第100話 躑躅ヶ崎館攻撃

「小太郎殿、富士吉田一帯を任せる。」

「はっ!以後、風魔はヒロユキ様の為に働きましょう。」

小山田信茂が討ち取られ、城が陥落した後、風魔小太郎に城を渡す。


「小太郎、それで北条の動きを教えてくれるか?」

「はっ、北条は会議を行い続けており、未だに纏まっておりません。」

「えっ?まだ決まってないのか?」


「はい、武田に付くか、ヒロユキ様に付くかほぼ均衡している模様です。」

北条は重臣の話し合いで国政を決める仕組みをとっていたが、意見が纏まらないと動けない仕組みでもあった。


「そうか、決まっていないのか。ならば、仕方ない、此方から仕掛けて動かれると厄介だからな、小太郎は此方に来そうなら連絡を頼む。

俺達は出陣さっさと義信を倒す。」

俺は進軍を開始する。

風魔がどれだけ信じれるかはわからないが、北条が動く前に義信を倒す。


幸い、小山田が1日で落ちた事により、甲斐の武将達も雪崩をうつように此方に味方すると連絡がくる。

俺は前もって味方するものは所領安堵、今、降ったものは録によりの召し抱えとした。

そして、嫌なら敵にまわれと・・・


だが、そう言われても武将達は敵にまわれなかった。

ヒロユキの前に籠城は意味がない・・・

これは今までヒロユキが難なく城を落としてきた上に、小山田信茂するなす術もなく討ち取られた事で、武田の武将の共通認識となる。

不満はありつつも降るしか道は残されていなかった。


「後は躑躅ヶ崎館ぐらいか?」

「そうだな、義信も兵を集めているようだが・・・」

義信の元に集まっているのは、飯富虎昌、板垣信憲、甘利信忠ぐらいであり、兵は二千であった。


「思ったより少ないな。」

マサムネは正成から来た報告を見ながら言う。

「流石に信玄、信繁を暗殺したと聞いて味方する奴は少ないだろ?

それに俺達の力もあるだろうし。」


先の戦いで兵を減らしており、甲斐の民も義信についていく事に不安を覚えていた。


そして、多くの武将達も急な政変に異常を感じており、ヒロユキが伝えた信玄暗殺の話も嘘とは思えなかった。

その為多くが義信の招集に応じず、領地に籠っているところに、ヒロユキの大軍がきて降伏する。


「さて、さっさと落とすぞ、マサムネ、業盛、頑張って。

あと、信永、一人で突っ込んでいかないようにな。」

俺はマサムネと長野業盛、そして武田信永に攻撃を任せる。


「ヒロユキ殿、我等は攻撃に加わらなくて良いのですか?」

馬場信春が武田家臣を代表して聞いてくる。


「あえて、主家を滅ぼすのに手を出さなくていいよ、みんなも思うところはあるだろうし。

此処は俺達外様が手をくだす、だけど、裏切るなら俺が相手になるからそのつもりで。」

俺の側には前原景久、林崎重信、奥山公重を配置している。

これは武田家臣の裏切りを警戒しての配置であった。


「裏切るつもりなどございません、奴等は信玄様を手にかけました。

しかし、ヒロユキ殿の配慮には感謝致します。」

馬場は頭を下げる。

俺と信春が話しているなか、

躑躅ヶ崎館は既に落ちようとしていた。

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