセスから裏切られる事。

 そしてサクセスが死ぬ事。


 その悲惨な夢は、毎回幸せから始まる。

 そして、必ず最後には受け入れられない現実がまっていた。


 耐えられない。

 もう、何も信じられない。

 生きていたくもない。


 ビビアンの中でどんどん闇が膨れ上がってくる。


 そして遂に、ビビアンの心は完全に壊れた……。





 憎いか?



 …………。



 この世界が憎いか?



 …………。




 お前はこの世界を守りたいか?




 …………いらないわ。こんな世界。



 謎の声に、やっとビビアンが反応する。




 そうか…………それでは我と共に来い。

 お前に世界の半分をやろう。




 いらないわ。そんなの。

 こんな世界……消えればいいわ。




 わかった。

 お前の願いを叶えてやろう。




 さっきからアンタ誰よ?

 気安く声をかけないで!




 それはすまなかった。

 私の名は大魔王マーゾ

 君の名は……?




 アタシは……。

 アタシは誰?


 そう、そうね。

 わかったわ。

 アタシの名は……




 ダークビビアムよ。




 ダークビビアム

 勇者と魔王の血を引く者よ。

 さぁ行くが良い!

 そして、願わくば、我と共に世界を破壊しようではないか!


 ふはははははっ!




 そして、ビビアン……否。

 ダークビビアムは目覚めるのであった。

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