第55話 バニーさんの誘惑
大量のコインを入手した俺達が次に向かうのは、景品カウンターであった。
まだコインの使い方がわからない俺達は、とりあえずそこで説明を受けることにしたのだ。
景品カウンターは、酒場の隣にあったのを見ていたのですぐに見つかった。
そして、その景品カウンターの受付には……。
うわ、え、エッロ……。
なんか、すごいエロイうさぎさんがいる……。
「痛っ! ちょ、何するんだよ。」
「サクセスさんがいやらしい目で、他の人を見るからです。」
俺がウサギ耳と網タイツを装着したグラマーなおねぇさんに目を奪われていると、手の甲をつねられてしまった。
「いやらしい目って……いやいや俺も男だからさ。ああいう格好されると目がいっちゃうのは仕方ないんだよ。大丈夫、シロマの方が可愛いよ。」
機嫌が悪くなられても困るので、ご機嫌取りをする俺。
「え、可愛いですか? では、私があのうさ耳と網タイツをつけたら、もっと私を見てくれるでしょうか?」
シロマは真剣な目で景品コーナーにあるバニースーツを見ている。
バニースーツを着たシロマ……。
もはや犯罪のにおいしかしてこないが……
やべぇぞそれ、グッとくる。
「そ、そんなもの着なくてもシロマしか、み、見てないっぺよ。」
「あ、その口調になるって事は私には似合わないって思ったんですね? 胸ですか? やっぱりサクセスさんも胸なんですね!」
「んなことないっぺ。シロマがあれを着ているのを想像したら、ドキドキしただけだっぺ。」
俺は、大も小も両方こよなく愛す平等主義者だ!
「あ~や~し~い。まぁいいです、そういう事にしておきましょう。とりあえず景品コーナーにいる受付の人に声をかけましょう。」
ほんとなんだけどなぁ……。
よし、なんとしてでも、あのうさみみと網タイツだけは絶対手に入れてやる。
「あの~すいません。俺たち、カジノが初めてで、コインの使い方がわからないのですが……教えてもらえませんか?」
「かしこまりました。では簡単に説明させていただきます。当カジノでは、お遊びいただくのに、ゴールドをそのまま使えるものと、コインでしか遊べないものがございます。あちらにあるスロットマシンでは、ゴールドで直接遊ぶことができるようになっております。ですが、ポーカーと呼ばれるカードゲームとルーレット、それに地下のモンスターレース、闘技場でゴールドは使えません。そこではコインが必要になります。コインの購入は、こちらで1コイン10ゴールドで行えます。」
「え!? じゃあ5万コインだと50万ゴールドって事ですか!?」
「はい、そのとおりでございます。」
やべぇ、まじか。
だから、シロマがやっていた1ゴールドスロットは出てくるメダルが少なかったのか……。
あと、何気に地下のモンスターレースってのもおもしろそうだな。
「ただ、コインのゴールドへの換金は行っておりません。入手したコインは、ここの交換所で珍しい商品等と交換する他、料理やお酒の購入にしか使用することが認められておりません。稀に、コインとゴールドの交換を持ち掛けてくる悪い方もいらっしゃいますが、そういった事が発覚した場合は、当カジノにおきまして、永久に出入禁止となりますので十分にご注意ください。」
「は、はい。わかりました。」
俺は、ゴールドに換金できない事に若干のショックを受けたものの、そもそも損失はほとんどないし、問題はない。
「何か他にわからないことはありませんか?」
「あの二つだけよろしいですか? コインを預かってくれる場所とコインの譲渡について罰則があるかを教えて下さい。」
バニーガールの説明をいつの間にかメモしているシロマは、何かに気付いたようで質問をした。
「はい、まずコインを預ける場所はこちらの景品カウンターと出入口前にあるサービスカウンターで行っております。コインの譲渡については特に制限はなく自由です。禁止しているのは、ゴールドとの直接交換のみでございます。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「まだ何かございますか?」
