第51話 信繁と今後について、
俺達の出発は翌日となった。
その理由は信繁に折角あったんだから話がしたいと言われ、どうせなら休養と言うことで1日休ませる事となる。
「ヒロユキ、改めてお疲れ様。見事な手柄だったね。」
「ありがとうございます。」
「して、これからどう戦略をたてる?
もちろん、自由に考えていることを言ってくれ。」
「そうですね、とはいえ直ぐにどうとかは無いですね。
今回連れてきた民をまずは信濃や三河に配置して生産を上げる事、収穫後に素早く動けるように兵の訓練と道の整備、後は美濃の調略でしょうか?東美濃の遠山氏ぐらいは味方にしたいですね。」
「道の整備というが、どこをするのかい?」
「出来ることなら甲斐から飯田を通り三河までの道を真っ直ぐに整備したいですね。それと美濃のに向かう道も広く真っ直ぐにしたい所です。」
「しかし、真っ直ぐにすると敵が来たさいに早く進行されるのでは?」
「それなら要所に砦を作り敵が直ぐに来れないようにしたらいいのです。
そんなことより国内の流通を向上させること、軍の移動が早くなることの方が何倍も大事にございます。」
「そんなものかな?」
信繁は半信半疑だった。
「信繁様、軍が早く動けるということはそれだけ戦える日にちが長くなるということです。
また、最短距離で戦場に向かえるのですから疲労も少なく済みます。
これだけでも広げる理由になりますが、流通が良くなれば商人達の動きも活発になるでしょう。
さすれば、国が潤い、さらなる戦に繋げれます。
どうか一考していただきたく。」
俺は道の整備を重要視していた。
勝手にするわけにはいかない上に、各所の了承もいる話だ、信玄の許可なく上手く出来る筈がなかった。
「わかった、兄上に進言してみるよ。
それでヒロユキは飯田と吉田どっちに拠点を置くつもりかい?」
「それが難しいのですよ、発展を考えれば吉田に拠点を置くべきですし、次の戦を美濃と考えれば飯田も改善しておきたい所なのですが・・・うーん、まずは飯田でしょうかね。」
「ヒロユキは忙しいね、誰かに任せたりはしないのかい?」
「任せれる所は任せますよ、マサムネには飯田で兵の訓練にあたって貰う予定ですから。ただ、内政を任せれる人があまりいなくて、誰かいませんか?」
「うーん、私の息子の信永はどうだろう?歳は15歳と若いが指示を出せる立場にあると思う。」
「しかし、そうなると私ではなく信永様が城代になるべきでは?」
「そんなことにはならないよ、ヒロユキ程の手柄を立てるまでは下働きをさせて経験を積ませてくれないか?」
「そうなると厳しい指導も行うと思いますがよろしいのですか?」
「かまわないよ、もし、命令に背くようなら斬っても構わない。」
「いや、そこまでは。」
「信永も武士の子だ。命令に違反すればどうなるかぐらいは知っているし覚悟もしている。」
「わかりました、お預かりしますが、斬ったりしませんよ。
あまりにひどいようならお返ししますが。」
「それでいいよ、信永を頼むね。」
「あっ、それと信豊はどうします?現在飯田で城代を勤めて貰ってますが?」
「引き続き、使ってやってくれ。この前会ったら立派になっていたよ、やはり親元から離れている方が成長が早いね。
ヒロユキの元で鍛えてくれていいから。」
「斬ってもいいのですか?」
俺は信永の話を出して信豊も笑いながら斬っていいのか聞いてみた。
信繁も笑いながら。
「命令に違反すれば斬ってもいいよ。」
「よし、斬ろう。早く違反しないかな♪」
「信豊と仲が良くなってるみたいで何よりだ。」
俺の話が冗談だとわかっている信繁は笑っていた。
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