第149話 宴の跡

「なんでお嫁さんを増やすかな?かな?」

少し奥に下って二人に説明することになる。

「ミユキさん、だって、あれは断れないよ。

あんなに可哀想な身の上だし、景虎さんの顔も潰せないから。」

「お兄ちゃんは脇が甘いんです!そもそも、こんなに多くお嫁さんいらないよね?」

「ユメちゃん、戦国時代は大変なんだよぉ・・・」

「ううう、もうバカバカ、お兄ちゃんのバカ!」

ユメはポカポカ叩いてきていた。


「はぁ、もう仕方ないか・・・でも、少しは自重してくださいね。」

ミユキは正妻の余裕なのか思ったより怒ってこなかった。

「ミユキもなんで怒らないの!」

「だって、私はヒロユキくんと繋がっているから、これぐらいじゃね、でも、私を蔑ろにはしないでね。」

「勿論です!」

「うー!なら私もお嫁さんになる。」

「ユメちゃんは妹の位置を選んだんでしょ?」

「あの時の私のばか!」

実際、このやり取りをよく見ている家臣達はユメと血が繋がっていないことは知られており、ゆくゆくは側室になると考えているのだが、ユメはまだ気付いていなかった。


「さて、俺は宴に戻るよ、流石に歓待している側の人がいないのは失礼だからね。」

「はい、でも、飲み過ぎには気をつけて。」「わかった、じゃあ戻って来るよ。」

俺は改めて宴にもどる。


「奥方には納得してもらえたか?」

「景虎がいきなり話を進めるから困ったよ。」

「善は急げと言うからな、直接会ったのだ、話を進めるのに丁度良かった。」

縁が繋がった事もあり、今後は上杉との協力関係が強固になっていくのだが、この時は家臣も含めてただ互いを知るために飲み比べをしているような状態だった。


翌朝、多くの家臣が酔い潰れ、動けない為、この日は大きな休日となる。

「うわぁ〜城の酒蔵8割が空だよ。

絶対みんな飲みすぎだろ。」

加減して酔い潰れなかった俺は城の管理を始める。


「今日は禁酒にしますね。」

俺の横で笛がメモを取りながら歩く。

「禁酒は行き過ぎかな、欲しい人には少しだけ提供してあげて。」

「身体に悪いと思うのですが・・・」 

笛は飲む人の心配をしているのだが、飲む人はその気持ちを理解してあげれないのだ。


「お客様だからね、あと、城下の酒蔵から買い足しておいてもらえる?」

「わかりました、手配しますね。」

俺はその後も食材を確認、今日の歓待の準備を行いつつ、上洛に備えての準備の再確認を行って一日を過ごすのだった。



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