第32話 飯田

俺は飯田に来ていた。

帰った日ぐらいは俺とマサムネの二人で報告し合う。


「マサムネ・・・俺は汚れちゃったよ・・・」

出立の夜の事情を説明する。


「ぎゃははは・・・腹いてぇ、何でユメちゃんにもされてるの!」

他人事だと思ってマサムネは大笑いしていた。


「知らないよ!でも、不味いよね!」


「通報対象だな、お巡りさんロリコンはここです!」

マサムネは電話をかける仕草をしながら、笑っている。


「ぎゃあぁぁぁー!」


「あー腹いたいなぁ~笑わせるなよ、出陣前にいたすのはわかるが初めてで3Pはどうかと思うぞ。」


「一線は越えていない!」


「えっ?越えてないの?」


「ユメちゃんもいたのに越えれるわけないだろ?」


「それはそれは、チェリーボーイのまま

か?」


「うるせぇ!仕方ないだろ、あの状況で出来る筈がないし。」


「新たな扉が開かれるかもよ。」


「開かねぇよ!」


マサムネとの雑談を終え、出陣の話にうつる。

「真面目な話、上泉信綱に勝てるか?」

「勝つ!任せてくれ。」

「まあ、反対しても行くんだろ?それなら勝ってきてくれよ。」

「おう!」

マサムネは自信満々で答える。


「それと手勢はどうなってる?飯田から兵を出さないといけないのだが?」

「大丈夫だ、既に訓練が終わっている兵士が五百いる。」


「多くないか?それ常駐の兵士だろ?」

「おう、酒の売上から少々拝借して増やしておいた。」


「まあ、いいけど、俺も指揮官として渡辺守綱と服部正成、榊原康政を連れてきた。」

「ああ、あいつらか、腕の立つやつがいたな。」


「わかるの?」

「わかるだろ、立ち振舞いが違うからな。」

「へぇ~そんなものなんだね。」

「お前も少しは興味持てよ。」

「いやぁ~武芸は全くわからん!」


「威張るな!まあ、俺からも指揮官になりそうな奴をいれてるからな、明日の訓練をちゃんと見ろよ。」


「お前が言うぐらいだから、腕が立つんだろ?」


「勿論だ、林崎重信と奥山公重の二人だ、いい腕をしているぞ。」


「・・・どこかで聞いたような・・・あっ!居合の開祖と新影流の達人じゃん!なんで傘下にいるの!」


「腕比べしたら勝った♪楽しい勝負だったぞ。」


「・・・たまにお前がわからなくなるよ。」


「景久も腕をみるみるあげてるしな、先が楽しみだよ。」


「じゃあ、明日にでも顔合わせといこうかな、出兵もあるしな。」


「おう、それで留守はどうするんだ?」


「信豊に任せる予定。信繁様の嫡男だし、問題ないだろ?」


「あいよ~」


翌日俺は訓練を見ることになる。

「今日は城代が見に来ている。腑抜けた真似をするようなら締めるから覚悟しておけ!始め!」

マサムネの号令の元、竹刀による打ち合いが始まる。

マサムネの方針で1対1ではなく好きに攻撃を仕掛けるシステムだ。

腕利きの武将には兵士の判断で複数でかかる、腕利きの武将も複数を相手にすることを覚えているようだ。

何度も何度も打ち合いを行い、各自が腕を上げていく。


「マサムネ、刀の練習ばかりだけど、戦は槍の方がよくないか?」


「大丈夫だ、ちゃんと槍も練習している。昨日が槍だったから今日は刀なだけだ。ちゃんと猛者を作っているから安心しろ。」


「そんなものか?」


「おう、いつでも戦えるからな。」


「まあ、頼りにしているよ。」

俺とマサムネが話している間も激しい訓練は続いていた。



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