なるほどね、つまり今後情報を聞き出すのに、コインを使う事が可能ってことだ。
流石だな、シロマは。
目の付け所がシャープだな。
俺は特に質問が無かったので、シロマの方に顔を向けると、シロマも顔を横に振った。
どうやら、もう聞くことはないらしい。
「いえ、特にありません。」
「そうですか、もしまたわからないことがありましたら、このバニースーツを着ている者にお気軽にお声をかけてください。それではコインの交換はされますか?」
「いえ、先ほどよく知らずにスロットマシンをやったら、なんか777が揃ってコインが沢山出たので、今のところは平気です。」
「ええええ! ほ、ほんとですか!?」
「はい、え? どうかしたんですか?」
さっきまで丁寧な口調で大人な雰囲気を出していたバニーガールが、普通の口調で驚きだした。
「し、失礼しました。 では、先ほどの……ラッキーボーイとは、お客様の事だったのですね。」
「ラッキーボーイ?」
どうやら先の大当たりで、俺達はカジノ内で噂になってしまったようだ。
しかし、これは好都合。
コイン欲しさに情報をもっている奴が近づいてくるかもしれない。
「あのスロットマシンで7が三つ揃ったのは、3年前に一度あっただけです。それくらい凄い幸運なんですよ。」
バニーさんはそういうと、シロマがいるにも関わらず、胸の谷間を強調させながら俺に近づき、上目遣いで囁いてきた。
「もしよろしければ、休憩時間にご飯でも一緒にどうですか? そちらの子よりも、もっといい事をしてあげるわよ。大人のぱふぱふって知ってるかしら?」
俺が五万コインを持っていると知ったバニーさんは、急に態度を変えて来た。
【大人のぱふぱふ】だと!!
ふざけやがって……くそ!
最高に気になるじゃねぇか!
こんなバニーさんに……
「結構です! 間に合ってますから! これ以上変な事を言うようなら、上を呼びますよ!」
突然シロマがキレた。
その様相にバニーさんは焦りだす。
「た、大変申し訳ございませんでした! 気の迷いですので、どうかお許しください。」
「わかりました、でも二度とそのような事は考えないでください。次は容赦しませんよ。サクセスさん、景品コーナーは後にして、先に食事をしましょう!」
そりゃそうだよ。連れがいるのに、何考えてんだか……。
こんなんでいいのか? 責任者!
ちゃんとしつけとけ!
誰もいないときにこっそりと誘惑してこいとな!
おっと、つい本音が……。
大人のぱふぱふは残念だが仕方ない。
あの谷間は……
後でこっそりコインを握らせて堪能させてもら……
あかんあかん! ばれたら殺される!
「は、はい! シロマ様! 行きましょう!」
シロマの勢いにあてられて、ついシロマ様と言ってしまった。
「サクセスさんも変な事を考えないようにしてくださいね。何度も言いますが、今日は、私だけのサクセスさんなんですから……どうしてもというなら後で……その……私もあの服着ますので……。」
俺の手をギュッと握りしめながらシロマは恥ずかしそうに言った。
うん、俺はやっぱコッチの照れ屋なバニーさんの方がいいな。
俺もシロマの手を強く握り返す。
そしてかいしんのいちげきを放つ。
「シロマ、大好きだぜ。」
それだけ言うと、俺は酒場に向かって歩きだした。
顔は見ていないが、多分、今頃シロマの顔は凄い事になってるだろう。
なんかブツブツ言っているし……。
まぁなんにせよ布石は打った。
これで俺がバニースーツを交換しても、誰にも怒られないだろう。
【ヤッベぇみずぎ】と【バニースーツ】
迷いどころだな……
いや、この際両方来てもらえば……。
あれ?
そういえば俺は何しにここに来たんだっけ?
こうしてまだまだカジノデート、否、ちびうさ情報収集は続くのだった……。
情報については未だゼロだが……。
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